第9話 ネズミお風呂へ入る
最近、と言うかだいぶ前からなのだが、ネズミさんが本当に臭う。
しょうがない、だって野ネズミなのだから。
こんなことを言うとネズミさんは絶対怒るし、どうにか風呂に入れられないものか・・
「ネズミさん。何か臭いません?」
「ん?俺はこいてないよ。え~君ちゃう~ん?」
ネズミさんは借りてきたDVDのごっつええ感じを見ながら答えた。
「いや、おならとかじゃなくて、なんと言うか、た、体臭的な臭いなんですよね~」
ぴくん!ネズミさんのチータラの食べる手が止まった。
「もしや、君は、わしがクサい言うんちゃうんやろ~な?」
ごっつの見すぎでネズミさん、変な関西弁になっている。
「いやいや、そう言うのではなくて、なんか男性的な香り?ですか?」
「あっ!それ俺!俺やで!嗅いでみ~や!嗅いでみ~や!ホンマにワイルドな臭いやで!」
ワイルドって・・もともと野生ネズミだし、関西弁グダグダだし
そんなことはもちろん口に出せない。
お構いなしにネズミさんがニコニコ近づいてくる。
「っくっさ!!!!!」思わず口に出てしまった!
「くっさって!!・・・・なんでやねん!」
「なんでやねんっ!!!!」
途端にネズミさんが涙目になり怒鳴りだした。
「お前~!人に体臭を臭いって言われることが、どんだけ、どんだけーーーー!」
ネズミさんは泣きながらもイッコーのポーズを決めた。
「どんだけショックやと思うねん!お前の方がクサいわ!あっ!くっさ!お前くっさ!」
「お前の母ちゃんくっさ!」
ネズミさんは四つん這いに倒れ、泣いている。
「あやまりますよ。ネズミさん!臭くないです。臭かったのは僕の足でした。」
「ヴヴっ・・・・ホンマに・・・?」
「ホンマです。」
「ホンマのホンマに?」
「ホンマにホンマです。僕の足くっさいですもん」
「ううう・・・ううう・・・・だから言ったやん・・」
ネズミさんは涙ぐみながらも、少し笑った。
「ネズミさんの臭いは何というか、外国人みたいな、ほら、向こうの人は
ワイルドな体臭に香水なんか付けてオシャレするじゃないですか?」
「うちには香水なんて無いから、お風呂なんか入って、シャンプーの香りと体臭の
香りでモテモテになっちゃうかな~なんて。」
「もうモテモテのネズミさんには無用なことでしたね。すみません。」
「ヴヴ・・・お風呂入る・・・・」
「さっぱり洗ったら気持ちいいですよ~」
「ヴヴ・・・なんで下ネタやねん!」
ネズミさんがジョーダンを言えるぐらい元気が出てきた。
「君はずっとそんな目で僕をみてたんやね」
「いやいやそう言う意味の気持ちいいじゃないですよ。」
「そんな君。舐めまわすような目で僕を見んといてよ!」
「だから見てませんって!」
「ちょっと!!どこみてんのよーーーー!!」
もう大丈夫そうだ。
僕は無視してお風呂場へ行った
ネズミさんは初めてのお風呂なので駆け足で付いてきた
僕はネズミさんをお風呂に入れることに成功した。