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王都バレラルクで異常事態発声
王宮周辺にいた多くの者が、突如発生した謎の火柱に視線を奪われていた。
「なんだ!?あれは??」
エンディはとても驚愕している様子だった。
演習中の訓練生たちも皆、足を止めてポカーンとしていた。
すると、バレンティノが血相を変えて火柱の上がった方向へと走り始めた。
それを見たポナパルトは険しい表情をしながら「演習は一時中断だ!」と叫び、バレンティノの後を追って走り出した。
これはただならぬ事態だと、エンディ達は直感していた。
「何が起こったんだろう。」
ラベスタがボーッとしながら言った。
「分からない…ちょっと俺も行ってみる!」
エンディは意を決した様子で、火柱の上がった方向へと走り出した。
エスタは取り乱した様子で、王宮の方角へと走り出した。
ロゼの身を案じているようだった。
「おいこらクマシス!どこだ!俺たちも向かうぞ!!」
サイゾーは怒号を発しながらクマシスを探していた。
「…俺はどうすればいいんだろう。」
ポツンと1人取り残されてしまったラベスタは、ボケーっとしながらどうするべきかゆっくり考えていた。
玉座の間には、レガーロとモスキーノがいた。
「何やら外が騒がしいな。」
「ぶっとい火柱があがってましたよー!」
モスキーノは窓から身を乗り出し、火柱が出現した方角を見ながら楽しそうにしていた。
「気になるなら見に行っても構わんぞ。」
レガーロが見透かしたような言い方をすると、モスキーノはぎくりとした。
「いやいや〜、国王様を1人残してそんなことできるわけないじゃないですか〜!」
モスキーノが軽い口調でそう言うと、玉座の間にロゼが入ってきた。
「そいつの護衛は俺に任せろ。お前は現場に行ってもいいぜ?」
ロゼがそう言うと、モスキーノは怪訝な表情でロゼを凝視していた。
「…若がそうおっしゃるのなら。」
「ああ。"物騒な奴ら"が侵攻してきてるかもしれねえからな。」
「そうですね〜!賊軍は見つけ次第確実に殲滅いたしますので、御安心を!」
モスキーノはキリッとした表情でそう言って、玉座の間を出て行った。
「貴様が私の護衛を買って出るとは、どういう風の吹き回しだ?」
レガーロは厳格な表情でロゼを見ながら言った。
ロゼは、何やら物々しい雰囲気を纏っていた。
「誰があんたの護衛なんかするかよ?俺はなあ、あんたに引導を渡しにきたんだ。」
「どういう意味だ?」
レガーロは鋭い眼光でロゼを睨みつけながら言った。
「国王の座を俺に譲れって言ってんだよ。本当の意味で魔法大戦も終結したことだし、ちょうどいい節目だと思うけどな?」
「何を言い出すかと思えば…。」レガーロは深いため息をつき、心底呆れるように言った。
「あの火柱は"例の奴ら"の仕業かもしれねえぜ?奴らが侵略してきたら、あんたみたいなお飾り国王には何もできねえだろ?そうなりゃ国が滅びちまう。だが、俺が国王になれば奴らと上手く渡り合える!だからあんたは隠居しろっつってんだよ。」
「自惚れるな愚息めが!己を知れ!」
レガーロは恐ろしい表情をしながら、威圧的な口調で言った。
しかし、ロゼは微動だにしていなかった。
「何も分かってねえな…神々に逆らった時点で、あんたはもう詰んでんだよ…!」
ロゼは酷薄な表情でレガーロを直視しながらそう言った。
レガーロの表情は、より一層厳格になった。
「うーん、困った。どうしよう。エンディの後を追うべきか、ノヴァを探すべきか…。」
ラベスタは演習場を後にし、1人でフラフラと呑気に歩いていた。
「ラベスタさーん!」
そう呼ばれ後ろを振り返ると、アルファがこちらに向かって走ってくるのが見えた。
今にも盛大に転んでしまいそうな、危なっかしくて鈍臭そうな走り方だった。
「あれ?お前はたしか…アルファ?」
「はい!ラベスタさん、何してるんですか?」
「変な花火みたいなのが上がったせいでみんな混乱してるから、副団長として何をすべきか考えてる。アルファは何をしているの?」
ラベスタは呑気な口調でそう言った。
「奇遇ですね、僕も自分のやるべき事をしようと思ってました!」
アルファはニコリと笑ってそう言った。
「やるべき事って?」
「うーん、まあ…そろそろ潮時かな?と思いまして…」
アルファがそう言うと、ラベスタの頭の中には疑問符が飛び交った。
「アルファ…さっきから何言ってるの?」
「アルファなんて人間は存在しないよ。」
アルファはそう言うと、右手の人差し指をラベスタに向けた。
すると、アルファの人差し指から一雫の水滴がビュッと音を発しながら、弾丸の如く弾けた。
その水滴の弾丸は、ラベスタの腹部を貫通した。
「くっ…!?」
ラベスタは何が起きたのか理解ができず、そのまま倒れ込んでしまった。
「僕の本当の名前はアベル。これから愚かな豚どもに天罰を下す。」
アベルは、冷酷な笑みを浮かべながらそう言った。
アルファが裏切り!
真の名はアベル!




