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300年引きこもり、作り続けてしまった骨董品《魔導具》が、軒並みチート級の魔導具だった件  作者: 空地 大乃
第二章 仲間との再会編

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第314話 真のマスターからの手紙

「それで、一体どんな手紙が来ていたんだ?」

「それが――」


 アレクトが少し緊張した手つきで封を切り、折りたたまれた手紙を広げた。

 インクの染みと走り書きがひどく、慌てて書かれたことが一目でわかる。


至急通達

宛先:シドの魔導ギルドマスター代理

魔導具師 アレクト殿

差出人:マース・マクスフェル


アレクトへ


 突然の書状、どうか驚かないでほしい。

 時間がない。文を整える余裕もなく、乱筆を許してくれ。


 私は今――自由商業都市エクサスにいる。

 そして、事態は最悪に近い。


 魔導具の開発を共に進めていた錬金術師カミラが行方不明になった。

 いや……正確には、“捕えられた”と報告を受けている。

 理由はまだ掴めない。


 彼女は当主ソアラ・エクサスの治療にあたっていたはずだが、

 突然、評議会の命で連行された。

 情報を追っていた私自身も監視下に置かれている。

 何故か――“闇ギルド”が背後で動いている形跡がある。


 このままでは私の命も危うい。

 時間がない。


 ……アレクト。

 そこで君に頼みがある。


 父から聞いた昔話がある。

 “エクシード山脈には、古代より魔導具を極めたハイエルフがいる”と。

 その名は――エドソン。

 「天をも封じる術を作った男」だと。


 父はかつてその者から学び、魔導具学の礎を築いたと語っていた。

 もし彼がまだ生きているなら、この状況を打開できるかもしれない。


 私は一旦、中心部を離れ“ガルネ通りの案内屋を頼り、下水道に身を隠している。

 これ以上は筆を取っている余裕もない。


 どうか、彼――エドソン殿にこの手紙を見せてくれ。

 そして伝えてほしい。


 カミラを、助けてほしい。


 彼女が何を背負い、何を恐れていたのか、私はまだ知らない。

 だが、彼女は最後までギルドを信じていた。

 私たちを信じて動いていた。


 この手紙が届く頃、私はもうここにはいないかもしれない。

 それでも構わない。

 誰かに届けば、それでいい。


 頼んだ。

 すまない。

 本当に……頼んだ。


 ――マース・マクスフェル


 手紙を読み終えた後、アレクトの目の色が変わった。


「な、なにか大変な状況なのです! これは一大事なのです! とにかくハイエルフのエドソンに――」


 そこでアレクトの声が途切れた。


「……エド、ソン?」


 視線が、まるで“答え合わせ”をするように私に向けられる。


「えぇええ!? エドソンって、もしかしてエドソンくんのことなのですぅ!?」

「……はぁ、まいったな」


 思わず肩をすくめる。

 メイが横から小声で囁いた。


「御主人様、ここはアレクト様に本当のことをお伝えした方が良いかと」


 確かに、もう隠す必要もない。

 私は静かに指輪を外した。


 瞬間、光が走る。

 碧眼は金と銀のオッドアイへと戻り、

 淡金の髪は雪のような白へと変わった。


 部屋の空気が一瞬で変わる。

 息を呑むアレクト。


「悪いな、アレクト。確かに――私はハイエルフだ」

「は、ハイエルフ……そ、それって、すごいのです?」

「……」


 私はずっこけそうになった。

 いや、まさかそこから!?


「アレクト様……本当に知らなかったのですか?」

「えっと~……聞いたことくらいはあるですぅ!」


 胸を張って言い切るアレクトの隣で、メイがそっと溜息を漏らす。

 その音がやけに心地よく聞こえた。

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