一話 神様の話をしました
一話 神様の話をしました
元日。要とエスパーダはスミス姉妹との待ち合わせに使った神社に来ていた。実家に寄る前に初詣に行こうということになったのだ。
「人間は不思議ね。クリスマスにはサンタのお迎えして、年の初めに神様にお願い事をしに行くなんて」
クリスマスの認識が違う気がするが、要はスルーした。
「小人族には神様っているの?」
「小人族を作ったのは箱庭の神様って言われてるの。人間の世界を箱庭の中に再現した神様でね。じっと私達を見るのが趣味だったんだ」
「だった?」
「破壊神ってのが箱庭をぶっ壊して、小人族は人間の世界に散っていったそうよ。それで箱庭の神はショックで何もしなくなったの」
確かにせっかく作った物を壊されたらやる気をなくしてしまうこともあるだろう。しかし人間臭い神様だ。
「じゃあ箱庭の神を信じてるの?」
「箱庭の神は小人族を作ってくれたけど、壊された後は何もしなかったから、あんまり頼りにしてないかも。破壊神は嫌われてるし」
「ふーん」
「それにほとんどの小人族は人間の文化に染まってるから、人間の宗教を信じてる連中もいるよ」
「エスパーダは?」
「私は全然。要みたいにお願いする神様はいない」
「俺は……っていうか一般的な日本人は初詣に行く時くらいしか神様に願い事をしない」
「何それ。一日しか信じないの? 変なの」
言われてみればそうなので、要はエスパーダに合わせて笑うことしか出来なかった。




