経緯
いつか。
もし。
そのときが突然来たら。
いつかあなたに言おうと思っていた言葉が、あなたに伝えられなくなるかもしれない。
ふと、人の死を目にして、耳にして、考えることがある。
もちろん、通常の順番であれば私の方があなたよりもずっと先だ。
でもそのときは、まだきっと先なんじゃないかなって思ってる。
そう願ってはいるけれど、想像以上に繰り上がり当選になってしまって、お先に逝きすぎてしまう可能性は十分ある。
だがしかし逝きすぎならまだマシな方で、長く生きすぎて超迷惑な荷物になる可能性だってある。
はよ召されって思われちゃうかもしれない。
うーん……思っててもいいけど、口にはしないでほしいなあ。泣いちゃうから。
なるべくそうならないように気をつけたいと思ってる。もしそうなったら本当にごめん。先に謝っとく。マジでごめん。
自分の両親を見ていて、墓まで持っていけないお金を、どうやって遺していくかは知識として得たし、少ないけれど、ひとまず今なにかあっても今の収入程度の金額であれば、安定してあなたの手元に行くような準備はできている。
その点は安心してる。
それだけで十分かなって思うのもある。
でも、なんとなく、もうちょっと何かしたいなって思ってしまった。
でも……いま自分がしようとしていることを、自分が親からされたら、勘弁してくれってなると思う。
金だけでいいって。
言葉は重いって。
いらねって。
たぶん、そう言うな。
それも書面でなんて残されたら罰が当たりそうで怖くて捨てらんないし。
マジでやめてってなるな。
でも自分は遺してみようかなって考えている。迷惑な話だ。
私がいなくなった世界で生きていくあなたに。
少しでも何かの役に立てたら。
これは私が家族にあてる手紙。
もしかしたらやっぱり重いし恥ずかしいから渡すのをやめてしまうかもしれない手紙。
自分の家族に向けた言葉だから、すごく身も蓋も忖度もない言葉がたくさん出てくると思う。
思わず読まされてしまった被害者のあなたにも、先に謝罪をしておきたい。
巻き込んでごめんね。
・・・・・
まさかブックマークする人がいるとは思いませんでした。
たいした内容じゃないですが、適当に眺めていってください。