奮い立つ
目の前に――――敵がいる。
その敵はあまりにも強大で今の自分の力では、どうしようもなく、非力で弱くて恐い。
けれども、僕のうしろに大切な人がいる。
大切な人は身体を震わせて、おびえている。
それを意識したとたん、敵が小さく見えた。
いや、敵が小さくなったんじゃない。僕が大きくなったんだ。
うしろにいる人を守るために。
その小さな身体を精一杯大きくして、壁となって守るために。
目の前にいる敵は強大かもしれない。
僕なんかじゃとてもかなわないかもしれない。
けれども、
うしろにいる人のことを思うと不思議と力が湧いてくる。
僕の腕が、脚が、心臓が前へ前へと押し出される。
恐れることなどないと。
大切な人を守りたいという想いは僕に無限の力を与えてくれる。
そうして僕は、目の前の敵へと立ち向かうのだ。
僕の負けを確信して――――。
了
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(/・ω・)/