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前編

アリア・グリニス公爵令嬢は、今、幸せの絶頂にいた。

隣国のコーザス帝国のフィルネオ皇太子と共にカーナ王国の王宮のフロアで、ダンスを踊る。

フィルネオ皇太子は、男らしく整った顔をしていて、それでいて博識で。


彼が王立学園に毎年、留学と称して学ぶ期間は一ヶ月。

アリアは今年学園を卒業するのだが、フィルネオ皇太子と親交を深める事が出来た。

知り合えば知り合う程、惹かれていく気持ちが押さえられない。


アリアは、カーナ王国のリード王太子と婚約をしていたが、リード王太子自身、最近はレリーナ・ダビン男爵令嬢と親しくしており、アリアとの仲は冷え切っていた。


だから、アリアは期待していたのだ。

卒業パーティで、婚約破棄をしてくれないかと。

そうすれば、もしかしたらフィルネオ皇太子が、自分に結婚を申し込んでくれるかもしれない。そう匂わせるような発言をフィルネオ皇太子自身もしていた。


「君みたいな素敵な方が、私の妻になってくれれば、とても嬉しい。」


ダンスが終わり、フィルネオ皇太子に耳元で熱く囁かれるアリア。

アリアは頬を赤らめて。


「でも、わたくしは婚約者のいる身。それは無理な話ですわ。」


「リード王太子は、他に親しくしている令嬢がいるのだろう?」


「我が公爵家は、王家からの申し出でわたくしが婚約者になっているのです。

王家から断りが無ければ、自由な身になれないのですわ。」


「それなら、もし、自由な身になったら、貴方にプロポーズしたい。」


「貴方様には婚約者はおられないのですか?」


「私にも婚約者はいるが、彼女は他の男性に好意を寄せている。だから、君が妻になってくれると言うのなら、彼女と婚約破棄をしよう。彼女もその方が幸せなはずだ。」


「まぁ…嬉しい。卒業パーティで、リード王太子殿下から婚約破棄されないかしら。」


本当にリード王太子は、フィルネオ皇太子と違って、背も低く、ぱっとしない顔立ちだ。

我儘で、上から目線で王妃教育を頑張ってきたアリアに接してくるものだから、

アリアとしても面白くはなかった。


なんの為に王妃教育を頑張ってきたの?

わたくしだって、国王様に頼まれなければ、貴方なんかと結婚したくはないわ。


アリアも心の底からリード王太子を馬鹿にして、嫌っていたのである。

それがとある時を境にアリアの心に180度の心境の変化が生まれた。



「おはようございます。リード様。今日はクッキーを作ってきましたの。ベリーのクッキーですわ。お食べになって。」


教室でレリーナ・ダビン男爵令嬢を侍らせて機嫌よく話をしていたリード王太子は驚いたような顔をして。


「何だ?アリア。毒でも入っているのではないか?クッキーなんぞ作ってくるなんて。お前は俺の事を蛇蝎の如く嫌っているとばかり思っていたが。」


「わたくし、反省をしたのですわ。ああ、宜しければ、レリーナ様もお食べになって。もし、毒が心配なら、わたくしが一つ食べてから、差し上げますわ。」


アリアはクッキーの袋を開けて、一つ、食べて見せる。


「初めて作ったにしては美味しいですわね。さぁ。二人とも。」


リード王太子はクッキーを床に叩きつけて。


「今更何の真似だ。薄気味悪いぞ。」


アリアはクッキーを拾い集め、


「又、作って参りますわ。ではごきげんよう。」


ベリーのクッキーに毒は入ってはいない。

このクッキーはアリアにとっては、特別な物。

新たなる決意を奮い立たせる為に、作っただけなのだ。


昼休みに入ると、アリアはリード王太子とレリーナが食事をしている所へやって来て。


「わたくしもご一緒していいかしら。わたくし達、婚約者なのですのよ。でも、レリーナ様は王太子殿下の特別な方。是非ご一緒したいわ。」


リード王太子は、ため息をついて。


「仕方がない。ほら、座れ。」


アリアはリード王太子の向かい側に座る。

リード王太子はレリーナを隣に座らせてイチャイチャと食事をしていたのだ。


「リード様。わたくし、本当に反省しておりますの。ですから、これからの事、相談させて下さいませ。」


「何だ?これからの事って。」


「レリーナ様は、王太子殿下から、色々と買って貰って散財しておいでですわね。」


レリーナはにっこり笑って。


「だって、殿下が買って下さるんですもの。レリーナが欲しいっておねだりすると。」


「でも、このお金って国庫から出ているのですわ。もし、国王陛下にバレたら貴方が罪に問われるのですのよ。だって貴方がこの間おねだりした、ネックレス。騎士の一年分のお給金と同じ金額ですもの。」


リード王太子は怒りまくって。


「俺達を脅す気か?」


「二度と散財はしないと約束して下さいませ。今回の金額の補填のみ。我が公爵家でして差し上げてもよろしくてよ。その代わり、わたくしを王妃にしてくださいませ。勿論、側妃としてレリーナ様を召し抱えても構いませんわ。

ただ、わたくしは貴方様の傍に居たいのです。この国の為に働きたい。いけませんか?

もし、この事が国王陛下にバレたら、レリーナ様、そしてリード様は罪に問われます。

それはまずいでしょう?」


「確かに、調子に乗って国庫の金まで手をつけてしまった。父上にバレたらどうしようかと思っていたのだ。」


レリーナは不服そうに。


「王太子殿下ってお金が自由に使えるんじゃなかったんですか?がっかりだわ。」


アリアはにっこり笑って。


「それは仕方無い事ですわ。」


リード王太子は頷いて。


「アリア。解った。金の補填、頼んだぞ。お前が国の為、俺の為に心を砕いてくれたこと、忘れぬ。我が妃はアリア。お前にするとしよう。レリーナは側妃。それでいいな。レリーナ。」


「えええ?話が違うんだけど、でもお金の補填をしてくれるなら仕方ないわ。」


「それで、レリーナ様。いかに側妃と言えども、少なくとも王家のマナー教育は受けて頂かないと、リード様が恥をかいてしまいますわ。わたくしが、貴方のマナー教育を行います。よろしくて。」


「嫌だけどーー。解ったわ。」


リード王太子は感動したように、


「アリア。お前の事を見直した。レリーナの事もよろしく頼んだぞ。」


「ええ。任せておいてくださいませ。」


こうして、アリアはレリーナの教育を引き受ける事となった。


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