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300年引きこもり、作り続けてしまった骨董品《魔導具》が、軒並みチート級の魔導具だった件  作者: 空地 大乃
第一章 フォード領編

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第百八十七話 魔導具に頼ろう

いつも感想や誤字脱字報告を頂きありがとうございます!

「我々にハリソン家の真の領主が無事か確認に行って来てほしいということか」


 思わずサニスからの依頼――森の調査とあるが実際は両親の捜索なのだろう。


「情けない話だが、あの森に何らかの秘密がありそうなのは予想出来たのだが私では力及ばず調べる事が出来なかったのだ」

「それは仕方ないかと思われます。アンジェの騎士としての実力は確かですが話を聞くにその森には魔法的な仕掛けが施されている可能性が高いと、そう思われますから」


 肩を落とすアンジェを励ますようにルイスが語った。しかし魔法の仕掛けか。


「フフッ。なるほど。もしルイスの言うように魔法の仕掛けが施されているとしたら、その先は私の領分――そう考えたわけだな?」

「ほえ~でもエドソンくんのは魔導具ですよねぇ? 魔法相手に大丈夫なんですか?」

「えっと……」


 焼き菓子をぱくつきながら緊張感のないホヘ~っとした顔で何寝ぼけた事言ってるんだこいつは。メイも戸惑ってるぞ。


「寧ろ魔法の知識あってこその魔導具だろうが! お前は一体今まで何を作ってきたんだ何を!」

「ひぇ~何かエドソンくん怖いです~」


 全くこいつは頭が痛くなってくるな。こいつもあまり深く考えないというかその割に魔導具の作成となると最近はそこそこ出来るようになってるからな。


「とにかく話はわかった。私もいい加減あのエセ伯爵にはうんざりだからな。受けてあげてもいいがそれ相応の報酬は要求させてもらうぞ」

「えぇ! エドソンくんお金取るんですか!」


 私がサニスに伝えるとアレクトが信じられないような顔を見せた。本当に寝ぼけているのかこいつは。


「仕事を受けるなら見返りがあって当然だ。寧ろ何の見返りもなしにタダで動こうなんて口にする相手の方が信用できないとさえ私は思うぞ、タダでやるなんて奴は結局そこに責任が発生しないわけだからな」


 それに世の中タダほど怖いものはないというしな。こういうことははっきりさせておいた方がいい。


「勿論報酬については惜しみません。エドソン様の魔導具にはそれだけの価値があると信じております」

 

 サニスがそう言ってくれた。領主の娘として責任ある約束をしてくれたわけだ。


「ふむ。貴女のような美しい女性に褒められるのは悪い気が、うん? 何か刺さるような視線が……」

「メイさん! どうしちゃったんですかそんな怖い顔して!?」


 アレクトが戸惑っているぞ。何だメイは何か敵の気配でも感じたのか?


 とにかく報酬についてはしっかり約束も取り付けたしな。早速動くことになるが。


「でもエドソンくん。ここから私達が出てしまったらすぐにバレてしまいますよ?」


 アレクトが怪訝そうに聞いてきた。確かに私達が今ここから消えたら面倒なことになるだろう。


「ふむ。たしかになサニスには何か手はあるのかな?」

「そこなのですが牢をあけるまでは何とか。ただここから先はエドソン様のお力で何とかなりませんか?」


 サニスが私の力に頼ってきた。人任せに思えるが私の力を試しているようにも思える。


「愚問だな。その程度私にかかればお茶の子さいさい。だが肝心の腕輪がないな」

「それならどうぞこちらを」


 魔導具は全て無限収納(インフレジー)リングに入れてあるわけだが流石ルイスは出来る執事だけあって仕事が早い。腕輪をしっかり取り返してくれていたようだ。


「腕輪がなくなっても大丈夫ですか?」

「その腕輪そっくりの物を変わりに入れてますから問題ありません。使い方を誰も把握してませんしな」


 おお――私のルイスに対する評価が更に上がった。アレクトにも見習ってほしいぐらいだ。


「フッ出来る執事の仕事を見たなら私も少しは見せないとな――今回使うのはこれだ! ドッペルジェル(分身生成液)!」


 腕輪から円形のケースを取り出した。アレクトがまた呆けた顔でいま取り出した魔導具を見ている。


「これはなんですかぁ? 私も初めてみましたよ~」

「まぁそうだろうな。そうだなこれはちょうど今ルイスが話したことに近い物だ」

「私がですか?」


 ルイスが?顔を見せる。この手のは直接見てもらった方が早いな。


「ちょうどいい」


 私はケースの蓋を開けてアレクトに近づける。蓋の中には粘り気のある(ジェル)が入っているわけだがな。


「これをちょっとでいいから肌に塗ってみろ」

「わ! さては化粧品ですね! 確かに最近忙しくて肌荒れも気になってましたからね。エドソンくんも少しは気が利くようになったじゃないですか~♪」


 鼻歌交じりでアレクトが指で救って顔に塗りたくった。少しって言っただろうに。


「え? ひぇええぇええ! 化粧が私を~化粧に食べられる~~~~!」


 ジェルが動き出しアレクトを包みこんだことで間抜けな顔で間抜けな悲鳴を上げ始めた。


「わめくな。それもすぐに終わる」

「ふぇ? あれ?」


 アレクトを包み込んでいたジェルがスポンっとアレクトから離れ、そして形を変えていき遂にはアレクトそっくりになってニコリと微笑んだ。


「わ、私がもうひとりいるーーーー!」

「す、凄い! これはエドソン様の魔導具なのですね?」


 アレクトが慌ててる中サニスは随分と感心してくれていた。これは相手を包み込み分析し対象そっくりに変化するジェルだ。


 もっともそっくりと言っても完璧というわけではない。ただ基本的な動きは再現出来るし会話もある程度成立するからな。


 これを三人分用意し任せておけば私達が抜け出たとは思わないだろう。


 というわけで私とメイの分身も用意し準備を勧めたわけだが――

本作のコミック2巻が6月10日発売予定です!

そして配信版最新話も同じく10日に配信予定です!

どうぞよろしくお願い致します!

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