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イデア=プログラム  作者: 葉都菜・創作クラブ
第1章 楽園の終焉 ――市街地――
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第4話 機械のサソリ

 【聖都サレパトリア エリア・グリード 第4スカイ・ブリッジ】


 僕は横に飛ぶ。チェンソーの腕がレンガの地面を削り砕く。ティモールは“予想通り”強かった。さっきからアサルトライフルで何十発と射撃しているのになかなか倒れない。

 レスフェンさんは後ろの木の影に隠れている。いや、僕が隠れているように言ったんだけどね。その方が戦いやすいからだ。


[フォーメーション7]


 サソリ型軍用兵器は頭部の装甲を扉のように開けていく。そこには小さな穴があった。穴が眩しく光る。ヤバい。TVとかで見るレーザー光線だ!

 僕は勢いよく横にジャンプする。思った通りだった。穴から飛び出したのは細いレーザー光線だった。放たれたレーザー光線は僕のいたところを飛び去り、遠くのビルに当たる。爆発。空気が震え、地面が少しだけ揺れた。


[フォーメーションB]


 チャンス! 僕はアサルトライフルの銃口をティモールに向け、何十発もの銃弾を撃ち放つ。あの軍用兵器、フォーメーションBと言うと、必ず休憩する。さっきから同じ事を繰り返している。

 激しく銃撃音が鳴り響き、ティモールの体に銃弾が撃ち込まれていく。反動で手や腕が痛くなりそうだ。徐々に狙いがズレてきている。クッ……!


[フォーメーション6]


 ティモールは腕の関節と肩についているジェット機を使い、こっちに突っ込んでくる。僕は同じように横に飛んで攻撃を避けようとする。だが、今度は避けれなかった。


「…………!」


 ティモールは腕を大きく動かし、僕のお腹に激しく動くチェーンソーを押し当てた! ティモールの動く勢いも手伝って僕は大きく宙で孤を描きながら、建物に背中を強くぶつけ、地面に転がる。

 ティモールが追撃とばかりにこっちに突っ込んでくる。すぐに逃げ……っ!? …………ッ!


[フォーメーション9]


 激しい痛みがお腹に走る。僕は悲鳴を上げながら、お腹を抑える。お腹からはおびただしい量の血が出ていた。切られていた。さっき、チェーンソーを押し当てられた時に! 痛い痛い痛い! うわああああッ!!

 お腹を押さえ、その場で倒れ込む。うずくまる。痛くて痛くて仕方なかった。涙が溢れ出る。こんな痛み、経験した事なかった。少しでも動くと、凄まじい痛みが全身を貫く。

 本当なら、上半身と下半身がスッパリ分かれているハズだ。そうじゃないのは、物理シールドを張っていたからだ。でも、そのせいで、中途半端に切れた。痛い痛いッ!


 気がつくと、すぐ側にティモールがいた。ああ、僕、殺されるんだ…… こんな痛い目に合いながら、殺されるんだ。痛いよっ、死にたくない! 死にたくないっ! 助けて、助けて、助けて、レスフェンさんっ!

 ぼやけた視界。恐ろしいサソリ型の機械はチェーンソーを振り上げる。あ、ああ…… 僕、死んじゃうんだ。レスフェンさん、死にたくないっ……!


「――しっかりしろ!」


 薄れゆく意識の中、“その声”を聞いた時、僕は一瞬、痛みを忘れた。さっと顔を上げる。そこには赤茶色の髪の毛をした若い女性。チェンソーの腕は斬りおとされていた。――レスフェンさんだ!

 だが、再び激痛の嵐が全身を襲う。凄まじい痛みが襲い掛かってくる。僕は再び痛みに精神が斬り裂かれそうになる。


「大丈夫か!?」


 レスフェンさんは僕の首に腕を回し、ゆっくりと抱き起させる。そして、もう片方の手で僕の傷に触れようとした。…………?

 彼女はそっと僕のお腹に手を当てる。レスフェンさんの手から蒼色の光が発せられ、僕の傷を急速に癒していく。


「レスフェンさんっ、レスフェンさんっ!」


 僕は、なんでかは分からないケド、泣きながら彼女に抱き着く。ぎゅっと抱きしめる。レスフェンさんも僕をそっと抱きしめる。

 その時、僕の目にサソリが映った。両腕を失った軍用兵器は再び頭部を開け、黒く深い穴をこっちに向けていた。レーザー光線っ!


「レスフェンさんっ!!」

「…………」


 レスフェンさんは素早く僕を突き放すと、懐から1丁の赤いリボルバーと呼ばれる強力なハンドガンを引き抜く。


「消えろ」


 レスフェンさんの強く冷たいその言葉。なぜか、ちょっとだけ怖かった。覇気ってヤツだろうか? きっと彼女は凄く強い人なんだろう。

 赤いリボルバーから、とても低く力強い音を伴って1個の弾丸が飛ぶ。弾丸は激しく回転しながら、空気を斬り裂き、一直線に飛ぶ。


[フォーメーション――]


 徐々に光り始めていた穴に弾丸は突っ込む。機械のサソリがフォーメーション7を発動させようとした瞬間、内部から激しい爆発を起こし、遂にティモールは壊れた。激しい爆音と共に砕け散った。


「……やりましたね」

「ああ……」


 炎に包まれたティモールの残骸。もう動くことはない。後は火の粉を飛ばすだけ。レーザー光線を飛ばす事はもう、二度とない。


「……いよいよ、イデア・タワーですね」


 僕は立ち上がり、そっとレスフェンさんの側にまで歩く。彼女は無言で赤いリボルバーを腰に戻す。


「付いて来るのか?」


 レスフェンさんは赤い炎に頬を照らしながら言う。


「……ダメ、ですか?」

「…………。……別に構わない。好きにしろ」


 そう言うと、レスフェンさんは歩き出す。僕も彼女の後を追うようにして歩き出す。いよいよイデア・タワーだ。I=Pが君臨する建物。I=Pに会えるだろうか?


 実は、1つだけ、すごく気になっていることがあった。レスフェンさん、さっき、僕の手当てを少しだけ躊躇ためらった。

 なんで躊躇ったんだろう? 僕はそれが気になり、そして、悲しかった。レスフェンさん、僕の事、嫌いなのかなっ……?


 悲鳴と爆音が未だに鳴り響く聖都サレパトリア。僕はそれを背にして進んでいく。イデア・タワー。不気味な蒼色の建物。何が待ち受けているのか、僕には知る術はない。何があるか、当然分からない。全てが未知の建物。

 それでも、僕は進むんだ。レスフェンさんと共に――!

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