第5話 誰に似てる?
その日もネズミさんはテレビを付けながら、簡易ベットの上でだらけていた。
テレビドラマを見ながらネズミさんが聞いてきた。
「なぁ俺ネズミの中じゃー、結構男前の部類に入ると思うんだけど、どう思う?」
僕はネズミなんて皆同じ顔だろうと思ったけど、それを言うと、きっとネズミさんは落ち込むに決まっているから適当に答えた。
「まぁ〜カッコイイ方なんじゃないですかね?」
ネズミさんはチラッとこっちを見て、ふ〜んという顔をし続けた。
「じゃー芸能人で例えると誰っぽい?」
僕はその質問に目が点になった。
「えっ?なんですか?」「だから芸能人の誰っぽい?」
ネズミはネズミだろう!そう思ったがとても口にはできない。僕は何も思いつかず、とりあえずカッコイイと思う芸能人を挙げてみた。
「キ、キムタクですかね?」
ネズミさんは、えっ!と僕に振り返った。目をキラキラさせながら嬉しさを一杯に堪えている表情だった。
「そ、そこまでじゃないでしょう。さすがにそれはないよ!んっでも本当に?君から見たら、俺ってそんな感じに映ってんの?俺ってそこまでキテるの?」
僕はネズミさんが喜んでいるので合わせることにした。
「そうですよー。めちゃカッコイイじゃないですかぁーー。」僕は自分が驚くほどの棒読みだった。
しかしネズミさんは満足な顔を満面に浮かべながら「んも〜〜チータラあげちゃうぞ!」と言ってストックのチータラを一本くれた。
そのチータラをくわえながらネズミさんに逆に聞いてみた。
「じゃー僕は誰に似てますかね〜?」
ネズミさんは少し考えて
「あ〜俺の友達に似てるよ!」
「えっ?ネズミのですか?」
「笑った顔とかがね。」
「そ、そうですか・・」うれしくなかった。