【4】天使か悪魔か
俺はいま、両腕を黒髪ロングの清楚系美少女に掴まれてブランブランと遊ばれてます……。
ってこれどういう状況!?
ちなみに振り返るともっとややこしい状況であり、この子は自称天使だといういわゆる痛い―「あの~ご注文は何になさいますか?」
「プレミアム抹茶パフェでお願いします!」
俺の両腕から離してメニューに目を向けていた天使が笑顔で言った。
可愛い……。じゃない!そんなに財布にお金入ってあったかなぁ...…。
「他にご注文は何になさいますか?」
もう一度店員さんが確認をしてきた。
まさか二人で入って一つだけ注文な訳にもいかないよなぁ……。
「あっ、えっと……あとドリンクバー2つ!」
「かしこまりました!ご注文を確認致しますね。プレミアム抹茶パフェお1つとドリンクバーお2つですね。以上でよろしいですか?」
「あっ、はい―」
「―待って下さい!この期間限定のプリンアラモードパフェも美味しそうじゃないですか?」
「えっ……。いや、あのね」
「ねぇー2人で分けあってシェアしましょうよー」
持っていたメニューから手を離して、再び俺の両手を掴んでブランブランと揺らし始めた。
「……分かった分かった。えっとあとプリンアラモードのやつも―」
俺は心の中で泣いていた……。
好きな子に屈辱的なフラれ方をして傷が癒えないなか、帰りに校門前で同じ学校の制服を来た謎の美少女に出逢い、彼女の正体は自称天使だと名乗る痛い子であった。
もちろんそんな訳の分からない子から逃げようとしていたが……必死に掴まえてくる彼女を振り払うことも出来ず……。
とりあえず、ファミレスでゆっくりと話をしようと提案したが……。
それは間違いだった!!
「あのですね!女の子とこういうお店に入ったら、最低1人1個ずつ頼まないと女の子の方も気を遣って食べられないですしね、お金の無い甲斐性なしだとも思われますしね、こうやってシェアして2つの味を楽しむ事も出来なくなっちゃうんですよ!」
2つのパフェを交互に頬張りながら意気揚々と語る彼女。
これがまた可愛いんだよなぁ……。じゃない!!
「いや、さっきから一人で食べてない?シェアって2人ですることじゃ……」
「えっ?私はさっきから交互にシェアして食べてますよ!目の前でずっと見てるじゃないですか~わ・た・し・の・こ・と」
自称天使は再び人差し指を作り、自分の顔に指差して顔を横に傾けていた。
また、そんなポーズをして~この子は自然にこう言うことをやってるんだろうか?
それともわざと?
いや、可愛いんだけど……めちゃくちゃ可愛いんだよ!
でも何だろう?この違和感というか何というか……。
清楚系の美少女に見えつつ、性格は小悪魔?
天使じゃなくて悪魔だよなぁ……。
「もう!何を考えてるんですか?私じゃ不満なんですか?」
うわっ。しかめっ面をしてるのも……。
じゃなくって!
「不満とかじゃなくて!何で俺が会ったばかりの君に協力とかしないといけないんだよ?てかそもそも協力って……」
「それが不満じゃないですか……」
「アハハハ……」
こんな美少女相手に不満をぶちまけるなんて普通に考えて贅沢すぎる状況だった。