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26 ◆

 ある日、ニーナが仕事に行っている間、なんとなく気が向いてまた二階に上がってみた。一度来て慣れていたからか、僕はその日はなぜかためらわず、階段の先にすすんでしまった。


 階段をあがって廊下を曲がると、いくつか部屋があったので、一番近いドアに近づいてみた。ドアノブにはホコリがうっすら積もっていて、僕は手で少しはらって開けてみると、薄暗いところに物が積まれていて、やっぱりホコリがつもっていた。


 僕はなんだか、入ってはいけないところに勝手に入り込んだ気がして、反射的に扉を閉めた。

 振り返ると廊下には点々と僕の足跡がついていて、僕が来てしまった証拠みたいに残っていた。それ以上証拠を残したくなくて、足跡を逆に踏んで戻ろうとしたけれど、途中でうまく踏めなくなって、駆け足で一階まで逃げてきた。ニーナにもらったスリッパにホコリがついていたので、手ぬぐいできれいになるまで何度もぬぐった。


 ――――まだ僕が、元の世界でちいさかったとき、僕の家からすこし離れたところに祖父と祖母が住んでいた。僕はそんなに多くはなかったけれど、時々遊びに行っていた。


 そのうち祖父がなくなって、祖母だけになった。


 それまでは、きれいに掃除されていたのだけれど、行く度にだんだんホコリのつもった部屋が増えていた。母は祖母が一人になって、気落ちしているからだといっていた。そのうちに祖母は犬を飼い始めた。母は寂しいからだといっていた。


 ニーナの家の二階の様子をみたときに、僕は祖母の家を思いだしていた。ニーナの家と祖母の家は大きさが全然ちがってて、まったくはずれているのかもしれない。だけど、あのホコリのつもった二階を、僕は寂しい場所だと思ってしまった。


 ニーナはこの家で、一人で、どんな気持ちだったのだろう。

 ニーナが帰ってくるまで、いつもの部屋でさえ、とても広くてとても静かで、僕はとても寂しい。

 ニーナも同じように寂しかったのだろうか。


 だから犬を飼うように、僕を買ったのだろうか――――


 リィンリィン……リィンリィン……


 鈴のような音が聞こた気がした。きれいな澄んだ音に僕はハッとして、ぶるぶると頭を振った。うとうとと居眠りをしていたようだった。

 さっきのきれいな音はなんだろうと耳をすましたけれど、なにも聞こえてこなかった。


 なんだかニーナがいない寂しさで、変な夢を見てしまった気がした。僕は顔を洗って目を覚まし、絵本を読んで気を紛らわせることにした。




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