私だけの
「ま、魔力ですか」
「そっ魔力」
魔力?魔力ってよくアニメで見るあれ?手から炎とか出るのかな?
「まぁ、魔力って言ってもよくわからないと思うから、今から私たちが持っている魔力の量を見せてあげましょう」
パチンっと凛花さんは指を鳴らした。
「!」
すると凛花さんの胸の近くに数字が出てきた。
「一、十、百・・・10万5千!」
数字は大きいが、それはすごいことなのか?まぁ会長だからすごいのかもしれない。
「ミカ、ほかの人のも見てみなさい」
次に咲さんを見る。
やはり胸のところに数字が出ていた。
「5万ちょうど」
次に奈々ちゃんを
「2万」
どうやらみなさん万は超えているらし。
「ミカ、自分の胸の近くを見てみなさい」
自分の胸の近くを見る。
「あっ、2千・・・」
えっ私だけ万にいってない!しかも1万の半分もいってない!
「それが今のあなたの魔力よ、最初にしてはなかなかいい数字よ、奈々は最初なんか5百だったんだから」
「ああ!凛花さん言わないで!」
奈々ちゃんがすごい勢いで凛花さんを止めようとしたが遅かった。
そういえばマサトの数字を見てないな。
「!?」
マサトの胸を見ても数字が見えない!
「か、会長!マサトには数字が見えません!」
「よく見てみなさい、あと私のことを会長って呼ぶのはやめて、普通に読んでくれていいから」
「は、はい」
そう言って私はマサトに近づきマサトの胸の近くを見る。少しドキドキしていたがマサトの数字を見るほうが興味があったので我慢した。
「むぅ・・・あっ!」
確かに書いてあった。マサトの胸の近くにも!
だがしかし、それは数字ではなかった。ただ、『E』とだけ書かれていた。
「無限・・・」
「そうよ、マサトの魔力は無限、といっても限りはちゃんとあるのよ?ただ数字化できないだけ」
凛花さんはそう言うと再びソファーに座り、真剣な眼差しで私と見てきた。
私は少しドキッとしたが、こちらも真剣に凛花さんを見た。
「私たち悪魔には、三つに分かれていて、私神崎 凛花またの名をアン・リーザンのリーザン家、よく闇市に関わっているラクティカル家、一番の家来を持っているデーラル家、この三つに分かれているの、その中でトップの位置にいるのが私たちリーザン家なのよ」
なるほど、悪魔にもいろいろ大変なことがあるんだな。
「まぁ見たら分かるんだけど、マサトが強すぎるから私たち、リーザン家がトップなのよ、だからそれを恨んで、同じ悪魔の中でもリーザン家を狙ってくる奴らもいるのよ」
「悪魔同士で!」
そんなぁ、天使と戦うだけでなく悪魔同士でも戦わないといけないなんて!
「まぁ大体はマサトがどうにかしてくれるんだけどね、自分の身は自分で守らないといけないし、だから魔力の特訓をするの」
そうか、いくらマサトがいるといっても一日中一緒ではないからな。
「分かりました!私頑張ります!」
「よく言ったわ、それじゃあ早速」
そう言って凛花さんは立ち、また指を鳴らした。
するといきなり背景が変わった!
「こ、ここは?」
「ここは異次元世界よ、要するに私が作った世界、どんなに暴れても潰れることはないわ」
異次元なんて本当にあったんだな。やはり上級悪魔になるとこんなこともできるのかな。
初めてのことで少し胸がドキドキしてきた。
「それじゃあ、魔力を使った攻撃を見せてあげるわ、咲!」
凛花さんが呼ぶと咲さんは頷き、そして右手を上にあげた。すると何もなかったところから真っ黒な大弓が出てきた。
「それじゃあ咲、あの木の実に向かって射ってみなさい」
えっどこの実?ここから全然見えないんですけど?てか、木なんて見当たらないんですけど!
「はい」
咲さんは短く返事をすると、弓の弦を引っ張った。すると、またも真っ黒な矢が出てきた。
咲さんは狙いをさだめている。えっやっぱりみんなには見えてるのかな?もしかして私だけ見えないの!
「大丈夫だよミカ、君は魔力が足りないだけ、今は僕が見えるようにしてあげる」
そう言ってきたのはマサトだ。
マサトはそっと私の肩に手を置いた。
「わっ!」
すると今まで見えなかったはずの木が見えた。それにちゃんと木の実もだ。
近くを見ようと思えば見れるし、遠くを見ようと思えばすごく遠くまで見れる。
「すごい・・・」
私は感心していると、咲さんが矢を放った。
矢はものすごいスピードで飛んでいった。
私には矢の残像しか見えなかったが、木の方を見るとさっきまであった実がなくなっている!
「これが咲の魔力、私たち悪魔は自分の魔力を武器として実体化するの、じゃあほかの人も見てみなさい」
次は奈々ちゃん。奈々ちゃんはどんな武器かなぁ。
奈々ちゃんも咲さんと同じように右手をあげる。
すると鞭が出てきた。
「私のは特に見せるものはないけど、だたこの鞭を自由自在に操れるってだけ」
いや、結構すごいよね?
「次は私よ」
そう言って凛花さんも自分の武器を出した。
「双剣・・・」
そう、凛花さんの武器は血のように真っ赤な双剣だった。
「私のこの剣は切れ味がすごいとかじゃないんだけど、ちょっとスピードが上がるだけよ」
そう言って凛花さんは構えた。
「!?」
一瞬で凛花さんが消えた!
「ぃ・・・ぁ・・」
どこからか声が聞こえる。声がした方を見ると、さっき咲さんが撃ち抜いた木よりももっと遠くのところに凛花さんがいた。
は、速すぎるでしょ!
今度は凛花さんは一瞬で戻ってきた。
「最後はマサトね」
凛花さんもなぜかワクワクしているようだ。
「分かりました」
そう言って、マサトも武器を出す。
マサトの手に現れたものは・・・。
「鎌?」
そう、マサトの武器は鎌、ただの鎌ではない、2メートルぐらいあるところどころ紫色の黒い大鎌。
「まぁこれは死神の力を宿している鎌、いろいろな技があるけど、いつか見れるからまた今度」
そう言ってマサトは鎌を消した。
「でも僕がよく使うのはこっち」
と言って、マサトは右手をあげた。するととてつもなく大きな火の玉が出てきた!
大きどころではない!ひとつの山ぐらいあるだろう。
「それじゃあ」
そう言ってマサトは向こうの方にあった山にめがけて火の玉を投げた。
マサトが投げた火の玉に当たった山がなんと。
「き、消えた!」
消えただけでなくそこには大きなクレーターと言ってもいいほどの穴があいていた。
「言っとくけど、マサトはあれでも魔力の1パーセントも使ってないわよ」
あ、あれで1パーセントも使ってないなんて!
今思えば私、すごい人に助けられたんだな・・・。
「あれ?そういえば全然熱くなかったな」
「それはマサトが魔力で熱線を遮断しているの」
えぇぇ!そんなところまでに魔力を使っているの!改めてマサトのすごさを実感した。
すると凛花さんが歩いてきた。
「それじゃあ、ミカも武器を出してみるわよ」
「武器を出すってどうすればいいんですか?」
「自分がなりたいものや守りたいものとかを強く願うの、そしたらあなたの魔力がそれにあった形となって武器として出てくるわ」
自分が強く願うものか・・・。
今まで特に好きなこととかなかったし、どうすればいいの?
私が強く願うもの・・・。
「あっ」
私が強く願うもの、それは生徒会の人達とずっと一緒にいたい、もちろん梨花やクラスの友達とも。
これが私の願い。
私はそっと目をつぶり、心の中で何回も強く願った。
すると何かからだから溢れ出すような感覚に襲われた。
目を開けるとそこには・・・。
「大剣?」
そこにはに2メートルを超える、大きな剣があった。全体的に黒く、所々に赤い宝石のようなものが組み込まれていた。
「そ、それは!ドラゴンスレイヤー!」
凛花さんたちが近づいてきた。