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300年引きこもり、作り続けてしまった骨董品《魔導具》が、軒並みチート級の魔導具だった件  作者: 空地 大乃
第一章 フォード領編

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第百八十八話 ほへぇ

いつも感想や誤字脱字報告を頂きありがとうございます!

「いやはや、確かにこれは私が用意した腕輪の偽物のような考えですが……」

「ははっ、同じ偽物でも私達には意志があるからね」

「御主人様の魔導具は完璧でございます」

「ほへぇ~凄いのです~」

「本当に偽物だなんてわかりませんね」

「君のような美人に褒められると照れ臭いね」

「ムムムッ! 御主人様が鼻の下を伸ばしております」

「の、伸ばしてなんてないよ!」

「ほへぇ~凄いのです~」

「これであれば誰も疑問には思わないだろう。大人しく捕まっていると思うはずだ」

「ま、上手くやらせてもらうよ」

「本物の御主人様にも迷惑は掛けられませんからね」

「ほへぇ~凄いのです~」

「ちょっとまってくださいよ!」


 私が用意した偽物の三人にサニス、ルイス、アンジェは感心してくれたが何故か本物のアレクトが不機嫌そうに叫んだ。


「何だアレクト。何か問題でも?」

「問題大ありですよ! どうして私だけずっとほへぇとか繰り返してるんですか!」


 アレクトがプンスカ怒っていた。全くお前はもっと自分を理解しろ。


「お前はだいたいいつもこんな感じだろう」

「どこがですか! 心外です! みなさんも違和感ありましたよね!」


 私の返事に納得いかないのかアレクトがサニス達にも聞いていた。


「え? あの、ごめんなさい。あまり違和感は……」


 サニスが申し訳無さそうに言った。


「んなッ!?」


 アレクトが間の抜けた顔で絶句してる。そういうところも含めてそっくりだろう。


「アレクト様も見事な再現度でしたよ。本物そっくりでございます」

「それ全く誉めてることになりませんからね!」


 ルイスが見事と言わんばかりに私の魔導具を評価してくれているというのにアレクトは逆ギレ状態だ。そういうところだぞ。


「アンジェさんは! アンジェさんは違うと思いますよね!」

「え? えっと……その、何だ。君は今のままが一番だと私は思うぞ」

「ごまかされた!?」


 肩を叩いてアンジェに励まされているぞ。それだけ残念だってことだ。


「いい加減くだらないこと言ってないで行くぞ」

「くだらなくなんてないですよ。私のアイデンティティーに繋がる事です」

「無理してそんな言葉使ってもお前が残念なのに代わりはないぞ」

「しどい!?」


 アレクトが涙目になった。だけどサニスから焼き菓子を貰った途端笑顔になってパクついていた。そういうところだぞ。


「さぁ甘いものも取りましたし急ぎましょう!」

「お前本当いい性格してるな」


 急にやる気出したぞこいつは。


「では出口まではご案内致します。ただタムズの手のものが監視してますので気をつけて――」

「あぁそれなら全く心配ないぞ」


 ルイスはこう言ってくれたがわざわざ見つかるかもしれないリスクをおかしてまで屋敷をうろつく必要はない。


「この瞬間移動扉(テレポドア)があれば簡単に別の場所に移動できる」

「なんとそんな便利な魔導具が!?」

「すごすぎて理解がおいつきませんね……」

「言葉も出ない……」


 腕輪から扉を出して説明したがこれにはため息交じりの言葉が返ってきた。


「こんな魔導具すごすぎて普通は無理ですよ」

「馬鹿言うな。アレクトにもこれぐらいは作れるようになってもらわないと困るぞ。よし落ち着いたらしっかり教えてやるからなメイも宜しく頼んだぞ」

「はい。しかしこの魔導具となると用意する資料も以前より遥かに多くなりますね」

「まぁこれまで数倍ぐらい勉強してもらえば済む話だ」

「あの、アレクト様が立ったまま魂が抜けたみたいに……」


 サニスが心配そうにアレクトに声を掛けていた。全く気絶した振りまでしおってからに。


「殺される何れエドソンくんに殺される。こんなちっこいお子様にぃ……」

「お子様言うな!」


 とにかく扉の準備も出来たし一旦宿屋に戻ることにした。


「その、御主人様は自覚なしにあのような魔導具を使ってしまってますが出来ればご内密に」

「勿論です。寧ろ怖くてとても広められたものではありません」

「この魔導具一つで戦争が起きかねませんからな」

「メイどうした? 早く行こうじゃないか」


 何かメイがルイスやサニスと話していたな。小さい声でよく聞こえなかったが。


「一体何を話していたんだ?」

「御主人様の魔導具は時代を先取りしすぎていて凄いと」

「ハッハッハそれは大げさだろう」

「自覚なさすぎですねぇ」


 褒められて悪い気はしないがアレクトに自覚ないとか言われたくないぞ。


「エドソン殿。何から何までお願いするのは私としては心苦しい。本来なら案内もかねてついていきたいところだが」


 アンジェが心苦しそうにそう言ってきた。


「それには及ばんさ。場所は教えてもらったしな。それに君とて私達と一緒では都合が悪いだろう」


 一応フェイクは残しておくが万が一ということもあるからアンジェを連れていくわけにもいかない。


「それならせめて何か手伝えることはないか?」

「手伝える――あ! それなら孤児院にいるハザンに手を貸してもらえると助かる。実力は確かだが少々脳筋すぎるところもあるからな」


 あいつは直感で動くタイプで今回はそれに掛けたがアンジェのような理知的な騎士の助けもあれば心強いだろう。


「ハザン殿だな。わかった丁度暇を貰うという名目で休みを取ったところだ。顔を出してみよう」


 そこまで手を回していたのか。あのタムズがよく許可したなと思ったが逆にアンジェにいられるのを嫌った可能性もあるか。


「それではこっちのことは任せてくれ」

「お願いしますエドソン様」

「どうか旦那様と奥様が無事であることを祈っております」


 こうして三人に見送られ私たちは一旦拠点にしている宿に戻ることになった――

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