一度きりで二度目の人生
こんばんは。
二度目の人生も死んでしまいました、ミズk……水城知新です。
一度目にお会いした時は、『高校一年生で生を終えてしまったよ』というお話をしました。
簡単に振り返りますと、中学で人間関係をこじらせてしまった僕は、高校に入る頃には常時パニックのような状態になり、入学から半年で限界を超えてしまいました。
勿論、僕にとってもすごくショッキングな出来事です。
苦しいばかりの人生でしたけど、僕のベースを作った、大切な人生でしたので。
……まぁとは言え、また死んでしまいましたので。
さっそく、二回目のお話をさせて頂きます。
今から話す話は、決して『何かを成し遂げて英雄になったぜ!』とか、『自分なりに幸せに生きました!』みたいな、特別なお話ではございません。
例えば、ちょっとだけランニング中に踏ん張ってみたり、怒られるのは嫌だけど正直に話してみたり。それくらいの……ほんのちょっとの勇気のお話です。
それではお聞きください。
僕、水城知新の『一度きりで二度目の人生』
|『一度きりで二度目の人生(ゴブリンの巣窟編)』
| 体験者・水城知新
もはや僕の意識を繋ぎとめるのは、森に降り注ぐ雨の冷たさだけ。薄れかける体の感覚が、気持ちよくすら感じてしまう。
このまま、あの世へ逃げてしまえば、また楽になれるのかもしれない。
──無理矢理首だけ動かし、僕を殺そうとしたゴブリン共の背中を探す。暗闇の向こうで、鼻水みたいな黄緑の大群が揺れ動いている。
その方角は、地図にも載っていない元奴隷たちの村。
二週間前に僕と入れ替わりで死んだ、前・勇者の残した村だった。
村のリーダーは言っていた。
「残った住民には他に行き場がない。皆静かに死を受け入れるしかない」と。
同い年くらいの少女は、
「自分はこの世界の異物だから仕方がない」と他人ごとのように笑みを浮かべていた。
そんな村の姿が、僕と重なって見えてしまった。
……僕も、本当はただの異世界人でしかない。
それなのに、ギルドの人たちに拾われ、剣術や魔法を教え込まれてきた。
そして今朝、冒険者の端くれとして認められ、ついには世界を救う旅へ送り出されてしまったところだ。
そんな僕にとって、もうあの村を見過ごすのは、責任放棄みたいな気がした。
だから今夜、一人でゴブリンどもに挑みに来た。
それに──
奴隷が当たり前の世界で、ギルドに助けを求めるわけにはいかなかった。
「っつ、クゥ……はぁ、はぁ、はぁ」
だが、もはや立ち上がることすらできない。棍棒で叩きのめされた右足では、踏ん張ろうにも、これ以上力を入れると足が今にも折れてしまいそうだ……。
僕には確かに勇者の資格がある。
だが、見栄を張る資格はなかったみたいだ。
「gキィィイウイ」
突如背後から、歯ぎしりをしながら喉を締め付ける、音痴な鳴き声がする。
見張りに残されたゴブリンが、僕が生きていることに気づき、興奮し始めてしまったみたいだ。
「キィィイイイイ!!」
雨に濡れた棍棒が、僕の無防備な後頭部を真上から捉える。
「ぅがっ…ああぁああ」
居場所がないと追い詰められたとき、僕はいつも「死にたい」と嘆いてきた。
だが本当に死んだのは、一回だけ。
多分それは、現状を跳ね返す努力から逃げてきたのかもしれない。
──二度目の人生だというのに、僕は本当に生きるのが下手すぎる。
初めまして、読んでいただき本当にありがとうございます。
よろしくお願いします!




