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第8話ネズミの文化

その夜、1時を過ぎてもネズミさんは部屋の天井裏をドタドタドター。ドタドタドターーーと走り回っていた。

それだけならともかく、ネズミさんの場合は、「いやほ〜〜い!」「いやほほほ〜〜い!!」と声も入るから余計に腹が立つ。

最近の所、このネズミさんのこの行動に眠れぬ夜が続いている。


朝になるとネズミさんは、ティッシュの簡易ベットで寝ていた。

僕は、ベットから起き上がり、ネズミさんを起こして、毎晩続く、夜中の大暴走を止めてもらおうとした。

「ネズミさん!起きてもらえませんか?」

ネズミさんは気だるそうにこちらを向き「ん〜何?昨日遅かったから、いいとも始まるまで寝かして欲しいんだけど。」


「そのことなんですけど、その〜夜中に天井裏走られると、うるさいんですけど。」

目は閉じ、少しにやつきながら「あ〜あれね、凄かったでしょ!昨日は本当に良くやったと思うもん!自分でもちょっとびびったね!」

あっ!天井裏で何かしてたんですか?」


「えっ?だから、天井裏を走ってたよ!昨日は本当にうるさく出来たと思うよ。爽快にうるさかったでしょ?」


「は?じゃ〜うるさくするために天井裏走ってるんですか?」


「当たり前じゃん!」


僕はそのネズミさんの言葉に腹が立った「ネズミさんは僕に夜中迷惑を掛けるためにあのドタバタを毎晩繰り返していたのですか?」


「えっそうだよ!知らない?だって昔から夜中に人間に迷惑を掛けるのが当たり前になってるじゃん。」


「知りませんよそんなこと!」


「えっ?人間にはそこまで広まってないの?」


「なんですかそれ?そんなのがあるんですか?」


「だって昔から、そうじゃん!俺の親父も、おじいちゃんも、そのまたおじいちゃんも、皆そうしてきたんだよ。もうなんか文化になってるのかと思ってたよ。」


「夜中にドタドタ走ることがですか?」


「そう、だって昼間は天井裏なんて走らないじゃん!」


「まあ、田舎の実家でもネズミは夜中に走っていましたね。」


「だろっ!昼間に走ったって意味ないんだよ!だって、人間が迷惑がらないから。」


「それだけの理由で天井裏を走っているんですか?」


「だめ?でもね、ずっと走っているとね、理由なんて忘れちゃうんだ。いつの間にか走ること事態が俺の目的になってたりするんだよね。理由があるんじゃなくて、走った俺の後に理由が出来ていくみたいな?」


「じゃ〜もう夜じゃなくても良いじゃないですか。」


「え〜それはだめでしょ。昔からの決まりだもん。親父もそのまた親父も皆そうやってきたんだから、俺の時代でそれをやめたら、今まで築いて来た先祖達の夜中天井を走ることで人間に迷惑を掛けるという行為が本当の意味で無駄な行為に変わってしまうじゃないか!」


「だって、無駄じゃないですか〜。」


「今はそう思うかもしれない。だけどな、お前が本当に一人前になった時に、この行為の本当の意味が分かるはずだ。って俺の親父は言っていたよ。」


「で、走る意味なんか見つけましたか?」


「それを見つけるために走っているんじゃないか!それを見つけられたときに〜はじめて〜・・・・なんかなるんじゃないか〜〜?」

そう言うとネズミさんはまたパタッと横になって寝てしまった。僕の質問に答えるのがめんどくさくなってしまったようだ。


僕は寝不足のまま、朝食を作り始めた。

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