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◆ 第5話:集いの兆し

ここまでで第1章の区切りになります。

読んでくれて本当にありがとうございます!


明日から、第2章(氷禍編)を1日1話ペースで更新していきます。

よければブクマ・評価・感想もらえるとめちゃくちゃ励みになります!

雷禍を封じ込めた翌日。

世界は、相変わらず止まったままだった。


それでも——

沈黙の空気の中に、確かに“昨日とは違う何か”が混じっていた。


美咲は屋上の縁に寄りかかり、小さく息を吐く。


「……まだ、怖い。でも……生きてる」


治癒の力を使っても、

心の疲労までは癒せないらしい。


俺は隣で、缶ジュースを開けて肩をすくめた。


「生きてるだけでボロ儲けだ。

 昨日の絶望感に比べたらな」


セリアは端末を操作しながら淡々と告げる。


「雷禍の固定は安定している。

 擬似エリアの効力も維持できているから、

 当面は、再侵攻の可能性はゼロ」


「じゃあ……本当に、勝ったんだ……?」


美咲が胸に手を当てる。


「勝ってはいないわ」


セリアは即答した。


「雷禍は“生きている”。

 いつか必ず、倒しに戻る必要がある」


その現実に、美咲は言葉を失う。

俺はその肩を、軽く叩いた。


「でもまあ——

 とりあえず“生き延びた”んだろ」


セリアは、ふと端末の表示に視線を固定した。


「……蓮、美咲。報告がある」


「ん?」


端末をこちらに向ける。


《融合者反応:複数検知》

《距離:不明(広域スキャン)》

《推定数:9〜12》


「……え?」


美咲の声が裏返る。


「そんなに……?

 今まで、私以外ひとりも見つからなかったのに……!」


「雷禍を固定したことで、周囲のノイズが消えた。

 それで信号が拾えた可能性が高いわ」


セリアは、わずかに表情を引き締める。


「ただし……

 停止後、わずか数日の間に

 これほどの人数を集められる人物となると——」


俺は直感で悟った。


「……心当たり、あるんだな?」


「ええ。

 こんな短期間で“軍”を作れる人間は……“あの人”しかいない」


美咲が、不安そうに聞く。


「……敵、なんですか?」


「敵かどうかは、まだわからない」


セリアは即答しなかった。


「ただ……簡単な人物ではないわ」


一拍置いて、セリアは画面を切り替える。


「それよりも——

 この反応位置が、気になる」


マップに赤い点が表示される。


「……“氷禍”の領域よ」


美咲の身体が、びくりと震えた。


「雷禍と同じ……七禍……?」


「ええ。

 氷の理を司る災厄人格。

 本来、近づくだけで体温を奪われ、行動不能になる」


画面が拡大される。


「融合者反応のうち、ひとつだけ……

 氷禍の領域ギリギリで停止している」


「偵察か……

 それとも、寒さで動けなくなってるのか……」


俺は息を飲んだ。


「どっちにしても……

 無事じゃ済まなさそうだな」


美咲は、思わず一歩踏み出した。


「……助けに行きたい。

 生きてる人がいるなら……放っておけない……!」


俺は、その背中を押すように言った。


「だな。

 動ける人間がいるなら、会いに行こうぜ」


セリアは最後に、低く告げた。


「……氷禍は、雷禍とは違う。

 極めて“理性的”で——」


一瞬、言葉を選ぶように間を置く。


「そして……“残酷”よ」


止まった世界を、冷たい風が抜けていく。


俺たちは顔を見合わせ、ゆっくりと頷いた。


——この先に待つのは、

味方か。

それとも、新たな地獄か。


それでも、足を止める理由はなかった。


三人は、氷禍の領域へ向けて歩き出した。


第1章、ここまでお付き合いいただきありがとうございました!


次章からはいよいよ《氷禍》編に突入します。

本格的に災厄との戦闘が始まります。


明日更新予定なので、よければ続きも読んでもらえると嬉しいです。

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