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300年引きこもり、作り続けてしまった骨董品《魔導具》が、軒並みチート級の魔導具だった件  作者: 空地 大乃
第一章 フォード領編

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第百五十六話 情報収集

「おいおいそりゃ穏やかじゃない話じゃねぇか? 領主が領地のことを考えてないなんてよぉ」


 ハザンが怪訝な顔で額を押さえた。他の皆も難しい顔を見せている。


「皆の気持ちもわかる。だがフレーム考えても見てくれ。ただでさえ今の領主はプジョー男爵領との交流を一方的に断ち切ったりしている。普通に考えたなら領地としてみればあまりに無意味な行為だ。正直いって不利益しか生んでいない」

「……確かにそう言われてみれば――」


 私の発言で改めてフレームも男爵領でのことを思いだしたようだな。


「ですがエドソンさん。だとしてそれに一体何の意味が?」

「……これは話しておいた方がいいのかもしれないな」


 恐らく無関係ではない――そう思い私はプジョー男爵領で起きたことを伝える。


「何とプジョー男爵領にまで悪魔が……」

「驚いたな。悪魔なんてそう簡単に現れるもんなのか?」

「いえ。普通はそう簡単にはましてこんな短期間に連続で遭遇するものではないでしょう」


 フレンズとロートの疑問にメイが答える。そうただでさえガイアクのことがあったばかりだからな。


「確信は出来ないがこのあたりの事も何か関係しているかもしれないと私は考えている。そしてもう一つウレルの母親についてだが――」


 そして一緒にウレルの母親と話したことを聞かせた。


「そうですか……彼の母親に。しかし、まさかプジョー男爵領にいるとは思いませんでした。確かにあれから店に来ることはありませんでしたが……」


 ジャニスが深刻な顔を見せる。元々ウレルはジャニスの店で教育を受けていた。


「そう言えば元々はエドソンさんがジャニスの店から購入したのでしたな。その後解放して宿の経営を任せるまでに至ってるようですが」

「あ、あぁそうだね」


 ウレルの奴隷の首輪は変術ペン(スペルリコード)を使用して外してあげている。その事実は概念ごと書き換えられるからウレルは奴隷から解放されたという事実が定着されているわけだ。


「しかし元の領主様が亡くなったタイミングで逃げろとは、ドイル商会の件といい本当にきな臭くなりましたね」

「そうだな。そしてだからこそ今デモなどで挑発するのは危険な気がする。相手は何をしてくるかわからない。もっともだからといってこのまま手をこまねいているわけにもいかないと思うが」

「ということは何かエドソン様には考えがあるのですか?」


 ガードが私の様子から察したように聞いてきた。確かに何も無くこんなことは言わないな。


「今回の件だが……あの孤児院に何か重要なことが隠されているのでは? と私は思っている。そしてもうまもなくドラムスとの約束の日がやってくる。そこで皆に集まった情報を知りたいのだけどいいかな?」


 私が問いかけると全員が頷いてくれた。この表情を見るに何かしら掴んでくれたのかもしれない。


「それでは私から」


 先ずはジャニスから話を切り出す。


「私の調べではドラムスは屈強な奴隷を随分と購入していたようです。犯罪奴隷も含めてかなり物騒な集団を形成していると……少なくともまともな相手とは言えないかと――」

「なるほど。ところでその奴隷の中にジャニスの店の奴隷は?」

「勿論一人も……むしろドイル商会絡みが多いと付け加えておきます」


 なるほどね。それは更に怪しい。


「それと――これは孤児院の件と直接関わってくるかはわかりませんが実はドイル商会がここ最近の間に元冒険者の奴隷や犯罪奴隷を結構な数購入したと、そういった話も聞いております」


 ドイル商会が? ふむ……


「ドイル商会は奴隷も扱っていますからおかしくもないのでは?」


 ガードが疑問を呈す。確かにあのドイルが奴隷も扱っているというのは聞いているが……


「いや、あのドイルが扱っていたのはこれまでは女子供が多かった筈。そう考えるとたしかに妙かもしれない……」


 フレームが眼鏡に指をかけつつ思い出すように呟く。


 しかしこれまで買ってこなかったタイプの奴隷を急に買いだしたというのは確かに気になる所だな。しっかり心に刻んでおくか。


「ありがとうジャニス」

「いえ。私としてはあの親子には元通り幸せになって欲しいですので」


 ウレルについてやはりジャニスの思い入れは強いか……。そして続けてフレンズが立ち上がり話し始める。


「さて私ですね。先ず肝心のドラムスについてやはり色々と怪しい点が多いのです。特に気になるのは金回りについてです」

「ほう? 金回り」

「はい。そもそもドラムスがこの町に戻ってきたのも急なことでそれまではどうやらアーレアにいたようなのです」

「アーレア?」

「おおマジかあのアーレアに!」


 町について聞いてもピンとこない。何せ私は300年山にこもっていたからまだまだ外界のことに疎い。しかしハザンは知ってそうだな。


「知っているのですかハザン?」

「おうよ。アーレアといえばギャンブルの町としても有名だからな! いやぁ一度はアーレアで勝負してみたいもんだぜ」

「そういう理由か――」


 お前賭け事で負けて金に苦労していたことあるんじゃないのか……メイもちょっと呆れ目だぞ。


「アーレアは都市と言って差し支えない程の巨大な町でもありますからね。観光客も多い場所です」

「ほう――」


 フレンズが言った。そう聞くとちょっと興味が湧くな。もしかしたらそこなら魔導技術も発展しているかもしれない。


「ただ、その分闇も抱えた場所です。特にギャンブルは下手にハマると身を滅ぼすとされドラムスもそれでかなりやられていたようなのです」

「ほう――」


 賭け事に嵌って身を滅ぼすか。何となくあの宿屋の主人が思い浮かんだな。しかし、当然それも無関係ではなさそうか――

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