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オリビア魔石宝飾店へようこそ ※Web版  作者: 優木凛々
おまけ

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【Web特別編】オリビア、にくきゅうに魅了される3/3


エリオットがディックス商会の看板猫を連れて来たところからです。

 

 3人は店を閉めると、作業部屋に入った。


 突然知らない場所に連れて来られ、猫は警戒するような表情をするものの、エリオットが持って来た芋を取り出すと、すぐにそちらに集中し始めた。お皿の上に置かれた芋を美味しそうに食べ始める。


 その間、オリビアは手早く魔法陣の準備をした。

 型を取るためのフワフワした泡を作業台の上に置く。


 そして、お腹が満たされて満足げな表情を浮かべる猫を見ると、その後ろにいるエリオットに声を掛けた。



「じゃあ、おいもを抱っこして、作業台の前の椅子に座ってくれる?」

「分かりました」



 エリオットが猫をよいしょと抱き上げると、膝に乗せるようにして椅子に座る。



「じゃあ、猫ちゃんの手を泡の上に乗せてくれる? 多少動いても大丈夫よ」



 エリオットが猫の前足を泡の上に乗せた。



「こんな感じですか?」

「ええ、それでいいわ。おいもちゃんの様子はどう?」

「そうですね。機嫌が悪くなりつつありますが、まだ耐えれる感じです」

「わかったわ、急いでやるわね」



 オリビアは魔法陣に向かうと、素早く両手を掲げた。。

 魔力を込めながら、ゆっくりとつぶやく。



「《魔法陣起動》」



 オリビアの魔力を注がれた魔法陣が、金色の光で満たされていく。

 ちらりと猫を見ると、うろんげな表情で魔法陣を見つめている。


 これは急いだ方が良さそうね、とオリビアは口を開いた。



「《包覆ほうふく》」



 白いふわふわの泡が、機嫌の悪そうな猫の手の下半分を包み込み、うっすら白い光を放つ。


 そして、魔法陣が光を失ってしばらくして、オリビアは猫の手についている泡に手を伸ばした。

 白い泡はしっかりと固まっており、中央に“にくきゅう”の跡がしっかりと残っている。


 オリビアは思わずその場で飛び跳ねた。



「やったわ! ばっちり取れてる!」



 ロッティが、白い泡をのぞきこんで、「これはバッチリですね」と感心したように言う。


 その後、猫が残りの芋を夢中で食べる横で、3人はお茶を飲みながら話し合いをした。

 エリオットからは、魔法陣が光った瞬間、猫が一瞬ビクッとしたので、光が見えないようにした方が良いかもしれない、という意見が出る。



「そうね。型を取ることだけ考えていたから、猫が快適に過ごせる方まで気が回らなかったわ」

「魔法陣を光らせないことってできるんですか?」

「できなくはないけど、この場合は布か何かで覆って光を見えなくする方が楽だと思うわ」



 そんな会話をした後、エリオットと猫が店に戻っていった。


「ありがとうね」


 と手を振りながら、その後姿を見送るオリビア。





 ――そして、2週間後。



「で、できたわ!」



 遂に“にくきゅう”チャームが完成した。

 猫の手の形の銀のプレートに、にくきゅうを模したピンクのぷにぷにの素材が付いており、見た目はまさに“にくきゅう”そのもの。実に可愛らしい。

 小さいながらも魔石が付いており、効果は『虫よけ』で、持っていると虫刺され防止の効果があるという優れモノだ。

 しかも材料が手に入りやすいので、値段も安価に抑えられる。



「これは絶対に喜ばれるわ!」



 とりあえず協力してくれた人たちにお礼をしようと、オリビアは3つ同じものを作った。

 ロッティ、サリー、エリオットへのプレゼント用だ。



(作り方は分かったし、あとは流行り始めたら、また作ればいいわね)



 そんなことをのんびり考える。


 しかし、事態は予想外の方向に向かうことになる。


 ロッティのチャームを見て、友達の何人かが是非欲しいと申し出て来たらしい。



「あの、3人分なんですけど、作れますか? もちろんお金は支払います」

「ええ、もちろんよ」



 そして、この3つを作り終わった頃、エリオットが突然店に現れた。

 店の女の子がチャームを見て、是非自分も欲しいと言い始めたらしい。



「申し訳ありませんが、20個作って頂けませんか」

「え、20個も?」

「はい、男性も欲しいと言い出す者が出てきまして。もちろんお代は払います」

「……え、ええ、分かったわ、ちょっと時間はかかるけど、がんばるわね」



 そして、ようやく作り終わったと思ったら、今度はサリーが店にやってきた。

 サリーの付けているチャームを見て、お得意さんが人へのプレゼントとして配りたいと言い出したらしい。



「数が50個らしいんだけど、できる? お金は多めに払うそうよ」

「…………何とかするわ」



 とまあ、そんなこんなで注文が相次ぐことになり、オリビアは3人に薦められてデザインの特許を取った。

 他の工房にも、にくきゅうチャームを作ってくれるようにお願いする。


 そして、その後も引っ切り無しに注文が続き、

 気付けば「にくきゅうチャーム」はいつの間にか王都の新たな流行りとして知られるようになったという。





これにてWeb版特別編は終わりです!

お付き合いいただきましてありがとうございました(*'▽')


※本SSは、書籍3巻には含まれていないWeb版オリジナルの内容になります



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― 新着の感想 ―
私もこのにくきゅうチャーム欲しいです 虫除けにもなって可愛いチャームは最高ですね
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