21 ◆
大きなふかふかベッドで目が覚めると、となりでニーナが静かに寝ていた。ニーナが眠っているのをいいことに、僕はニーナの寝顔をじっくりみてしまった。青いきれいな目が見えないけれど、今度は長いまつげがきれいだと思った。
僕はニーナの銀色の髪にさわってみたかったけれど、起こしてしまわないように、長い髪のはしっこを指でなでるだけにした。手触りはよくわからなかったけれど、きれいな髪に触れているだけでうれしかった。
しばらくニーナの顔を眺めていると、彼女はゆっくり目を覚ました。
おはようという言葉はしらなかったけれど、ニーナにおはようをどうしてもいいたくて、かわりに名前を呼んだ。ニーナはまだ眠かったみたいで、枕に顔をこすりつけていた。いつもはきれいだけどかわいいと思ってしまった。
その日もニーナはずっといっしょといてくれた。
その次の日、つまり僕がニーナにあってから三日目のお昼すぎにニーナはどこかに出かけて行った。僕はしばらく家の中を探検してみたけれど、一階はニーナが案内してくれていた。
階段はまだ使っていなかったので、なんとなく気になって二階まで登ってみた。二階の廊下の端っこに立つと、床にうっすらホコリがたまっているのに気が付いた。靴じゃなくてスリッパをもらってはいていたけれど汚れるのが嫌だと思った。
ぼんやりとニーナがいる場所とだいぶ違う感じがして、誰も住んでいない気がした。なんだかそれ以上進みたくなくなったので、僕は一階に戻った。
部屋に戻ってソファーに座りこんで僕はニーナのことを考える。ニーナはすごくきれいで、でもとてもやさしくしてくれて。僕はそれがとてもうれしいのだけど、でもまたあの疑問が浮かんでくる。
ニーナはどうして僕を買ったのだろうか。
それに、どうして僕に何もさせないのだろうか。
ふと浮かんだその疑問に、すぐには答えが出てこなかった。
――――門が開く音がした。
僕はニーナが帰ってきたと思って、玄関に飛んで行った。