表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イデア=プログラム  作者: 葉都菜・創作クラブ
第1章 楽園の終焉 ――市街地――
4/10

第3話 異常を感知

 【聖都サレパトリア 上層 レーフェンス市街地】


 相変わらず市街地では殺戮が続いていた。無数のエネミーズによる殺戮はイデア・タワーに近いレーフェンス市街地でも行われていた。


「ひ、ひぃ!」

「いやああぁっ!」


 どしゃ降りの中、機械の兵士は無差別に人々を殺していく。全く容赦なかった。僕の体にも銃弾が当たる。物理シールドを張ってるから致命傷にはならないケド、それでも痛みは走る。

 僕はここでおかしなことに気がついた。レスフェンさんはみんなを助ける気は全くない。すぐ近くで子供が射殺されようとしているのを見ても、全く知らん顔だ。


[排除セヨ!]

「邪魔だ!」


 あくまで自分の進路を塞ぐ者だけを相手にしている。彼女、本当にイデア政府の軍人なのだろうか……? そんな事を思いつつも口に出せないまま、僕は彼女について行く。

 僕とレスフェンさんが階段を上っていた時だった。上空から二等辺三角形の小型戦闘機が市街地に爆弾を落としていく。


「エネミー=デルタ…… 爆撃されたらひとたまりもないですね……」


 僕は炎上する市街地を振り返りながら言う。そこでは、さっきまで逃げ惑っていた大勢の人々が吹き飛ばされていた。

 レーフェンス市街地はイデア・タワーが近くにあるおかげか、イデア政府軍人もたくさんいる。彼らのおかげで他の市街地よりかはまだマシな状況だった。なのに、あんな爆撃されたら……


「あ、待って!」


 僕は早くも遠くを歩いていたレスフェンさんの後を追う。だが、その時、上空に再びエネミー=デルタが現れた!


「レスフェンさんっ!」

「…………!」


 爆撃音。レスフェンさんのすぐ側に爆弾が落とされた。爆風は遠く離れていた僕をも襲う。それでも、僕は走るのをやめなかった。

 爆風が晴れると、僕はすぐにレスフェンさんを見つけた。彼女は遠くに吹き飛ばされていた。そして、そのすぐ近くにはエネミー=アルファ! アサルトライフルの銃口が彼女の方に向けられていた。


「クッ……!」


 レスフェンさんは素早く腰のバックからハンドガンを引き抜き、エネミー=アルファを撃ち壊す。だが、レスフェンさんの射撃と、エネミー=アルファの射撃はほぼ同時だった。エネミー=アルファの銃弾が、彼女を襲う。


「…………!?」


 レスフェンさんが左脚を抑える。そして、ハンドガンを落とす。エネミー=アルファの放った銃弾は彼女の左脚を貫いていた!

 そこでようやく僕は気がついた。彼女と僕の体を守る物理シールドが消えている事に。しまった、効果が切れたんだ……!


「レスフェンさん!」


 僕は慌ててレスフェンさんに駆け寄る。彼女は黒いブーツで覆われたすねから血を流していた。ど、どうしよう……!


[排除セヨ! 抹消セヨ!]


 エネミーズが近くにいる。こんなとこ襲われたらひとたまりもない。今までも見てきた。彼らは女性や子供でも容赦なく射撃する。


「だ、だいじょ、ぶだ…… お前は早く行け」

「なにを言ってるんですか!」


 僕は彼女を半ば無理やり背負うと、動乱の市街地を走り出す。イデア・タワーまであと少しなんだ。こんなところでやられてたまるか!

 僕が彼女を背負って走り出すと、レスフェンさんがそっと僕にアサルトライフルを渡してくる。エネミー=アルファが持っている武器と同じ武器だ。


「ま、魔法攻撃とサポートは任せろ。お前はそれで、敵を倒せ……」


 レスフェンは小さな声で言う。僕はそれに無言で頷いた。それと同時に僕らの周りに物理シールドが張られる。また、急に体が軽くなる。レスフェンさんが強化魔法で僕の体力を増幅されたのだろう。


「主なる神はなぜ我らをお救いにならない……」

「助けてI=P……」

「死にたくない……」


 出会う人々はみんなI=Pに助けを求めていた。僕だって助けを乞いたかった。……なぜ、I=Pは何もしてくれないのだろう? 彼女なら機械の反乱を鎮圧出来るハズだ。


「生きたかったら、希望を……捨てればいいんだ」

「えっ?」


 痛みに息を荒げるレスフェンさんが小さな声で呟くように言う。どういうことだろ? 希望を捨てる? 女神I=Pへの?


「“虚神きょしん”への……」


 そこまで言うと、彼女は黙り込んでしまう。虚神ってI=Pのことだろうか? I=Pへの希望を捨てれば生きられる……?

 異常を解決する人造の女神I=P。600年、ずっとそうだった。これからも解決し続けてくれるんじゃないのか……?


[排除セヨ!]


 僕はアサルトライフルの銃口を近寄ってきたエネミー=アルファに向け、発砲する。何発も撃って、ソイツを倒す。

 I=Pは全てをしてくれる。個人的な悩み事も解決してくれる。晩ごはんのメニューを決め兼ねたら、それも彼女が決めてくれる。政治も軍事もやってくれた。


「クッ……!」

「大丈夫? 痛いですか? 痛いですよね。僕、医者じゃないから手当できなくて……ごめんなさいっ」

「……謝るな。私のミス、だ」


 レスフェンさんの痛み。僕はそれを少しでもいいから和らげて上げたかった。でも、僕にはそれが出来ない。こんな時にI=Pがいてくれたら……

 そう思いながら走っていると、イデア・タワーへと通じるスカイ・ブリッジが見えてきた。だが、そのスカイ・ブリッジの前に何かある。サソリ型の機械だ。


[“異常”を感知。システム起動。フォーメーション4。戦闘を開始シマス]


 黒いボディをした大きなサソリ型機械の赤い目が僕らを捕える。イデア政府軍の大型軍用兵器ティモールだ。両腕がチェーンソーになっている。切り刻まれたら痛いじゃ済まないよな……


「僕が、倒します!」


 仮にもイデア政府軍の大型軍用兵器。僕のような子供が戦っても勝ち目はない。でも、やらなくちゃいけないんだ。僕が倒さないと、レスフェンさんが……!

 I=Pも役に立たない今、僕がやるんだ!


「行くぞっ!」

[ティモールNo.N0232BR。これより異常を排除シマス]


 異常はそっちだ! お前たち機械軍団を倒して、レスフェンさんを助ける。そして、I=Pに会いに行くんだ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ