温かい思い出
『お父さん優夏ちゃんは成長が早いわねぇ〜』
『そうだなぁ。優太の時はそこまで早いとは言えなかったからな〜。目に見えて差があるのはびっくりしたなぁ〜』
今話をしているのは優太の父と母。つまり、優夏のじいじとばあばだ。先程優夏にプレゼントでキラとツキをあげた帰り道だった。
『昔は優太もやんちゃだったわよねぇ。外で遊べば泥まみれで帰ってくるわ、かと言って家で遊ばせたらそこら中散らかすわで酷かったわよね〜。それが今じゃ悪魔の親だものね。実感がないわね〜。』
『そうだな〜言うこと聞きやしなかったしな〜。でも、今じゃあいつも立派な悪魔の親だよ。まぁまだ俺に比べれば少し頼りないけどな。はっはっはっ。』
『もう、またそんなこと言って。そんなこと言ってるとすぐに追い抜かされちゃうわよ。』
『まだまだ、子供には負けんよ。』
『あら、お父さんそこ懐かしくない。優太が大好きだった遊び場。』
『お、本当だ。久しぶりだな。昔はよくここで魔法の遊び方を教えていたっけな〜。』
『そうね〜最後は2人で競いあったりしてどっちも頑固だから頑なに負けを認めようとしないし。』
『ち、違うぞ、俺は手加減してやってたんだ。優太がいつまでもパパもう1回って言ってやめようとしなかったんだ。』
『あら、あなただって負けたのに優太に『そんなんで勝った気になってるなんてチョロいな』なんて凄い大人げないこと言ってたじゃない。ふふふ。』
『ッ…ううう、ぬぐぐぐ。』
『 本当に昔から2人とも負けず嫌いなんだから…。でも、それを見られるのが私の幸せであって楽しい時間だったわ。』
『…俺も子供と…、優太とお前と過ごせた日々は大切で宝物だったよ。』
『…歳をとると思い出にふけってしまうわねぇ。懐かしい場所なんかに行くと当時の記憶が鮮明に思い出されてまさしく今目の前で起きてる事実のような感じがして…。懐かしいのと寂しさとそこまで育ててあげられた嬉しさが混ざりあって不思議な気分ね。』
『あぁ、本当にな。きっと、俺とお前が見てる記憶のビジョンは違うかも知れないがどちらもいい思い出だったな。』
『これからは、優太と夏美ちゃん優夏ちゃんキラ、ツキを影で支えられるように頑張りましょうね。そしてたまにはその輪の中にお邪魔させてもらいましょ。』
『あぁ、そうだな…。さて、用事を済ませて早く家に帰ろう。』
『そうですね。私達の温かい家に帰りましょう。』




