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書き直してみる。

まだ完結していない小説が有るのですが気分転換に書いてみました。最強、ハーレム要素を含みますので其れが合わない方は『戻る』をお勧めします。


2012/10/12 書き直してみました。 なんて言うか……設定を覚えていない(涙)


 なので、設定も変更しての投稿になります。


 三人称で進めようかな。

 一人の少年が、何時ものように自分の部屋の窓から空を見上げていた。その少年の名前は『ルーデル・アルセス』。アルセス家の嫡男であり、『クルトア』という大国の貴族出身である。アルセス家は、クルトアの建国時から続く名門の家柄だ。


 しかし、最近では領地で悪政を行い領民から恨まれている。領民から搾れるだけ搾り取る! それを実行しているのが、アルセス領なのだ。


 そんな悪徳貴族の息子であるルーデルは、五歳になって専属の使用人達に囲まれながら空を見上げていた。両親にとってルーデルは跡取りであるが、それ以上の感覚もなく放置されていたのだ。


 そんなルーデルも、五歳とは言え流石は悪徳貴族の子! 蛙の子は蛙と言わんばかりに我がままで好き勝手に暴れていた。そんなルーデルに、使用人達も辟易していたが……


「お、おい! あれは何だ! 空に馬鹿デカイ鳥がいるぞ!」


 空に向かって指を刺すルーデルに、使用人の一人がその指の先を見て答えた。濃い緑色の体には、太陽の光で輝く鱗とその巨体で自由に空を飛ぶための立派な翼……ドラゴンが飛んでいた。


「ルーデル様、あれは『ドラゴン』でございます。クルトア最強の騎士団『ドラグーン』の竜騎士たちが、この周辺で任務を行っているのです」


 事前に知っていた使用人が、本心では嫌々ながらルーデルに答えた。その時に、ルーデルが少年が絵本の勇者に憧れるような瞳をしているのを見た。


 その使用人は半分悪戯で、そして半分は自分達の気持ちを込めて……


「竜騎士はクルトアの誇りです。彼らは、ドラゴンと言う最強の魔物を従える最強で最高の騎士でもあるのですよ」


 そんな使用人の言葉に、ルーデルは過剰に反応した。今の今まで、ルーデルがこれ程に夢中になった事はない。そして使用人の悪戯に気付いた仲間が、また一人加わってルーデルに説明する。


「彼らはドラゴンを従えるのに必要な『徳』を持っているんです」


「徳? それはいくらで手に入るんだ? すぐにでも買うぞ!」


 ……ルーデルの反応に溜息が出そうになるのを我慢して、使用人達はルーデルに根気よく説明した。最高の騎士とは、強さと品性、品格を兼ね備えた人物だと……立派な騎士にならないと、ドラゴンは見向きもしないと……自分達の次期主人であるルーデルに、まともになって欲しくて吐いた嘘!


 これがアルセス家を、クルトアを大きく狂わせる。


「そうか……立派な人物にならないと、ドラゴンは見向きもしないのか……俺はどうしたら立派な人物になれるんだ?」


 内心では成功した! と思った使用人達がここぞとばかりに説明する。勉強する事、騎士になるために武術を極める事、他人に優しくする事……そう、人を助ける事の出来る大人になる事! ……そして、領民を救ってくれれば文句無し!


「……俺の嫌いな事ばっかりだな」


 俯くルーデルに、使用人達が失敗したと思った時だ。ルーデルはその場から走り出して自分の部屋から飛び出した! 慌てて使用人達も追いかけるが……ルーデルは、部屋を出てすぐの廊下で息を切らしていた。


 この時の使用人達の感想は


『ああ、やっぱり駄目だこいつ』


 であった。しかし、それでもルーデルは歩いて訓練場に足を運んだ。……誰もいない訓練場は、本来ならルーデルの武術を教える者が居て、ルーデル自身も教わっている時間なのだ。体を動かす事が嫌いなルーデルは、何時もサボるので教える者も今では解雇されていた。


 そんな訓練場で、ルーデルはなれない運動をはじめる……腕立てをすれば一回もできない! 腹筋は二回で限界……どういう生活をすればここまで酷くなるのか、使用人達はルーデルを見ていて理解していた。昼に起きて豪華な食事……そしてまた寝て……駄目な人間の出来上がり! それがルーデル!


「ル、ルーデル様? もうこの辺で宜しいのでは? また明日から頑張りましょう?」


 使用人の一人が見かねて声をかける。そんな時、うつ伏せになって倒れていたルーデルから嗚咽が聞こえてくる。


「く、悔しい。俺は何にも出来ない。これじゃ竜騎士になれないよ……」


 泣き出すルーデルに、流石にこの状況を見られたら自分達の身が危ないと理解した使用人達。そんな使用人達は、行き当たりばったりで……ルーデルを叱りつけた!


「クルトアの名門貴族の出である者がなんですか! たかがそれだけの挫折でもう諦める? 恥を知りなさい!!!」


 叱り始めた使用人の同僚達も、最初は唖然としていたが……最後には、破れかぶれで参加した。


「その程度で諦めるなら、最初から竜騎士になどなれる筈がありません! いいですか……大事なのは『心』です。何度挫けても立ち上がり、諦めない! ルーデル様にはそれが欠けています!」


 ……苦しまぎれに、それっぽい言葉を並べる使用人達。ここでまともな人が聞いていたら、それこそ矛盾も多いこの使用人達の行動に突っ込んだだろう……しかし、相手は勉強嫌いで貴族である事を良い事に我がままに育ったルーデルである。


 ……コロッと騙された。


「そうだな……うん! こんな所で諦めるくらいなら、最初から無駄だ! 俺は絶対に諦めないよ。……俺は絶体に『竜騎士』になるよ!!!」


 そんなルーデルに拍手して、自分達の身の安全を確信した使用人達がホッとしていた時だ。……ある使用人が思い出したのだ。


「あ、あれ? 確か竜騎士って、大貴族の家系からはなれないわよね?」


 そう、竜騎士はクルトアの最強の戦力である。同時に最も実戦を経験する事になる……基本的に血を絶やす事を嫌う有力な貴族や大貴族……クルトアの建国から続く名門のアルセス家は、その中でも大貴族と言われる王家に次ぐ高貴な三家の内の一つである。


 『三大貴族』と言われ、クルトアでも有名な名門貴族。


 そんな家のボンボンであるルーデルは、最初から前線に出る事は難しいと言うか……無理! 逆に守って貰う立場なのである。戦争になれば戦場に出るかもしれないが、それでも! 何も出来なくても! 指揮官になるくらいの立場なのだ!!!


 そんな事を思い出し、全員がルーデルに視線をやるが……本人は、見事にその事実を聞き逃してやる気を出していた。


「ま、まぁ大丈夫じゃない? 竜騎士自体がとっても難関だから……」

「そうよね! 竜騎士になれるのは、年に十人いればいい方だって聞いた事あるし……」

「そうそう! いくらなんでもルーデル様じゃ……無理でしょ」


 そう結論付けた使用人達。だが、その日からルーデルは別人になる。






 日が昇ると同時に起きるルーデルは、そのまま体を動かして広い屋敷の庭を走り込む。そして汗を拭いて朝食となるが……これが健康食と言うか、栄養重視で貴族の食事とは想像出来ない物を食べる。


 そのまま家庭教師が自室に来るまで予習をし、家庭教師が来れば真剣に授業を受けた。そして分からなければ何度も何度も質問を繰り返す。……それがすんだら今度は武術だ。護身を目的としているため、剣術も体術もそこまで厳しくない。


 厳しくない筈なのだが……厳しくない者をルーデルは解雇した。解雇した理由は酷いが、お遊戯レベルの剣術を教え自慢ばかりする奴だったのも大きい。実際に、大した力量も持っていなかった。


 それの代わりに、ルーデルにも厳しく教える者を探させて雇ったのだ。一人は傭兵で、もう一人は武者修行をしていた剣士。傭兵の戦場で培った戦い方と、技をひたすら磨いてきた剣士の技……それらを厳しく叩き込まれたのだ。


 その後は、傷だらけの体を屋敷にいる治療魔法使いに治療させる。そして夕食は、また健康と栄養に気を使った物を食べる。同時にマナーの教育も受け、食事も気の抜けない時間であった。


 最後の寝るまでの時間……そこがルーデルの自由時間だ。この時は自分の部屋の本棚から、使用人に頼んで取り寄せていた竜騎士が書いた本や、竜騎士の事が書かれた本を読む。ルーデルの楽しい時間だった。


「竜騎士も、立場が違うと書いている事が違うな……貴族出身者は、『気高き心』とか多く書かれているけど、平民から這い上がって竜騎士になった者は、『弛まぬ努力』って書いているのが多いな……いったいどっちなんだ? そこ重要だろ?」


 基本的に一人になる事の少ないルーデル。勿論、就寝前も使用人が傍に控えている。真面目だろうと、不真面目だろうと大貴族の跡取りだから大事にされている。


 あの日から激変したルーデルを見た使用人達は、日に日に心配になってくる。腕立て伏せも出来なかった少年が、今では自らを厳しく鍛えている。ハッキリ言って別人だ! ルーデルに会う人のほとんどが、ルーデルだと気付かない事も多くなっている。


(ああ、こいつがここまで本気で竜騎士になるつもりだなんて……別にそこまでしなくていいから! 普通の領主になってくれれば、それでいいのに!)


「いや……両方大事だ! 考えるのも面倒だらそうしよう。それに両方とも、大事な言葉に聞こえるから問題ないだろう」


 何処か抜けているのは変わらないルーデル。そんなルーデルを見守る使用人は、そんなルーデルの行動に注意を払う。いつ何時、ルーデルが変な事を言ってそのまま行動を起こさないように……

更新は不定期です。

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