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吸血鬼事件



満月の夜その事件は起こった。下校中の女子校生が襲われた。

「まさか、依頼を受けたら別の厄介ごとが入って来るとはね。」

僕等はある依頼を受けてこの霧ヶ森学園に潜入していた。依頼はすぐに解決したが別の事件が飛び込んできた。それは正式に協会からの依頼となった。

「とりあえず報道部のほうから情報を貰ったよ。明日発行する校内新聞。」

内容を要約すると次のようになる。襲われ時間、場所はいずれも放課後の桜並木通りだ。襲われた生徒に目立った外傷はなく巨木の根元で気絶していた所を巡回の警備員に発見、保護された。これで三人目の犠牲者である。

「なるほどね。でも、あれは魔法使いの仕業だね。僅かだけど魔力の香りが残っていたから。」

七海が真剣な顔をして言った。

「となると相手は魔法使い。」

依頼は犯人を突き止め確保せよとの事だ。しかし、今はこれ以外に手がかりがない。考えているとチャイムが鳴った。

「次は体育だっけ。着替えなきゃ。」

着替えているとき男子が話を始めた。

「また犠牲者が出たってな。」

「あぁ、桜並木通りの吸血鬼ってやつだろ?」

『吸血鬼?』

「満月の夜になると突然現れて血を吸って行くという。あの吸血鬼だね。」

「でも何で女子ばかり?」

「そりゃあ、ごつい男子の血より柔らかい女子の血のほうが美味いだろうよ。」

『!何だこの感じ。まるで誰かに睨まれているような・・・』

僕は辺りを見回した。すると気配は消えた。

『一体誰が・・・。』

そして、時は過ぎて放課後。

「それじゃあ、唯一さん、明日。」

「うん、また明日。」

僕は同じクラスの女子と別れた。彼女に仕事の手伝いを頼まれてこんな時間になってしまった。

「あ、桜通り・・・・大丈夫だよね。今日満月じゃないし・・・。」

確かに満月ではない。風が少し強い。

「誰!?」

街灯の上に真っ黒いボロ布を纏ったような人物がいた。

「平野 望だな。悪いがその血少し分けてもらうぞ。」

声からして男だろうか?そいつは街灯からまるでワイヤーアクションのように降りてきた。そして、彼女の首筋を噛んだ。傷跡は残っておらず血だけが吸い取られた。

「ごちそうさま。」

彼女は気絶した。

「遅かった。」

目が痛むから来てみたらこのような状況になっていた。

「夜天 唯一か。今は君と戦うのは分が悪いが・・・その実力のほど試させてもらう。」

「!」

こいつが依頼にされた魔法使いか。すごい魔力の威圧だ。

「何故僕の事を!?それに何故こんな事を!?」

「一度に二つも質問するな。この世には色々な魔法使いがいるのさ。」

僕は杖を構えた。天魔の姉ちゃんと七海、唯先生によって僕は魔法の訓練を受けていた。そのせいで今は多少魔力コントロールが出来るようになりました。

「僕の任務は貴方を捕まえること。だから大人しくしていてください。来たれ戒めく風よ。敵を束縛せよ。」

風のリボンが敵に向かって走っていく。これは相手を捕獲する為の初歩の魔法だ。でも、その威力は結構合って魔法関係の補強工事なんかにモノを支えるのに使用する。

「そんな初歩魔法で僕を捕まえられないよ。来たれ水の精。氷結の盾!。」

魔法薬を投げ込み威力を増加させた魔法。目の前に氷の盾が現れて僕の攻撃を全て防いだ。

「驚いた。さすがあいつの息子の事だけはある。ここまでの魔力とは。」

「やつ?僕の父さん達の事を知っているんですか?」

「さあな、僕は悪い魔法使いだから簡単にはおしえてやらん。知りたければ力ずくで聞いてみよ。」

魔法薬が投げ込まれた。

「秘術 氷の牙。」

氷で形成された狼が僕の襲いかかってきた。

「砕けよ!」

狼が砕け散って目の前を塞いだ。隙間から逃げていく吸血鬼を見た。僕は急いで後を追った。風の魔法の影響でかなりの速度だ。僕はひたすら追いかけた。

『あいつ、僕のことを奴の息子って、僕の父さん達の事何か知っているはずだ。』

吸血鬼は空を飛んだ。コウモリみたいな羽を生やして

「来たれ氷の精霊よ。その大いなる力を使い我を護る壁を織り成せ。氷壁!」

下にあった川の水が凍り上に飛び出して氷の壁を作った。

「まずい。来たれ雷の精霊。その力を使い目の前の傷害を破壊せよ。」

僕は左手に雷撃を溜めて氷の壁を打ち破った。少し手が痛い。

「ほう、風だけではなく雷も使えるのか。まるで奴を見ているようだ。」

『やっぱり父さんの事を知ってる。でも、魔力が弱いし、勝てる。』

「古の契約に従い我に従え いでよ式。召喚」

僕はよりしろを投げた。するとよりしろは僕と似た式神になった。

「捕まえて。」

「凄まじい数の精霊召喚だな。さすがだよ。」

上手くコントロールできていない為、3体召喚するつもりが三倍の9体召喚してしまった。

「数が多いな。一気にけりをつけるか。」

魔法薬を数個ばら撒き呪文を唱えた。

「来たれ、宿木の加護、北の息吹を崇めよ」

魔法薬を投げた。その瞬間、目の前の景色全てが凍りついた。全ての式神は時が止まったように氷に閉じ込められていた。

「砕けろ!」

式神は砕け散った。でも僕は爆発を利用して奴の横へ行けた。

『父さんの呪文?!なんでこいつが使えるんだ?!』

「これでチェックメイトです。武装解除!」

魔力の塊を当てて相手の武器を全て吹き飛ばす基本呪文。魔法薬もマントも吹き飛ばした。そして2人はビルの屋上に着地した。

「あ、貴方は!?」

武装解除で素顔が見えた。その顔に僕は見覚えが合った。

「それでは改めて自己紹介しよう。2-3在籍 ハルク ゼロライドだ。君と同じ魔法使いさ。ただし、悪い魔法使いだがね。」

「で、でも、これで僕の勝ちです。教えてください僕の父さんの事を。」

「ふん、お前の父とはすなわち氷結の使途のことだろ。それに・・・今お前は勝ったと言ったなあ。本当に勝ったと思っているのか?」

「なに?」

僕は背後から突然攻撃された。

「どうやらその死神の目とやらも科学の塊である高科学ロボットの前では使い物にならんか。」と嘲笑うゼロライド。人型のロボットに背後を攻撃された。

僕の目の事まで知っているとは・・・。

「さて、貴様の実力はわかった。お前の血を吸わせてもらうぞ。」

「何故こんな事を。」

「うん、僕は、お前の父親によって僕の吸血鬼の力を封じた上に成長を封じたんだ。おかげで今もこの身長だ。本当だったら僕はもう23歳なんだ。それをお前の父親は・・・まあ、それも今宵までだ。お前の血を吸えばこの呪いは解ける。悪いが死ぬほど血を吸わせてもらうぞ。」

「やめなさーい!!!」

吹っ飛んできたのは天魔の姉ちゃんだ。それに気付き僕から離れた。

「!?ハルク・・・」

天魔の姉ちゃんが驚いている。

「久しぶりだね高橋。」

「あんた、なんでこんな所に唯一と一緒にいるのよ?」

「ふん、君の知ったことじゃない。さすがにこれでは分が悪い。明日は満月だ。それでは、僕は失礼するよ。」

突然魔法で消えた。

「逃がしたか。」

僕は気絶した。魔力コントロールに精神力を使いすぎたせいだ。

所変わって事務所。

「ゼロライドって一体何者なんですか?」

僕は天魔の姉ちゃんに質問した。姉ちゃんは少し言いにくそうにに言った。

「あいつ、ハルクは私と同じ頃に氷結の使途の弟子になった奴なんだ。そして、ハルクはどんどん成長していった。そして、氷の呪文を使えるようになったんだ。でも、ある日ハルクが白夜さんの下から出ていた。そして、自分の力を悪いほうへ使って世界を壊していった。それを封じたのが唯一君のお父さんだった。ハルクに掛けたのは力の封印の魔法。その副作用で体の成長までもが止まっているけれど。」

なるほどね。だから父さんの呪文が使えたんだ。

「ハルクは私たち人間と違って吸血鬼と言う事も忘れないでね。だから彼は不死なんだ。」

「あれ?でもそれじゃあ吸血鬼ってどうやったら死ぬの?」

ノワールが聞いた。

「一つは自然死てか、餓死。吸血鬼は定期的に血を吸わないと寿命が延びないから。もう、一つは銀による死。吸血鬼って十字架とか太陽とかニンニクに弱いって言うけれどあれはウソ。でも銀に弱いのは本当よ。こればっかりは科学の力らしいけど詳しい事は知らないわ。」

ついでに言うと封印されている魔力は満月に近づくにつれて徐々に回復をし満月を過ぎると徐々に減っている。これは月の魔力の影響だ。

「次に僕が狙われるのは満月の日か・・・」

僕を見つけたのだから他の生徒を襲って血を得る必要が無いのだ。

「それまでに、僕は強くならなきゃいけないんだ。」

「お、張り切ってるね。」

七海と唯が資料室から帰ってきた。

「はいこれ、唯一のお父さんの残した戦歴の書。見つけるの苦労したよ。」

僕の修行が始まった。

「来たれ風の精霊 集え雷の精よ 嵐となりで全てを打ち砕く力となれ 逆巻く嵐!!」

しかし、技は不発。これでもう十四回目だ。ここは事務所の地下にある練習所。僕は今魔法の練習をしている。

「だめだよ。この魔法は魔運用を上手くしないと。風は巻くようにその中心を雷が走るようにしないと。」と天魔の姉ちゃんが指摘する。

「はい!」

「この技は白夜さんが好んで使ってた技なんだよ。一気に敵を粉砕するからって。」

「へぇ~」

僕は再び修行を始めた。

『僕は父さんみたいなすごい魔法使いになるんだ。こんなところで立ち止まってなんかいられない。』

「来たれ風の精霊 集え雷の精よ 嵐となりで全てを打ち砕く力となれ 逆巻く嵐!!」

こんどは全てが破壊されるほどの魔力が出現し目の前を破壊していった。

「できたけど、これだとすぐに集中力が切れて気絶しちゃうわね。もっと威力を選ばないと。今はそんなに焦って目の前のものを破壊しなきゃいけない緊急事態じゃないんだから地面を多少壊す程度でいいの。」

確かに集中力が持たないや。撃った後に疲労が来るから倒れてしまうかもしれない。

「はい。」

僕は再び集中し始めた。

「唯一のやつがんばってるじゃん。」

七海がトレーニングから帰ってきた。

「でもなんだか心配だな。魔力の量が膨大過ぎて唯一君が壊れちゃいそう。」

「既にボロボロだしね。」

技の威力を調整しようとしたら反動で僕が吹っ飛ばされた。

「お、時間だね。午前の練習はここまでだよ。」

「あ、ありがとうございました。」

「はい、これ飲んで。」

唯から渡されたのはスポーツドリンクだった。既に蓋が開けてあった。

「ありがとう。」

僕は一気に飲んだ。

「あ、それね。私の作った回復薬(改)が入れてあるのよ。」

僕はその瞬間吹いた。

「ゲホゲホ。」

「ゆ、唯一君大丈夫?」

僕は咳き込んで答えられらない。

「大丈夫よ。既に部下に飲ませて見たから。結果は期待以上だったわ。」

「なら安心だ。」と七海が頷いた。

満月まで残り34時間

翌日学校へ行くとゼロライドの姿は無く職員に聞いてみると彼はよく学校をサボるそうだ。しかし困ったな。いくら一夜漬けの修行をしたところでつけ焼け刃でしかない。しかもこんなときに限って七海も唯もついでに天魔の姉ちゃんも協会から来た緊急の依頼で出払ってしまっているし。僕一人で戦うしかないわけだ。

『考えていても仕方ない。なるようになれだ。』

そんなわけで満月の夜がきた。

「どうやら死に場所を選定したようだね。」

僕はフル装備でいた。魔法薬や杖に魔法銃

「すごい装備だね。でも、いくら装備をしたところで不死の僕には勝てないよ。」

「それでも戦う。」

「うん、君はあいつに似て強情だな。なら、遊んであげよう。」

前回僕を倒したロボットが出現した。今度はまけないぞ。

『威力を押さえて魔力をコントロールして。』

「走れ閃光 闇を切り裂く雷の刃よ。」

雷の矢がゼロライドに向かって走っていく。

「雷の矢か。確かに速い上に攻撃力がある技だけど詠唱に時間が掛かりすぎているよ。うがて常しえの闇よ 放て闇の刃。」

術が相殺された。

「まだだ!古の契約に従い我に従え いでよ精霊。召喚、捕まえて。」

僕は数人をロボットに向けて残りはゼロライドに向けて。ロボットは何体もの式神の攻撃を受けて壊れた。前回は不意をつかれただけだ。

「二の舞とはつまらないな。来たれ、宿木の加護北の息吹を崇めよ」

今回は魔法薬を投げなかった。前の景色全てが凍りついた。全ての式神は時が止まったように氷に閉じ込められていた。

「砕けろ!」

式神は砕け散った。でも僕は爆発を利用して奴の横へ行けた。

「来たれ戒めく風よ。敵を束縛せよ。」

「その程度じゃ僕はやられない。水鏡。」

攻撃が跳ね返されて僕へ来た。

「しまった。」

「これで終わりだ。」

ゼロライドは僕の心臓に攻撃したその瞬間僕は消えた。

「なに?!これは式神。」

「その通り。僕だって成長するんだ。もっと上を目指して!」

僕は後ろにいた。

「来たれ戒めく風よ。敵を束縛せよ。」

僕はゼロライドを捕まえた。この呪文は基本呪文だけど捕まったら優秀な魔法使いでも五分は抜けられない。

「やるね。まさかここまでやるとはさすが白夜の息子だけのことはあるといったところか。でも、僕の口を封じなかった事を後悔するんだね。使い魔 召喚」

血を吸われた生徒が魔方陣から召喚された。吸血鬼は血を吸ったものを自分の下僕(半吸血鬼・治療可能)にする。

「しまった。」

「君はいくら半吸血鬼とはいえ一般生徒には手は出せまい。」

「っく、卑怯だぞ。」

「言ったはずだ。僕は悪い魔法使いだと。やれ」

一斉に生徒達が襲ってきた。さすがに一般生徒に危害を加えるわけにはいかない。どうすれば・・

「とりあえず空に」

しかし取り出した身の丈以上の杖を取り出したが奪われて投げ捨てられた。

「しまった。」

僕は胸に刺していた試験官(魔法薬入り)を空中に投げて呪文を唱えた。

「汝を夢へと誘え」

僕は生徒たちを眠らせた。眠りの魔法、これなら傷つけないですむ。

「ほう、危害は加えられないから眠らせるわけか。やはり君は甘いと言うか優しいと言うか。でも、十分な時間稼ぎにはなった。」

呪縛が解けてゼロライドは再び自由になった。

『っく!』

「興醒めだよ。これで終らす。時を止める牙石の王 その息吹にて敵を封じよ」

「しまった!?」

霧が僕を覆い一点に集まる。僕は急いで回避行動を取った。

「さすがに風と雷の使いてだけあってすばやいな。でもダメージは受けたみたいだね。」

左手がゆっくりと石化を始めた。

「まだ終らない。僕は・・・負けない!!」

眼帯を外した。ノワールが来て初めて死神化した。

「これが、新しい力。」

真っ白な服に銀の髪。背には赤いコウモリのような羽。手には真っ黒い鎌

「面倒なことに。なら僕も全面的に吸血鬼の力を使わせてもらうよ。」

ゼロライドの背中にコウモリのような羽が生えて牙が出る。僕は構えた。

「氷の精 集い来たり 氷爆」

目の前に氷の球体が出来て爆発した。僕は鎌を振り回して全弾はじいた。しかし、その勢いで煙がでる。

『見える。前よりもずっと。』

僕は接近してきたゼロライドを肘で打ち落とす。

「無駄だよ。」

僕の攻撃はゼロライドの体に取り込まれていった。僕は驚きと共に後ろへ後退する。

「これが僕の力だ。僕は吸血鬼で二つ名は影の闇。」

「なるほど、さすがですね。でも、貴方は僕の父さんに勝つことは出来なかった。なら、僕は貴方を倒して貴方を超えます。」

「ふ、ハハハハハ。僕を超えるだって?無理だね。魔力のコントロールもままならない君が?死神の力を使って体力を削りながら戦っている君が?笑わせるな。」

「確かに僕は自分の力を上手く制御出来てはいない、でも、それでも君には負けない。」

僕は翼を使って低空飛行で攻撃した。

「やめたほうがいいのに。」

「来たれ水の精 大気よ満ちよ」

僕は水蒸気を利用して霧を発生させた。

「霧に隠れて攻撃する気?そこか?」

しかし、振り向いた方向には鎌だけが吹っ飛んできた。

「鎌だと?」

しかし、不運な事に風が吹いて霧が晴れていった。

「そこか。」

「ワアアアアア」

気合を込めて僕は殴った。しかし、障壁で止められた。

「そんな!?僕の攻撃を障壁だけで。」

「愚かだね。明白な実力の差がある相手に正面から突っ込んでくるなんて。いくら君が接近戦を得意としているとはいえ、先ほどの戦闘で僕に打撃が通じない事も経験したはずだ。奴の息子だから少しでも期待した僕がバカだったよ。興醒めだ。」

僕は黙っていた。ただ石化した左手を近づけた。

「僕の勝ちです。解除」

突然、戒めの束縛魔法が発動した。

「呪文の詠唱無しで?!そうか、これは遅延ちえん呪文だね。」

「そう、先に呪文を唱えておいて発動を遅らせる呪文だよ。」

まだ、あまり長くは留めて置けないけど。

「まさか僕が同じ呪文を二度も受けるとは。」

僕は距離をとった。空中から僕の最大呪文を打ち込む。

「これで最後だ。僕の最強呪文で片をつける。」

もう、精神力も限界だ。次で決めないと負ける。ついでに石化が進行してかなり危険だ。

「来たれ風の精霊 集え雷の精よ 嵐となりで全てを打ち砕く力となれ 逆巻く嵐!!」

しかし、唱え終える寸前に戒めの風が解けた。

「開放」とセロライドがつぶやく。

『これって遅延呪文。まさか、捕らえられてるときに溜めていた?』

ゼロライドは溜めてたった呪文を放った。その呪文の威力は僕のはなった呪文と互角の力があった。

『この死神の力を使っても同じ威力・・・・いや、僕のほうが少し押されてる。』

携帯していた杖にひびが入り始めた。

「でも、負けない!」

僕は胸に刺さっていた魔法薬を全て投げた。

「っく、威力が上がった・・・」

術は相殺され煙だけが舞い上がった。

「う・・・・」

しかし、目の前には服がボロボロ担っただけのゼロライドがいた。

「まさか、ここまでやるとは、予想外だったよ。でもね。僕の勝ちだよ。」

僕は精神力が限界になり倒れた。僅かな意識で、奴をみた。

「さぁ、君の血を吸わせてもらうよ。これで僕は元に戻れる。」

そんなとき僕の目の前にローブをきた背の高い人物が現れた。

「あ、なた、は?」

僕の声は届いていないようだ。しかし、ゼロライドはその顔をみて驚いている。

「何故貴方がここに?死んだはずでは?」

「ふ。最強の魔法使いが簡単に死ぬかよ。」

声からして男だろう。

『最強の魔法使い?まさか!!』

僕は薄れ行く意識の中でその人物が父さんだと確信した。しかし、僕は意識を保つ事が出来ずに気を失った。

目が覚めると事務所の宿直室にいた。話によると帰りが遅い僕を探したら学園で倒れている所を七海に発見されたらしい。

「それで、ゼロライドは一体・・・」

「発見された。少し離れた森でね。魔力も体力もほとんど限界だったみたい。今は協会の方にいるよ。」と七海が言った。

「そう。」

「これで一件落着ですね。」

唯が飲み物を持ってきて言った。確かに事件は解決した。

「僕、父さんを見たんだ。」

誰もが息を呑んだ。

「でも、僕、気を失ってその人が本当に父さんだったのかわからないんだ。ノワールや雪は覚えてないか?」

「俺は覚えてないな。戦闘に集中しすぎてダメージを負った時に俺も気を失ったから。」

「私も同じです。」

「でも、もし、唯一のお父さんならゼロライドをあそこまで追い詰めるのも納得できる。もしかしたら、唯一のお父さん生きているのかもしれない。」

七海が言った。みんなが頷いた。こうして吸血鬼事件は解決した。一つの謎を残して・・・・


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