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300年引きこもり、作り続けてしまった骨董品《魔導具》が、軒並みチート級の魔導具だった件  作者: 空地 大乃
第一章 フォード領編

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第五十五話 ガン! ガン! ガン!

「さて、魔導具を作るに当たって、我々魔導具師がやるべき事は術式の構築だけではない。器を作ることも大事だ。それは判るな?」

「うぅ、エドソンくんってはお子様のくせに私を馬鹿にしすぎですぅ。何か最近忘れてるようですけど、私の方がお姉さんなんですからねぇ!」

「……」


 私は温度が下がりにだけ下がった絶対零度の瞳でこの残念な女を見た。もうこの際だから本来の年のことなど横に置いておくにしても、例え私が見た目通りの子どもだとしても、こいつがお姉さんはない。絶対にない。


「な、なんか凄く冷たい目をしてるぅ! 冷え切った目だよぉ!」

「言いたいことがそれだけならさっさと次へいくぞ」

「態度も冷たい! ふぇ~んメイさぁん」

「よしよし」

「メイ、あまりそいつを甘やかすな」


 メイの胸に顔を埋めたアレクトを撫でるメイ。そこだけ見ると絵にならないことはないな。


「それで器とはなんだ?」

「勿論、魔核を加工してつくる魔石だよ!」

 

 うん、流石にこれぐらいは判ったか。ドヤ顔だが、これぐらい判ってなかったら逆にどうしようって話だからな。


 さて、とにかく私は魔石に加工する上で必要と思われるものを用意した上で、一先ずアレクトのやり方を見てみるとする。


「よし、とりあえずアレクトのやり方で魔核から魔石への加工をやってみろ。練習用はそのあたりの使え」


 いきなり本番でショクヨークの魔石を使わせるのも怖いので、密かにメイに回収させておいた練習用の魔核を加工してもらう。


 さてさて、どんなものになるかな。


「はい! ではやりますねぇ」


 そして、アレクトはおもむろにハンマーを取り出した。ハンマー?


「いっくよぉ、えい! えい! えい!」


――ガン! ガン! ガン!


「ちょっとまてぇええええぇえい!」

「ふぇ?」


 アレクトはあいも変わらずの馬鹿面で反応した。いやいや! 何とぼけた顔してるんだこいつは!


「お前、一体何してるんだ?」

「えぇ~? 嫌だなぁ魔石への加工じゃないですかぁ。あれ? もしかして知らないのですかぁ? やっぱりお子さまですねぇ、うぷぷぷ」

「よしメイ、とりあえずアレクトの頭をハンマーでガンガン殴れ」

「承知いたしました」

「こわっ! 承知いたしましたじゃないよぉ、何ナチュラルにこのお子さまは怖いこと言ってるのぉ!」

「殴れば貴様のその残念な頭もちょっとは良くなるかもしれないだろうが」

「ご主人様、一度はお引き受けいたしましたが余計に悪化する可能性は否定できません」

「うぅ、メイさんは時折辛辣だよぉ」


 と涙目になりながらもアレクトの奴――


――ガン! ガン! ガン!


「殴るのを止めんかこの馬鹿者が!」

「どうしてぇ!」


 くっ、こいつ本当に判ってないのか?


「あ! もしかしてエドソンくん、魔核爆発を心配しているのですか?」

「……魔核爆発だと?」

「そうなのです。あれ? 知らなかったのですか? 魔核はあまりガンガンガンガン刺激しすぎると爆発するのです。だから爆発する前に一旦やめて落ち着いてから作業を再開させるのです。このタイミングを見極めるのが魔導具師の腕の見せどころなのですよぉ」


 人差し指を立てて偉そうに講釈をたれ始めたぞこいつ。


「なら聞くが、その爆発はなぜ起きているか判っているのか?」

「え?」


 するとアレクトは腕を組み、首を右へ左へと傾けた後、ポンッと手をたたき。


「きっと振動に弱いからなのですねぇ~」

「そうか。なら早速アレクトの頭を殴って実験してみよう」

「はいご主人様」

「だから、はいじゃないですぅ!」


 こいつの頭を殴って爆発させたら少しはマシになるかと思ったのだがな。


「もう、一体何が不満なのですかぁ!」

「全部だ馬鹿者。そもそも魔核を爆発手前まで持っていった時点で魔導具師として失格だ。3流以下の出来損ないだ!」

「ええええぇええええぇ!」


 全く。こんなのが本当に今の時代に知れ渡っているのか? こいつが残念なだけじゃないのか?


「いいか。魔核というのはいわゆる魔力(マイフ)の超圧縮体だ。そしてマイフにはロウとカオスがある。そこまではいいな?」

「……?」


 駄目だ判ってないぞこいつ。


「とにかくこの核の中にロウとカオスがあると思えばいい」

「魔物の核なのにロウなんてあるのぉ?」


 そういうところは気がつくんだな。


「ロウとカオスは人間の考えるそれとは少し違うんだ。この場合よりストレスの感じることがカオス、そうでないものはロウと思ってくれればいい。ただし、この中では常にロウとカオスが均等を保とうとする性質がある」

「つまりバランスがいいということですかぁ?」

「平たく言えばそうだ。だが、それでも間違ったやり方で極度にストレスを与えたりすると均等に保とうとする力が一気に膨れ上がる。ちなみにその代表例が無駄に刺激を与えることだ。ハンマーでガンガンなぐるとかな!」

「う!」


 アレクトが仰け反った。私の言っている意味がようやく理解できたな。


「さっき爆発すると言ったが、それは刺激で膨れ上がったカオスをロウが抑え込もうとした結果、限界を超えて対消滅を起こしてしまうからだ。当然だが爆発したら魔核は消滅する。そして例え爆発手前で止めたとしても、その段階まで刺激を与えた時点で魔核は疲弊し一気に劣化する。いいか? 劣化するんだ!」

「う、うぅうう。そんなに何度も言わなくても、第一そんなの知りませんでしたしぃ」


 知らなかったか……本当にこいつは知らなそうな顔だが。


「……一応確認だが、本当にこのやり方がこの時代の当たり前なのか?」

「そうですよぉ。そもそもなんでまだお子様のエドソンくんにそんな知識があるか不思議なぐらいです」


 それは当然だ。このマイフに関する研究は私が行ったもので理論を確立したのも私だ。そしてその理論は300年以上前に私自ら書き綴り、当時の仲間に渡しておいた。


 あの当時勇者と呼ばれていたアイツも理解していたはずだ。その後は皇帝の座についたと風の噂で聞いていたし、そうである以上、この理論が全く浸透していないというのもおかしな話な気もするのだが。


 むぅ、理論が進化しているのなら判るが、逆に劣化しているのだから不可解なことだ。


 だが、これなら確かに町で見かけた魔導具の質が異様に低いのも頷けるというものか。


「はぁ、とにかくだ。先ずは正しい魔石への加工方法を覚えてもらわないとな」

「うぅ、いままでのやり方が間違っていたなんてショックですぅ。それなら一体どうやって叩けばいいのですかぁ?」

「叩くな! そもそも叩くという行動が間違いなのだぞ!」

「ええええぇええええ!」

 

 仰天しているな。全く色々と頭が痛くなるな。


「そもそもお前、私がここに用意した物をみて何も思わなかったのか?」


 周囲にはロートの店で買ってきた粉やシリコーン油の入った瓶。桶にアダマン鍛冶店から取ってきた金属の粉などがある。だが当然アレクトは全くこれらに見向きもしていない。


「待っている間のエドソンくんの遊び道具だと思ってましたよぉ。やっぱりお子様なんだなぁって微笑ましく思っていたのにぃ」

「よし、やっぱり殴ろう。それでこのポンコツも少しはマシになるかもしれない」

「承知いたしました」

「だから承知しないでくださいよぉ~」


 やれやれ、本当に先が思いやられるな……。

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[気になる点] >もうこの際だから本来の年のことなど横に置いておくにしても 一度も本来の年齢伝えてない気が……
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