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幻想シンヴォレオ  作者: HuA
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第一章 光と影の出会い

独学屋のHuAです。

作曲の独学から始まり、2023年2月からイラストも独学で初めて、オリキャラを何人考えました。

そのオリキャラに意味を持たせたくて、ゲームも独学で作ってみようと思い、どうせストーリー考えるなら小説も書こうってことでここに残させていただきます。

完全自己満足ですがどうぞよろしくお願いいたします!!!


第一章 エピソード0

         ~光と影の出会い~

 私はいつもそうだ。

 自分が決めた正しいと思う行動を選び、その道を踏み外さないように必死に足掻いた先には必ず答えあると思っている。

 -「グルルルルゥ…」

 しかし実際のところ、本当の自分は無力でこの世界のちっぽけな人間に過ぎないことを。

 「こ、こないで…!」

 世界はいつもそうだ。

 私は旅の途中でタガラ村に訪れていた。

 他と比べて少し荒れた印象を感じたが、村の人たちは旅人である私に優しくおもてなしをしてくれた。

 瑞々しく、酸味と甘さがちょうどいいリンゴ。脂が多いが、くどみが少なく食べやすい猪肉。そして、古くから受け継がれてきた綺麗な藍染の服。

 どんな状況であっても、この村だから産まれる産物。

 基本的に旅人は冷たい目で見られる。私がここに訪れる前に宿泊した町では、住民達はあからさまに距離を置いている。関わらないようにしているのだ。それだけならまだ幸せなほうであろう。酷いときには石を投げられ、時には酒瓶を投げられる。

 宿なんて目が飛び出るぐらいの値段設定された上に、とてもじゃないが眠れそうにないぐらいの部屋に泊まらされたっけな。

 この世界は創造精霊『インフィニア』が作り出し、10体の精霊神によって形を保たれている。

 インフィニアは世界を作り出すのと同時に、その世界に住民として精霊を産み出した。

 しかし次第に増えていった精霊たちは、価値観のぶつかり合いによって争いを始めてしまう。

これが昔から伝わるおとぎ話『精霊大戦』である。

 見かねたインフィニアは、おのれの力によって数体だけを残し消滅させた。

 そして選び出した10体の精霊と、選ばれなかった精霊に対して罰を与える。




 この世界に『人間』を作り出す。これは何もない空っぽな人形だ。

 まず選ばれたお前たちは、この世界の人間の基礎となる理を作り出せ。それは知恵でも舞台でも一生でも何でもいい。

 選ばれなかった精霊は、人間の助けになる事を作り出せ。

 その中で人間の住む世界を永遠に維持し続けろ。それが私が与える罰だ。




 そして選ばれた10体の精霊は精霊神として、それぞれ

忍術 忍耐 宇宙 魂 技術 悪魔 マナ 動物 生死 正義 を作り出した。

 だが次第に自我が強くなっていった人間同士がぶつかり合い、各地で国を作り出したことにより、格差が生まれ人間にも恵まれた人間と恵まれない人間ができ始める。

 精霊神達はそれを抑えるべく人間界に現れるが、力を手に入れ過ぎた人間の手によって封印され、魂だけが取り残された。

 精霊神の力による制圧がなくなった人間達は、精霊の魂を宿らせて国の力として利用を考えた。

 その際精霊神の自我に飲まれないように、国で選ばれた人間を修行させる文化が出来上がった。

 私はそんな世界が嫌いだ。

 だから今自分の意志でここにいる。

 噂話が耳に入り込む。

 「隣のご主人が森に行ったきり帰ってこないんですって…」

 「あの森は最近ガルガの住処になってるみたいだからもしかしたら…」

 「国からの追放にさらにモンスターの脅威なんて…もうこの村も終わりなのかもな…」

 この村が終わる…?

 こんなにおいしいリンゴも猪肉も、こんな素敵な藍染も親切な人たちも全て無くなっちゃうの?

そんなのはヤダ。

「もしよかったらその話詳しく聞いてもよろしいでしょうか?」






 私はいつもそうだ。

 自分が決めた正しいと思う行動を選び、無くしたくない存在を守ると決めても実際は無力でこの世界のちっぽけな人間に過ぎないってこと。

 世界はいつもそうだ。

 本当は美しく温かい存在も権力を持ってしまえば何も意味のない存在になって見捨てられてしまう。

 私はこの世界が嫌いだ。

 私はこの世界を変えたい。

 守りたい。

「はは…でもこんなんじゃな…」

 ガルガが牙を向けて加速し始める。

 「あきらめるな!!!」

 急に聞こえた声に顔を上げる。

 確かに自分目掛けて襲ってきたガルガは目の前で矢は刺さったまま倒れている。

 「たすかった…の?」

 「大丈夫?もう少し遅かったらあなた死んでたよ」

 そう声をかけられて手を差し伸べられる。

 改めて声の正体に顔を合わせた。

 銀髪を後ろで縛り、凛とした立ち方、少し余裕の浮かべた表情の綺麗な女性の方が弓矢を装備していた。

 「あ、ありがとうございます。でも、どうしてここに?」

 「あたしも村の人から話聞いてね、この森にきたんだ。そしたら、少し前に森にガルガを討伐しに行った旅人がいると聞いて加勢しに来たんだ。」

 「そうなんですね…すみません、こんなに弱いのに…私と比べたらあなたのほうが先に来てたほうが…」

 「フレム」

 「…え?」

 「あたしの名前!日暮フレムって言うの。」

 「は、はい…それじゃ…フレム…さん?」

 「さんなんて要らないよ!呼び捨てで大丈夫。」

 すごい明るい印象だな…私もこんなに明るくて強い人だったらな。

 実際、村のために森に来ても何もできなかった。

 フレムが来てくれなかったら私も死んで、村も結局何も変わらなかっただろう。

 遅かれ早かれフレムが村を訪れるなら。森へ行くなら。私はきっと何もしないほうがよかったのだろう。

 そんなネガティブなことばっかり考えつく。

 「あんたさ、こんなんじゃって言ったよね?」

 「え?は、はい。」

 「どんな理由かも性格かもあたしはわからない。けど、もし仮にあんたが本当にやりたいことと自分の弱さがかみ合わない状態だとしても、村のために一人でこの森に来て、一人で立ち向かったことは決して間違いのない選択だ。そして、それはしっかりと正義の心。かっこいいと思うよ。」

 驚いた。

 私は自分の行動は、正義を語るために勝手に思い描いていた自己満足なんじゃないかと思った。

 実際自分の力がなくて死にかけて、正義とは程遠いい。

 「だからさ、こんなんじゃなんて思う必要はないと思うよ。あんたが先に来てくれてたおかげで弓矢一本で倒すこともできた。ちゃんとした正義だから、あんたは今生きているんじゃない?」

 そっか。

 私は私の正しいと思う行動でいいんだ。

 現実は歯が立たないぐらい弱いかもしれないけど、きっと自分を信じて進めばきっと本当の正義が掴める。

 だから今、生きている。

 「…リリア」

 「…え?」

 「私の名前…羽叉リリアって言うの…」

 「リリア…!いい名前だ!よし、早く村に帰って討伐祝いでもしよう!」

 フレアは笑顔を向けた。

 その笑顔は私は太陽に眩しかった。

 彼女の性格は私とは正反対だ。でも、きっと彼女の中には私と同じ正義があると思う。

 もし彼女を眩しい光で例えるなら。

 きっと私はその光の届かない影なんだろう。




 同じ正義でもこんなに違う。

 そんな彼女に憧れを抱いた。

 そして同時に…




 妬みも生まれた。

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