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プロローグ

すいません。諸事情で人物名変更しました。ご理解お願いいたします。m(_ _)m

 そこは、何の変哲もないとあるマンションの駐車場だった。知り合いが住んでいるわけでもない、ただの帰り道から少し外れたところにある駐車場。高校生活の始まり、四月の下旬に差し掛かったころ、そこでの一言が大きくその後の人生を変化させていった。


「じゃあ付き合ってみる?」


そんな軽い一言だった。俺も半分冗談交じりでその言葉を発した。その時はまだ、この軽い一言がこれからの俺の生活をガラッと変えてしまうということを知る由もなく、ただ流れに身を任せてその言葉を口から出していた。





 

 時は遡り俺こと風見理央の中学三年の夏に入る前の蒸し暑い6月の頃の話だ。


 「じゃあ、今日はこの辺で、今来てくれている閲覧5名様、合計24名様ありがとうございました~。またやるときがあったら是非来てください~。おつかれさまでした~。」


俺はそんな配信者まがいの終了文句を掲げて枠を閉じた。特別有名なわけではない。た毎回配信に来てくれる人は5人から多い時でも20人ほど、本当に仲間内でおしゃべりする、そんな程度の配信だ。おおまかなメンバーは年の同じ中学生が5人と高校生が6人、大学生が3人、社会人が2人という感じだ。ほかにも何人もいるが主に枠に来てくれるのはこれぐらいだろう。男女比はそのアニメが主題ではないが恋愛要素が少し強めということもあり女子率が高かく、男子は3人しかいなかった。


「さて、今日も学校だしそろそろ寝なきゃな。」


時刻は未明の二時半、学校に行くため、六時半起床なのでそろそろ寝ないとやばい時間帯だ。昼間は授業を受け、家に帰ってトークアプリでクラスメイトやネ友と会話をしながらアニメを見て、両親が寝静まると配信を始め、またグループ内でいろんな話をする。そんな毎日を中学生の時はずっと過ごしていた。

 学校では生真面目な性格が仇となって周りのノリに乗れずに浮いてしまって親友といえるような友達はいなかった。普段、クラスメイトとは普通に話もするしスマホゲームで協力したりもする。しかしそれと休日遊びに誘われるかは話が別だ。遊びには誘われることはないが俺には学校の教室で朝集まって雑談をするそこそこ大規模で男女ともにいるクラス内のグループには入っていた(他のクラスにこのグループが男女間の距離が近すぎるといわれていたのはまた別の話だ。)。その中にスマホゲームを一緒にしたり、毎日のようにトークアプリで会話をするような奴、西沢志乃という女子がいた。そいつとの会話は途切れることなく中学卒業まで続いた。




 そして高校に俺は進学した。中学生のころあんな生活をしてよく受かったものだと思う人もいるだろうが、残念ながら俺は中学受験組だ。中学受験をして俺は県内トップクラスの中高一貫の進学校に通っていた。内部進学テストはあるものの基準がとても低く落ちるほうが難しかった(まぁ、それでも落ちる奴はいるもんだが。)。そんなわけで俺は苦も無く高校に入ることができた。

 そんなある日、俺は西沢と下校をしている最中、ある話をしていた。


「お前って俺がからかった時の反応かわいいよな。」


「は、はぁ?な、なに言ってるの?わ、私が可愛いなんて…。」


そう俺が言うと西沢は顔を赤くして俺から顔を背けてしまった。


「なら、証明してよ…。」


「は?」


二人のこの状況で可愛いことの証明なんてどうすればできるのだろうか。そう思った時に俺の口からある言葉が出てきた。


「付き合ってもいいと思うぐらい可愛いって言ったら?」


別に俺はキザなわけじゃない。ただいつもからかっているこいつに負けるのは少し癪だった。ただそれだけだったはずだった。


「…私も風間なら付き合ってもいいけど…。」


小さい声でボソッと呟いたつもりだったのだろうが俺にははっきりと聞こえてしまっていた。


「じゃあ、付き合ってみる?」


俺の口から驚きの言葉が出た。俺は西沢に恋愛観所なんて一切持っていなかった。それ故に自分でも驚きの一言だった。


「…はい。」


そして彼女の口からも驚きの一言が返ってきた。


「じゃ、じゃあそういうことで…。」


驚きの連発で俺はそんな言葉しか口にすることができなかった。そして俺は自転車で、西沢は電車でそれぞれの帰路に着いた。その日の夜俺はこんな会話を西沢とした。


Rio:ほんとに俺ら付き合うことになったんだよな…?

Sino:う、うん。でも、からかわれるの好きじゃないから皆には秘密にしよ…?

Rio:じゃあネットの仲いい奴にだけ言ってもいいかな

Sino:まぁそれなら学校の人にもばれないと思うし、いい、かな

Rio:そっか、サンキュ。じゃあもう遅いし、また明日。おやすみ

Sino:うん、おやすみ


そして俺は別のトークルームを開いた。その相手はさっき西沢に伝えた通り、特に仲のいいネ友の女子二人だ。一人目の名前は花楓。本名を近藤楓という同い年の女子だ。そしてもう一人の名前はsakura。本名を佐藤有月という二つ年上の女子だ。二人のトークルームに同じ内容の文面を送った。


Rio:急なんだけどさ、俺学校の奴と付き合うことになったんだ。


その日中に返信は来なかった。普段話しているときは次の日には必ずと言っていいほど返ってくるのに今回、その返信が来たのは2日後と1週間後だった。



 次の日、もちろん俺は学校があるので通常通り学校へ向かった。


「おはようございます。先生」


クラスが変わり朝から談笑していたグループは散り散りになってしまい、俺だけ上のクラスに残ったのでクラスはとても静かだった。そんなとき西沢からの通知が入った。


Sino:今日も一緒に帰れる?

Rio:帰れるよ。帰りのHRが終わったら駐輪場でちょっと待ってて。

Sino:わかった、待ってるね。


そういって一日の授業を過ごし、帰宅の時刻となった。


「ねえ風間、公園寄っていかない?」


「いいけど、どうした?」


「ううん、ちょっとはなしたいことがあって。」


公園に着くと西沢はベンチに腰掛け俺に横に座るように催促した。


「私ね、実は昔から風間のことが好きだったの。1年前のあの日から。」


「あの日?」


「打ち上げの帰り、私一人で帰ろうとしているところを一人じゃ危ないからってついてきてくれたあの日から。だから、あんなそっけない態度取ったけど、風間と付き合えてほんとにうれしいんだよ?今は風間は私のこと好きじゃないかもしれないけど必ず好きにさせて見せるから。」


その言葉を聞いた後俺らは何もなかったかのようにそれぞれ家に帰った。


(昔から俺が好きだったとか聞いてねぇよ…。)



 報告を送った二人のうち、先に返事が返ってきたのは楓だった。


楓:そっか、おめでとう。ごめんこんなこと言っちゃいけないんだろうけど、私の心の整理をするために聞いてね。私、理央のこと好きだったんだ。同い年で毎日のようにトークアプリでもネットでも話して本当に楽しかった。相談に乗ってくれたり、話しているうちに理央のことがいつの間にか好きになってたの。私は理央のことあきらめたくない。でも迷惑だよね。ごめんね。


その返信を見て俺は絶句してしまった。普段ずっと話していた女子が自分を好きだったなんてこれまた気づかなかった。しかも西沢から前から好きだったという告白を受けた次の日で頭が混乱してしまった。



 後に返ってきたsakuraの返事はこうである。


sakura:ばーか。なんなのさ、今の彼氏と別れたら奪ってやるからとか言ってたくせに。意味わかんない~!とりあえず落ち着くまで時間かかると思うから…。でも寂しいし取られたって感じ。私のこと好きだとちょっと期待してたのにな。

Rio:好きだったと思います…はい…。

sakura:私も好きだったよ。だから、取られたら取り返さないとね?


そう返信が来て俺はまたしても絶句してしまった。弟としか見てくれていなかったと思っていた過去の好きな人が好きだと言ってくれたのだから。確かに奪うとは言ったけれどもそれはsakuraが彼氏とあまりうまくいっていないと感じて傷つけないために口から出た言葉だった。まさか自分に彼女ができるなんて思っていない時期だったから。うれしさと同時にとてつもなく面倒な状況になったことをこの時初めて理解したのだ。


三人の女子から好きだと言われ、彼女がいると報告した二人もあきらめないという。こんな事態は三角関係なんて生ぬるい。これを一言で表すならばそう、四人を均等に結ぶ正四面体のように。


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