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300年引きこもり、作り続けてしまった骨董品《魔導具》が、軒並みチート級の魔導具だった件  作者: 空地 大乃
第一章 フォード領編

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第百五十九話 コエンザムの遺した物

お知らせ

第九十三話から第九十八話を改稿しました。

大筋は変わりませんがガイアク戦にアンジェリークが加わりました。

文量も増えてます。

「大事なくまさんを破いてしまってごめんなさい」


 メイがくまのぬいぐるみを直してくれたが、ハザンからもメイからもしっかり謝るよう言われてしまった。勿論このままというつもりもなかったので少女に頭を下げて謝罪した。


「うん! 私エドソンくんを許してあげる! ママがね言ってたんだよ~ちゃんと相手が謝ったら許してあげればまた仲良くなれるって」


 ニヒヒと笑って少女が許してくれた。

 ……なるほど。ここで言うママとは院長のことだが、やはりマザー・ダリアはしっかりした考えの持ち主だったようだ。


 そして――何故かよしよしと頭を撫でられた。やはり子ども扱いなのね……


「流石御主人様。自分の非をしっかり認め謝罪出来る度量をお持ちです。ですが――行動する前には一度冷静になって考えることもお忘れなく」

「あ、あぁ今後気をつけるよ」


 メイから注意を受けてしまった。しかしメイの言う通りどうも思いついたら周りが見えなくなるのがな。メイが叱ってくるのも致し方なしか――


『エドくんって本当そういうとこあるよね。気をつけないと駄目だよ――』


 ……参ったな。もう随分と前のことなのに、メイに(・・・)言われてふと、思い出してしまった。


「……御主人様? どうかされました?」

「え? あ、いやなんでも無いよ」

「はは、兄弟顔が赤いぜ。何だメイさんに見惚れたのか?」

「え? 見惚れ――」

「な、そんなんじゃない、てか痛! 背中を叩くな背中を!」


 全く。相変わらず微妙に衝撃を通すぐらいの力で叩いてくるな。本人に悪気はないんだろうけど。


「でもお姉さん本当すごいよね~」

「ピカピカだ~」


 くまのぬいぐるみの修繕具合に子どもたちが驚いていた。メイはしっかり魔法で汚れも取ってあげたからな。おかげで新品同然だ。


「ところで兄弟。その箱は結局何なんだ?」

「あぁそうだな」


 私はぬいぐるみの中から取り出した箱をチェックした。構造は簡単な物だ。ちょっと撚るだけでぱかっと蓋の部分が外れた。


「これは――十字架ですね」

「あぁそれとメモ書きだな」


 箱の中には一本の十字架が入っていた。それほど大きくはないな。


「マザー・ダリア。恐らくコエンザムさんが孤児院の為に残した物と思われますが、これが使えそうな場所に心当たりは?」

「えっと、祈るための十字架というわけではないのですか?」


 私の質問にダリアが小首を傾げていた。確かにこれだけ見るとそうだけど、ここまで手の込んだ真似をしておいてただの十字架とは思えない。


「マザー・ダリア。コエンザム様は生前孤児院について随分と気にかけていたようなのです。なので何か意味がありそうなのですが……」

「そうなのですね。でも、ごめんなさい特には……」


 メイが説明し確認を取るが、ふむ。ダリアには思い当たる節がなさそうだ。


「御主人様そのメモにはなんと?」

「あぁ――」


 メイに問われ私はメモの内容をチェックしたがそこには数字の羅列が並んでいるだけだった。


「何だこの数字? 意味あるのか?」

「……ここまでやっておいて何の意味もないとは思えないな」

「それ見た~い!」

「私も~」

「僕も~」


 子どもたちがメモに興味を示した。これだけだと私にも何なのか判断がつかないが、コエンザムの残した物だし、見せてみた。


「やっぱりそうだよ~!」

「これ暗号だよね~」

「うん? 暗号? 何か知ってるのかな?」


 メモを見た子どもたちが口々に暗号だと言ってきた。これは何かヒントが聞けるかも知れない。


「おじさんがよく僕たちにクイズとして出してくれたんだよ~」

「うん。暗号問題も色々教えてくれたよ~」

「えっとね。このタイプは最初の言葉がこうだから、うんきっとこうだよね~」

「ねぇねぇ書くものと紙ある~?」

「あ、あぁ。これでいいかな?」

「インクが無いよ~」

「これはインクがいらないんだ」

「えぇ! すっご~い!」


 紙とペンを渡したら子どもたちが随分と喜んでいた。インクレスペンという単純な魔導具なんだけどな。前にキッコリに見せた時も随分と驚かれたっけ。


「おお、マジでインクいらずだ。兄弟は本当とんでもないものを次々出してくるな」


 ハザンも子どもたちと一緒になって驚いていて、紙に落書きしてはしゃいでいた。あいつが子どもたちに好かれたのってもしかして精神年齢が一緒だからではないのか?


「出来た! これで読めると思うよ~」


 子どもたちが紙に書いたのは数字と対応する文字を並べた表だった。


「なるほど。そういうことか」


 それを見てピンっと来た。縦横で並べられた数字がこのメモにあった数字にそのまま対応しているんだな。


 数字を二桁ずつ区切って縦横で見比べていくと――


「なるほど――マザー・ダリア。礼拝堂を見せてもらっても?」

「は、はい。こちらです」


 ダリアの案内で礼拝堂に入れてもらった。結構しっかりした作りだな。


「おお、これは立派なものだな」

「そうだな。まぁ耐久性とか見るとまだまだ甘いから、私ならもっと手を入れるが」

「兄弟は余計な一言が多いな」

「むっ」


 ハザンが呆れたように言った。そう言われても目につくのだから仕方ないだろう!


「それでは御主人様」

「あぁ」


 メイに促され祭壇の前に移動した。そしてチェックしてみる。暗号の意味は祭壇に十字架を捧げよだった。


 そこでよく見てみるとちょうど十字架の収まりそうな窪みを見つけた。


「この中にと――」


 十字架を嵌める。すると重苦しい音がして礼拝堂の壁が開いていった。


「おいおい隠し扉かよ」

「そういうことだ。どうやらこの奥にコエンザム氏が残した物がありそうだ」

「すっご~い! ダンジョンみた~い」


 子どもたちが興奮した口調で言った。ダンジョンみたいか面白いね。


「こんな隠し扉があったなんて知りませんでした……」

「あぁ。コエンザム氏にとってそれぐらい大事なことだったんだろうね」


 そして奥へと入っていった私達だったが――


「お、おいおい! こいつはすげぇぜ。お宝の山じゃねぇか!」


 ハザンが驚きの声を上げ子どもたちもはしゃぎはじめた。ダリアも口に手を当てて驚いている。


 中には金貨や宝石、絵画なんかもあるな。そういった物が大量に遺されていた。


 しかし、これで何故ドラムスがこの孤児院を狙っているかはっきりしたな。まさか孤児院に財産を隠しておくなんてね――

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