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300年引きこもり、作り続けてしまった骨董品《魔導具》が、軒並みチート級の魔導具だった件  作者: 空地 大乃
第一章 フォード領編

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第百五十話 エドソンに会いたいという女性が現れたわけだが

 私達は鉱山として利用することとなった迷宮に向かった。中に入るとモアっとした熱気に包まれている。


 火の魔石も手に入ったとあり鉱山内では魔導高炉もフル回転だ。


「おう来たかエドソン」

「あぁ。しかし流石だな既に鉱山内部の線路は敷設し終えたのか」


 ここに来るまでにも前には見られなかった線路が敷かれていた。鉱山内で列車が動いている様子も見られる。


「あのハザンって冒険者が随分と張り切っていてな。ここだけじゃない外の狩りも率先して行ってくれたおかげで大分間引かれた。橋も掛け直したしブジョー男爵領にも線路は伸びてるぞ」


 そこまでか。本当に仕事が早い。勿論線路を敷くことはプジョー男爵から許可を得ている。


「しかしお前の仲間には助けられてる。図面なんかはブタンが引いてくれたからな。お前のとこで長年執事やっていただけあってあいつは出来がいい」

「お褒め頂き光栄でございます」


 ベンツと話していると噂のブタンがやってきた。それにロールスとクリエの姿もある。

 

 勉強したいってことでクリエの手も借りている状態だ。


「パパ。ブタンさんも凄いけど職人の皆やクリエも頑張ってくれてるんだからね」

「いや、僕なんて全然! でも、ロールスに褒められるなんて」

「ロールス?」


 ベンツの目が光る。一瞬にして眉間に谷のような皺が刻まれた。


「そんな顔しないの。私がそれでいいって言ったんだもん。ロールスさんとかいい加減他人行儀すぎるし」

「そいつは他人だ!」


 ロールスが指を上下に振りながら父親に注意しつつ説明。しかしベンツはガルルと歯牙を噛み合わせて叫んだ。


「何いってんの。パパの大事な弟子でしょ?」

「俺は弟子にとった覚えはねぇ!」


 ロールスは眉を顰めて言い聞かせるような態度を見せている。ベンツはムッとした顔で更に怒鳴った。その目がクリエに向けられ彼の肩がビクッと震えた。


「こい! 大体お前みたいなペーペーが娘になんて三百億年はえぇんだよ!」


 いやいや、それ人どころかベンツも私ですら生きてない期間だぞ。


「この俺が今から徹底してしごいてやる! 覚悟しろ!」

「え! 仕事を教えてくれるんですか! はい僕がんばります!」

「……ふん」

 

 こうしてベンツに首根っこ捕まえられて去っていくクリエだが、にも関わらず満面の笑みだった。まぁドワーフ、しかも上位種のオーバードワーフに教えられる機会なんてそうはないだろうが。


「パパあんまりいじめちゃ駄目だからね」

「るせぇ。徹底的にやってやる!」

「はは、全く親方もなんだかんだ言ってあの人の子を気に入ってるんだよな」


 その様子を見ていたドワーフ達が口々にクリエのことを噂していた。話を聞く分にはベンツだけじゃなくドワーフの職人にも好評なようだな。


「あの子は根性がありますよ。気性の荒いドワーフにいくら怒鳴られても食らいついていきますしね。最初は三日で音を上げると思われていたようですが仕事もどんな雑用だろうとひたむきに頑張ってるようです」

「ほう」


 ブタンもクリエのことを随分と買ってるようだな。ブタンの見る目は確かだしな。クリエは今後ドワーフに匹敵する職人に成長するかも知れない。


 これであの子の父親のメイクも安心だろうな。


「エドソン! ちょうど良かったぜ」


 今度はハザンの声が鉱山内に響き渡った。何か随分と慌ててるようにも見える。


「ハザン。丁度お前の評判を聞いたところだ。随分と頑張ってくれたんだな」

「鉱山の作業がうまくいっているのもハザン様のおかげですね」

「おお、そう言って貰えたら俺も働いた甲斐があったってもんだ。と、それはそれとしてだ。今プジョーの旦那が来てんだよ」

「ほうプジョー男爵が」


 なんだかんだで男爵が魔石の提供を認めてくれたおかげで仕事が前に進んだ。


 しかしまさかここまで来てもらえるとは。鉱山の様子でも見に来たのか?


「あれ? もしかして宝石の件かな? 納期はまだ先だと思ったけど」


 ロールスが小首をかしげる。そういえばプジョーはロールスの細工師としての腕に随分と感心していたからな。何かしら仕事を貰ったのだろう。


「いや、それがどうしても会ってもらいたい人がいるんだそうだ。俺もちらっと見たけど偉いべっぴんだったぜ」

「女性――」


 うん? 今何故かメイの眼光が鋭くなったような……


 しかし女性が私にとは一体誰だろうか?


 とにかく私はハザンに案内されプジョー男爵と再会した。


「ご無沙汰しているな。魔石の件では本当にお世話になった」

「いやいや。助けられたのは寧ろ私の方ですから。お気になさらず。それに今日伺ったのはどうしても会ってもらいたい方がいたからなので」

「うむ。ハザンからも話を聞いているが――」


 プジョーの背中から半身だけ覗かせる形で、外套をまとった人物が立っていた。今は目深にフードを被っているな。飛び出た髪は癖のある青髪だった。


「さ、ウルナ」

「は、はい……」


 ウルナ、それが彼女の名前か。プジョーに促され彼女が前に出てフードを捲った。顕になったのは確かに美しい女性、なのだが、ふむ妙に既視感のある面立ちだが――


「……ウルナ様、もしかしてこの御方は――」


 するとメイが何かを察したような顔を見せじっと彼女を見る。そしてウルナはうるうるとした瞳を私達に向けて訴えてきた。


「その、皆様はシドの町から来られたと聞いております。交友関係も広いと耳にし、どうしても聞きたいことがあって」

「ほう? それで聞きたい事というのは?」

「は、はい。その、ウレル、ウレルという子のことを何かご存知ではありませんか?」


 ――ウレル。驚いたなまさかここでその名を耳にするとは。しかもこの特徴それにメイの様子からしてもしかしてこの人間は――

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