第百七十九話 エドソンVSアンジェ
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私はアンジェと対峙していた。彼女はホワイトソードを両手にし、獲物を前にした鷹のような鋭い視線を向けてきている。
「まさかこうして君とやり合うことになるとは思わなかったよ」
腕輪からリボルバーを取り出し、銃口をアンジェに向けた。
「私とやり合う以上、君もそれ相応の覚悟は出来ているのだろう?」
「――その言葉そっくりそのままお返ししましょう。警告ですおとなしく言うことを聞いて屋敷に同行するというなら今のうちですよ」
中々言うね。しかしここまで大人しくはないだろう。
「なるほど。言うことを聞けば美味い茶にありつけるかな?」
「さてどうでしょうか? 少々苦いお茶になるかもしれませんよ」
全くとんだ化かし合いもあったものだね。
「はは、確かに君のような麗しの騎士に誘われては言うことを聞きたい気持ちだが、しかし君だってわかってるのだろう? 我々がこのままじゃ済ませられないことぐらいはね!」
引き金に力を込めるとリボルバーからDK弾が発射された。花のように開いた弾丸がアンジェに迫る。
「フンッ!」
だが、私の撃った弾丸はアンジェの斬撃で見事に両断された。おいおい、ダマスカス製の弾丸だぞ?
それをこうもあっさり、しかも高速の弾丸を斬り裂くかね。剣筋の清廉さはハザンより上だな。勿論パワーで見ればハザンには劣るだろうが武器の特性をしっかり理解し無駄の一切感じられない動きで切れ味を更に増している。
「その程度で私を倒せると思ったら大間違いですよ!」
アンジェが剣を振った。彼我の距離は離れているがアンジェは剣に魔力を込めて斬撃を飛ばせる。
光の斬撃が一直線に突き進んでくる。私ではとても避けられないな。だが私が魔導具師だということを忘れてもらっては困る。
「消えた!」
「こっちさ」
アンジェが弾かれたように回避した私を見た。
「――それも魔導具だというのか?」
「そう。瞬間移動ベルトさ」
ベルトのバックルに触れることで短距離を瞬間的に移動できる。それがこのベルトだ。
「やはり簡単ではないか――」
アンジェの構えが変わる。腰のあたりに持っていき動きやすさを重視した構え。これは接近戦に挑んでくるか?
「はぁああ!」
やっぱりだ。地面を蹴りアンジェが一気に距離を詰めに掛かった。悪いが近距離だと少々分が悪い。ベルトで逃げさせてもらうよ。バックルに触れると目の前の景色が瞬時に移り変わる。
「なッ!」
思わず声が漏れた。瞬間移動してアンジェから距離をとった私だったが、まるで出現する場所を読んでいるかのように斬撃が移動先に飛んできた。
これは不味い。流石に移動直後を狙われては次の瞬間移動が間に合わない。
「反射鏡!」
ベルトの代わりとばかりに私が手鏡を翳すと、飛んできた斬撃がアンジェへと跳ね返っていった。
「何だと!」
アンジェが横に飛んで躱す。ふぅ、念の為懐に忍ばせておいて正解だったな。この魔導具はあらゆる攻撃を跳ね返すことが出来る。
「驚いた。まさか瞬間移動した先を光斬撃で狙われるとは思わなかったぞ」
「そ、その技名は忘れてくれ――」
素直に彼女を称えると、アンジェが頬を赤くさせて訴えてきた。
「何だ恥ずかしいのかい? いい名称じゃないか光斬撃」
「うぅ――」
片手で目を覆うアンジェ。何やらしくじった、みたいな雰囲気を感じる。まぁあのときはアンジェも周りの空気に釣られて咄嗟に叫んだみたいなところがあったからな。
「フレイムレイン!」
突如、アンジェとの戦いに割り込む無粋な声がした。空中から炎の雨が降り注がれる。
狙いは私か――そして爆音が響き渡り周囲が真っ赤に染まっていく……。
「エドソン!」
「ぬはは! どうだやってやったぞ! この魔法団団長のマーシルがなぁ!」
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