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双璧のカムイ  作者: あかいち
2.学園
7/22

次の朝

 昨日、悪魔に襲われて、カムイに会って、良くわからないことを教え込まれて、公稀は寮に帰った時には、相当疲れ切っていた。

(もう寝よう)

 靴を脱いだ後、寝ることしか頭の中では考えられず、ベッドに直行した。少し寒い夜。布団に潜り込み、ベッドの中の温かさを感じる。ひどい眠気が一気にきてそのまま寝てしまった。

 そして朝になり、寝癖がついた髪を直そうと洗面所へ移動した。

 公稀は朝の七時に起きるようにしていて、今日も目覚ましのおかげで目を覚ますことができた。疲れが取れた気がしなかった。ホントはまだ寝たいと思うくらいだ。だが、二度寝してしまうと遅刻する可能性もある。月花学園高等学校は登校の最終時間が八時半なので、この寮から歩いて二〇分なので、これくらいの時間に起きたほうが余裕を持って行けるのだ。

 洗面器を洗面台に置いて水を溜める。まだ頭がボーっとしている。

(……朝ごはんも準備しないとな)

 たまった水を両手ですくって顔にかける。冷たい。でもこれでスッキリとする。

 洗面所から出て、シンクの前に立って、食パンの袋を開けて、一枚取り出して、電子レンジに入れる。三分程度に設定して、それを待つ。ただ待ってるだけじゃなく、公稀は冷蔵庫から卵、ベーコン、レタスを取り出す。

 フライパンを用意して、ガスコンロに置く、火をつけ、油を流して、そこに卵の中身と、切ったベーコンを入れる。コショウを振って、味付けも同時に行う。

 パンが焼けたとレンジが音で合図を送った。すぐに食パンを取り出して、皿に乗せる。バターを塗って、その後に焼けた目玉焼きとベーコンを乗せる。切ったレタスとミニトマトを添えて、今日の朝ごはんが完成した。

 折りたたみ式の机に朝食を置く。飲み物忘れてた、と思い出し、冷蔵庫から牛乳を取り出してコップに注ぐ。飲みながら机の前に座り、ベーコン目玉焼きパンを手に取って口に運ぶ。この作り方は故郷で、公稀を預かってくれたおじさんが朝食用にいつも作ってくれていたものだった。この朝食はとてもお気に入りであり幸せな時間の一つでもあった。この組み合わせが無いと朝が始まった気にならないほどであった。

 温かい朝食を食べながら、公稀は昨日、あの先輩が最後に言った言葉を思い出す。


――明日、昼休みに図書室へ来なさい。


 というお誘いを受けたのだ。言われた時は会えると思うとすごく嬉しかったが、今になると嫌な予感しかしなかった。

 推測でしかないが、漫画やゲームでもあるような出来事と一緒で、昨日の事は他言しないでほしいとか、怖い形相でなんど念を押されるのだろう。そういう想像しかできなかった。

(気が重くなってきたな……)

 学校行きたくない、と高校一年生になったばかりだとある人はある思いを抱く。行きたくないと思った時、昨日の出来事のほかに、教室内の空気もそこまで好きじゃないなと思い出す。まだ友だちができていないのだ。知らない人しかいないので、人と関わるのが苦手な公稀にとっては地獄そのものだ。

 あの高校へ受験しに行った日と変わらないくらいの緊張感。面接官に見られているような感覚がまだあって嫌なのだ。

(でも、行かなきゃな……なんのために故郷からここまで出てきたんだ、ぼくは)

 レタスとミニトマトも食べ、パンの耳まで食した後、牛乳を飲みほして、食器をまとめて、水に浸けておいた。

 すぐに制服に着替えて、カバンを準備する。少しまだ時間があるが、昼食用の弁当を買うために早めに家をでる。

 公稀の部屋は二階にあるので、階段を降りて行く。

(昼休み……)

 記憶の隅にその言葉を置きながら、公稀は通学する途中にあるコンビニへと向かった。

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