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輪廻の風  作者: 夢氷 城
第2章
34/158

2-3

王都バレラルクで異常事態発声

王宮周辺にいた多くの者が、突如発生した謎の火柱に視線を奪われていた。


「なんだ!?あれは??」

エンディはとても驚愕している様子だった。


演習中の訓練生たちも皆、足を止めてポカーンとしていた。


すると、バレンティノが血相を変えて火柱の上がった方向へと走り始めた。


それを見たポナパルトは険しい表情をしながら「演習は一時中断だ!」と叫び、バレンティノの後を追って走り出した。


これはただならぬ事態だと、エンディ達は直感していた。


「何が起こったんだろう。」

ラベスタがボーッとしながら言った。


「分からない…ちょっと俺も行ってみる!」

エンディは意を決した様子で、火柱の上がった方向へと走り出した。


エスタは取り乱した様子で、王宮の方角へと走り出した。

ロゼの身を案じているようだった。


「おいこらクマシス!どこだ!俺たちも向かうぞ!!」

サイゾーは怒号を発しながらクマシスを探していた。


「…俺はどうすればいいんだろう。」

ポツンと1人取り残されてしまったラベスタは、ボケーっとしながらどうするべきかゆっくり考えていた。


玉座の間には、レガーロとモスキーノがいた。


「何やら外が騒がしいな。」


「ぶっとい火柱があがってましたよー!」 

モスキーノは窓から身を乗り出し、火柱が出現した方角を見ながら楽しそうにしていた。


「気になるなら見に行っても構わんぞ。」

レガーロが見透かしたような言い方をすると、モスキーノはぎくりとした。


「いやいや〜、国王様を1人残してそんなことできるわけないじゃないですか〜!」

モスキーノが軽い口調でそう言うと、玉座の間にロゼが入ってきた。


「そいつの護衛は俺に任せろ。お前は現場に行ってもいいぜ?」

ロゼがそう言うと、モスキーノは怪訝な表情でロゼを凝視していた。


「…若がそうおっしゃるのなら。」


「ああ。"物騒な奴ら"が侵攻してきてるかもしれねえからな。」


「そうですね〜!賊軍は見つけ次第確実に殲滅いたしますので、御安心を!」

モスキーノはキリッとした表情でそう言って、玉座の間を出て行った。


「貴様が私の護衛を買って出るとは、どういう風の吹き回しだ?」

レガーロは厳格な表情でロゼを見ながら言った。


ロゼは、何やら物々しい雰囲気を纏っていた。


「誰があんたの護衛なんかするかよ?俺はなあ、あんたに引導を渡しにきたんだ。」


「どういう意味だ?」

レガーロは鋭い眼光でロゼを睨みつけながら言った。


「国王の座を俺に譲れって言ってんだよ。本当の意味で魔法大戦も終結したことだし、ちょうどいい節目だと思うけどな?」


「何を言い出すかと思えば…。」レガーロは深いため息をつき、心底呆れるように言った。


「あの火柱は"例の奴ら"の仕業かもしれねえぜ?奴らが侵略してきたら、あんたみたいなお飾り国王には何もできねえだろ?そうなりゃ国が滅びちまう。だが、俺が国王になれば奴らと上手く渡り合える!だからあんたは隠居しろっつってんだよ。」


「自惚れるな愚息めが!己を知れ!」

レガーロは恐ろしい表情をしながら、威圧的な口調で言った。


しかし、ロゼは微動だにしていなかった。


「何も分かってねえな…神々に逆らった時点で、あんたはもう詰んでんだよ…!」

ロゼは酷薄な表情でレガーロを直視しながらそう言った。


レガーロの表情は、より一層厳格になった。



「うーん、困った。どうしよう。エンディの後を追うべきか、ノヴァを探すべきか…。」

ラベスタは演習場を後にし、1人でフラフラと呑気に歩いていた。


「ラベスタさーん!」

そう呼ばれ後ろを振り返ると、アルファがこちらに向かって走ってくるのが見えた。


今にも盛大に転んでしまいそうな、危なっかしくて鈍臭そうな走り方だった。


「あれ?お前はたしか…アルファ?」


「はい!ラベスタさん、何してるんですか?」


「変な花火みたいなのが上がったせいでみんな混乱してるから、副団長として何をすべきか考えてる。アルファは何をしているの?」

ラベスタは呑気な口調でそう言った。


「奇遇ですね、僕も自分のやるべき事をしようと思ってました!」

アルファはニコリと笑ってそう言った。


「やるべき事って?」


「うーん、まあ…そろそろ潮時かな?と思いまして…」

アルファがそう言うと、ラベスタの頭の中には疑問符が飛び交った。


「アルファ…さっきから何言ってるの?」


「アルファなんて人間は存在しないよ。」

アルファはそう言うと、右手の人差し指をラベスタに向けた。


すると、アルファの人差し指から一雫の水滴がビュッと音を発しながら、弾丸の如く弾けた。


その水滴の弾丸は、ラベスタの腹部を貫通した。


「くっ…!?」

ラベスタは何が起きたのか理解ができず、そのまま倒れ込んでしまった。


「僕の本当の名前はアベル。これから愚かな豚どもに天罰を下す。」

アベルは、冷酷な笑みを浮かべながらそう言った。


アルファが裏切り!

真の名はアベル!

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