学園祭
季節は紅葉が綺麗な秋へと変わった。夏の暑さが無くなってすごしやすい季節で僕は好きです。その日は朝から七海がはしゃいでいた。なぜかと言うと依然以来を受けた高校生から学園祭のチケットを貰ったのだ。そして、今回は休暇をかねて学園祭に行く事にしたのだ。僕は朝早くから七海にたたき起こされた。
「唯一も大変だね。」
雪が笑いながら言った。
「あぁ、なんせ七海はお祭りが大好きだからね。」
「そのお祭りって俺達も行っていいの?」と聞いてきたのはノワールだ。この黒猫こそ、僕の過去についていた死神の正体だ。僕が気を失ってからもう3日が経っていた。天魔の姉ちゃんが持ってきた強烈な気付け薬(一般人が使うと死を招く可能性がある。)を使用したおかげで目が覚めた。
「その姿で行くのはまずいだろ。七海に変身魔法でも掛けてもらって人間の姿にしてもらえば?」と僕は行った。学園祭に喋る黒猫(空飛んでる)がいたらいくらなんでも変だろ?
「その必要はないよ。」
ノワールの姿が昔の僕の姿になった。でも目の色は普通だ。
「何で僕の過去の姿?」
変身に関しては突っ込まないが何故僕の過去の姿に?
「だって、この姿が一番変身した回数が多いから。」
理由がよくわからんがまあ、いいだろう。
「ねえ?唯一こっちの水色の服とこっちの緑の服。どっちがいい?」
雪は嬉しそうに服を選ぶ。頼むから僕の部屋以外の部屋を使ってくれ。すでにクローゼットとタンスは雪の服に占領されている。僕は仕方なく他の部屋を使っている。僕がこの部屋を出て行かない理由はこの部屋とリビングにしかエアコンが無いからだ。
「水色の服がいいんじゃないか?」
「そう?それじゃあそうするね。」
空はいい具合に晴れて気温は寒くも無く、暑くも無くいい具合。
「それじゃあ、班に分かれて行動しない?」と雪からの提案だ。
「2対3の班に分かれるの。くじはここにあるから色がついてるのが二つあとは無印。」
『上手くいけば唯一君とデート』と唯が密かに思う。
唯は顔を赤くさせながら、くじを引いた。七海はウキウキした表情でくじを引いた。結果、僕と唯、七海の班とノワールと雪の班に分かれた。
「それじゃあまた後でね。」
雪とノワールは人ごみに姿を消した。
「それじゃあ僕らも行こうか。」
僕らは学園に入った。
「七海、負けたら承知しないぞ。」
水あめだ。じゃんけんで勝てば200円で3つもらえる。まあ、あまり大きくないので三つ貰われてもあまり損がなさそうだけど。
「いくよ、最初はグーじゃんけんぽん!」
七海かチョキ、相手がパー七海の勝ちだ。
「ははは、これが実力の差よ。」
見事の3つ手に入れた七海は僕らに分けてくれた。続いて入ったのは一年のお化け屋敷だ。今年のお化け屋敷は例年よりさらに磨きがかかっており。お化けもよりリアルに物もそれなりにリアルになったと道行く人が話していた。
「ほんじゃ、次ここ」
その発言に二人はビックとなった。フフフ、二人はお化けが大の苦手。いつもハイテンション七海だがこればかりはいつもの調子ではないようだ。
「はい、三人ね。おやおや、彼氏さん両手に花ですか?」
「は、ははは」
苦笑いをしつつ中に入る。中に入るとすぐ上からこんにゃくが降って来た。この二人は仕事でもっと怖いもの見てるときは普通に何も言わないくせにお化け屋敷となるとこうやって・・・
「「きゃー」」と叫ぶんだから。
二人の悲鳴をもの左右で聞かされたのでかなりつらかった。確かに右に唯、左に七海、旗から見れば両手に花だ。進むにつれて道は狭くなりかなり二人が密接してきた。幼馴染なので特に恋愛感情は抱いたことは無い僕だが今までの事もあるので(七海と唯からのキスの事)さすがにここまでくっつかれると心臓が・・・・・特に七海は胸が発達しているのでその感触が腕に。
『この状態、後何分続くんだか・・・・はぁ~』と心でため息をついた。
しがみついて放さない半ば半泣き状態の七海。唯はそこまでは発達はしていないが年相応って感じ・・・って僕はなにを考えてるんだ!僕は首を振って理性を保った。僕はお化け屋敷なんて一度も怖いと思ったことがない、なぜかって?僕が怖がるまえに
「キャー」
こうやって唯達が怖がるからだ。唯が僕に抱きついてきた。
「大丈夫だよ人形だから。」
でも中々良く出来ている。
「だって・・・キャー!何か飛んできた。」
「こんにゃくだよ。」
ぶつかるよりも床に落ちたときのベチャって音のほうが気持ち悪い気がする。
「キャー」
「なんだよ、七海も怖がりだな。」
「だって怖いんだもん。キャー」
「ちょっと、まて!二人して僕に抱きついたら。」
僕は二人に押し倒さ二人が上においかかさばる。あまりの顔の近さに三人とも赤面する。
「「あ、ごめん」」
二人が同時に言った。二人は立ち上がった。しかし、恐怖している七海にとどめの一撃として上らか降ってきたお化け人形。
「キャーーーー!!!!」
七海はあまりの怖さに半ば泣きながら一人で走っていてしまった。唯は僕に抱きついて僕を再び押し倒してしまった。密着度高!唯の心臓の速さを感じるほどだった。
「!」
唯はゆっくりと体を離す。唯は僕の上に馬乗りのまま
「唯?・・・・・・」
唯は無言のままだ。暗くて顔がよく見えないが多分、赤くなっているのだろう。さっきも言ったとおり幼馴染なので特に恋愛感情を抱いたことは無いと言ったけどどうやらそれは嘘になりそうだ。真面目に僕の中で何かがあった。
「唯・・・・」
そんな雰囲気をぶち壊したのは大きな爆発音だった。二人は体制を起こして外に向かう。見れば体育館が半崩壊していた。そして空に浮かぶ仮面をつけ全身をローブで覆い隠したようなやつ。体育館をぶっ壊したのはこいつか?その予想は見事に当たった。やつが手を上にかざしそれを振り下ろすと雷が体育館に当たって壊れる。やつの使っているのは魔法だ。しかも無詠唱呪文これを習得するのはかなりの技
『できる。』
「唯!」
コクッとうなずく。僕は携帯を取り出してみんなに連絡を取った。ついでに天魔にも報告した。
「銀月に映えし漆黒の闇よ 我 星野 唯の名のもとに命ずる。来たれ 漆黒の戦士。召喚!!」
召喚されたのはコウモリのような翼の生えた騎士。まるでアニメのヒーローのようだ。
「いって!」
唯の命令と共に行動を開始する。飛び切りかかる、しかし攻撃したはずの位置にいた魔法使いは召喚獣の後ろにいた。
「なに!」
「まさかこんなに早くやってくるとは、大紅蓮」
紅蓮の炎の球が召喚獣を直撃。障壁を打ち抜き騎士甲冑をグチャボロにしてた。さらに追い討ちで蹴り飛ばす。僕の方へ召喚獣が吹っ飛んできた。僕は召喚獣に衝突され校舎にたたきつけられた。壁は砕け校舎の瓦礫に埋もれていく、僕は瓦礫の中からでてやられた腹部を押さえていた。
『あぶねえ、天魔の姉ちゃんがくれた肉体強化薬が無きゃ今ごろ死んでたぜ。』
ダメージを受ける寸前に口に運んだ薬だ。久しぶりに天魔の姉ちゃんの作った薬が聞いた。しかし、死にはしなかったものの大ダメージで動けそうに無い。
「たった一撃で・・・・こんなに、ここにいる全員を空間転送。」
唯が呪文を唱えてここにいる生徒をほかの場所へ避難させる。並たいていの魔法使いではないと思ってはいたもののここまでやるとは僕も正直思わなかった。僕らでは30十分も持たないだろう。早く来てくれ天魔の姉ちゃん。
「もう終わりか?最近では協会も弱くなったものだ。」
「まだよ。我 星野 唯の名のもとに命ずる。来たれ東の聖地を護りし青き龍よ 召喚青龍」
青き龍その大いなる力を見て敵も少々驚きの表情を見せた。
「ほう、四聖獣まで召喚するとは。あの娘なかなかやる。」
「行って!」
「来たれ爆雷。」
その声と共に上から落ちる青き閃光。すさまじいい稲妻が青龍を襲う。しかし、名高い四聖獣がそう簡単に負けるはずも無かった。青龍は破壊光線を口から放った。その威力は凄まじく大地を真っ二つにした。
「来たれ 写し身の鏡よ。」
鏡に反射して攻撃は青龍に直撃。自分の攻撃を喰らって消滅した。でも唯はすぐ第二の手を打っていた。やつの背後を取り召喚したナイトの右腕を装着して剣を振り下ろす。この位置なら避けるのはかなり難しいはず。しかしやつは唯の目の前から姿を消した。そして背後を取る。
「そんな!?」
振り返ったときは遅かった。
「ぐぁ!?」
首をつかまれる。そして電撃を放たれる。声にならない声がでる。
「はははは。」
笑う仮面の魔法使い。力の入らなくなった唯は剣を落としてしまう。ほぼ意識がなくなっている状態だった。さらにとどめとして腹の位置に手を添えて
「大紅蓮。」
「ぐあははぁあぁぁあぁ!?!?!?」
校舎の中に叩き込まれる。今度は壁を壊してどんどんと貫通していく。もはや校舎の形をとどめていなかった。しかし、衝撃で意識ははっきりしていた。唯は校庭に戻ってきた。しかし、敵はそれを狙っていたのか唯の後ろには無数のナイフがあった。
「!」
「これで終わりだ。」
「そこまでよ。」
七海が後ろにいて杖を構えている。
「いつの間に後ろに。」
「僕をなめないでね。」
「いいのかな、そんなことして彼女にナイフが刺さるぞ。いや、もう刺してしまおう。」
唯にナイフがいくつも刺さった。しかし、唯は光の粒子となって消えた。そう、これは唯の召喚しいわば偽者だ。校舎の中から唯が出てきた。
『七ちゃん。唯一君がやられて今、ノワール君と雪ちゃんで治療してる。』
『了解。ここは僕達で何とかするよ。』
七海が嬉しそうに言う。
「つまり、あんたの逃げ場なし。」
仮面の下で笑う魔法使い
「誰が逃げるって?」
それにいち早く気づいたのは唯だった
「七ちゃん上!」
上には銀色の球体があった。何時の間に構成させたんだ?
「しまった!」
七海は直撃を受け地面に叩きつけられる。
「所詮こんなところか・・・・・つまらないな。何のために最強となるためい幾つものタブーを破ってきたと言うのに。」
一つ以上のタブーを破ったと言う事はこの魔法使いは死刑つまりは殺しても問題ないわけだ。そのとき唯の何かが切れた。仕事モード全開になった唯は恐ろしい。魔法使いが後ろを向き全てを破壊しようと魔法を唱えようとする
「ん!」
唯に紫色のオーラが出ている。魔力の暴走だ。
「なんだ、この魔力は、尋常ではない。」
僕ほどではないが召喚師はかなりの魔力を一度の召喚で使うため唯は魔力に関して言えば魔力量は僕の両親に匹敵するほどだ。
「aekaturumuremurainaarekatururemuraina」
なにを言っているのかはわからない。異世界の言葉のように唯が言う。瞬動!仮面の魔法使いよりもはるかに速い速度だ。仮面の魔法使いは追いつくことができずに背後から後頭部をけられる。召喚師の唯だけどこうなったときの唯は格闘のほうが強い。
「グヴァバ」
「kaekaturejahuankloiuzbkaualeusajaiuaoauejauafjhoa]」
紅蓮の炎が魔法使いを包みこみ雷撃が放たれる。さらに地面がわれその岩が魔法使いに当たる。さらに上から拳を振り下ろし地面にたたきつける。そのさい校庭は崩壊していった。
「ううう、大紅蓮!」
その場を離れた唯に向かって紅蓮の炎が放たれる。しかし無意味だった。
「hajakekkainisikisikokutyuu」
結界が張られ、攻撃が受け止められた。
「なんと!大紅蓮、爆雷!」
二つの大呪文、普通考えれば全てが破壊されるくらいの呪文だ。でも、こうなった時の唯に関して言えばそれは小さな虫に過ぎなかった。
「aekatyuumuremuraian」
呪文が去れる。さらに紫色の火炎弾丸が魔法使いを襲う。
「daikurennbakurai」
大紅蓮と爆雷をあわせた以上に強大な呪文が魔法使いを襲う。正直、唯一と七海、ノワール、雪が生き残ったのは奇跡に近かった。天満の姉ちゃんが来たころには全てが片付いていた。文字どおり学校全部がなくなっていた。
「なにこれ?!」
三人は気絶していた。瓦礫もすべてなくなっていた。まったくの新地のように。天魔のグループによって再生魔法で学校が修復され目撃者すべての記憶が消去されて別の記憶が埋めこまれる。つまりなんにもなかったことになる。僕も気絶していたためになにがあったか分からない。雪とノワールは首を横に振るばかりだった。あの恐怖を語りたくないらしい。唯も記憶が無い。つまり僕もみんなあの魔法使いがどうなったかは知らない・・・・そして平和な三日間の学園祭は終わり僕らは何事も無かったように過ごしていた。一体どうなったかは、これを読んでいる君しか知らない。全ては時の流れるままに忘れ去られていく。まるでふっては溶ける雪のように