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夏のホラー参加作品

排水口


俺は昔、40年程前人を殺した。


2010年に法が改正され殺人の公訴時効が廃止される直前に、公訴時効が成立して逃げ切れる。


高校3年の夏に殺人を行い、43で時効になるまで何時捕まるか? 何時俺が犯人だと発覚するか? ビクビクしながら暮らしていたものだ。


高校に入学した最初の夏休みに都内に遊びに行って知り合った、20程年上の女。


性に飢えていたのと小遣いを貰えていた事で付き合い続ける。


付き合っている途中、女の方から「私ももう40間近だから結婚したいの、だから別れましょ」って言われたんだけど、性の捌け口と小遣いが無くなるのが嫌で、「俺が高校を卒業したら結婚してやるよ」と心にもない事を言って引き止めた。


それで3年の夏休みになる前、女が「あなたの両親に挨拶に行かなくちゃならないわね」なんて言いやがったんだ。


冗談じゃない、大学にも進学したいし20も上のババアじゃ無く若い女の子たちとも遊びたい。


だから夏休みに入った7月の終わり頃、女と隣県のダム湖までドライブに行き、首を絞めダム湖に破棄。


事前に用意していたブロック数個を括り付けてダム湖に沈めたのに、1週間程で遺体が発見された。


遺体が発見されてからは何時捜査の手が伸びて来るかと、ビクビクしながら暮らしてたんだけど、女は親しい友人にも俺の事を話して無かったようで、捕まらずに逃げ切れる。


殺した女の事は逃げ切れたあとは思い出す事も無く、ついさっきまで忘れた。


起床して新聞受けに入ってた新聞を広げて読んでたら、女を沈めたダム湖がある川の水が都内の渇水に備えて、うちの県や都内を流れる川に水路で繋がった事が載っていたんだ。


それで女の事を思い出した。


思い出したって言っても、そんな女がいたな〜って感じでだけどな。


それで洗面所に行き顔を洗おうと蛇口を捻り水を出したら、水が排水口から流れずに溜まって行きあの女の顔になったんだ。


顔が出現すると共に水で出来た腕が2本伸びて来て、俺の顔を水の中に押し込む。


『やっと会えたわ、昔は私の方が年上だったけど、今は貴方の方が年上になっちゃったのね、髪も真っ白になっちゃって、迎えに来たの、結婚は出来なかったけど、此れからは何時までも一緒にいましょうね』


「ガボガボゴボゴボ」


意識が遠のき、心臓の鼓動が停止すると俺の魂は身体から引きずり出され、女に手を引かれて排水口から流れ出て行った。






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