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300年引きこもり、作り続けてしまった骨董品《魔導具》が、軒並みチート級の魔導具だった件  作者: 空地 大乃
第一章 フォード領編

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第百三十二話 対イフリート

 サラマンダーと違い、それは巨大な人型の精霊だった。炎の精霊王とも称される強力な精霊。


 火の魔力が満ち溢れる場所に引き寄せられる上位精霊がこれだ。


「い、いいいいいいぃい、イフリーーートーーーー!」


 アレクトが叫ぶ。目玉が飛び出さんばかりな驚きようだ。お前が大げさなのは今に始まったことではないがそれにしても驚きすぎだろう。


「アホ面下げて何をそんなに驚いているんだお前は」

「酷い! いやいや、そういう問題じゃありませんって! イフリートといえば最悪の破壊の化身。かつて一つの都市を一夜にして焼き尽くしたという言い伝えが残る炎の魔神じゃないですか!」


 え? ま、魔神? いやいや流石にそれは大げさだろう。


「兄弟、俺も聞いたことがあるぜ。まさに伝説の存在、それがイフリートだ!」


 ハザンも珍しく緊張した面持ちだ。だけど、少なくともハザンはそこまで怖気づく相手でもないだろう。


「ハザン。お前は一度悪魔とだって戦っている。それを思えばどうということはないだろう」

「え? あぁ、そういえば確かに……」


 ハザンが目玉を上向きにしつぶやく。悪魔とのこと忘れていたのか。いや違うか。直感で動くタイプだからきっかけがないと思い出せないんだ。


「グォオォオオオォオオオ!」

「ちょ、そんなこと話している間に、口から炎が!」

「問題ない反射鏡(カウンターミラー)!」


 小さな鏡タイプの魔導具だ。取り出して翳すことで正面に半透明の魔導の鏡が発生し相手の攻撃を跳ね返す。


 イフリートの吐き出した炎は跳ね返りイフリート自身が炎に飲み込まれる。


「やったか!」

「いや無駄だ。炎の化身のような精霊だからな。そもそも炎は効かない」

「グルォオオオアァアアアアアアァア!」


 とは言え頭には来ているようだな。しかし、予感はしたが――鑑定眼鏡で見てみたが完全にカオスマイフに支配されている。

 

 サラマンダーと一緒だ。だからここまで凶暴化している。


「お、おいあれ!」


 イフリートが両手を振り上げると巨大な火球が無数に生み出された。


「相手は火の上位精霊だからな。炎の魔法ぐらいは軽く使ってくる」

「そういう問題じゃないですよ! あれはどうみてヤバい魔法ですよ!」


 アレクトが騒ぐと同時に巨大な火球が迫った。しかし、それも全て魔導具で跳ね返りイフリートに命中する。


「おお! 凄いです! これなら無敵ですね!」

「しかし兄弟、守ってばかりじゃ仕方ないだろう?」

「まぁそうだな」

「だったら私がいくよ!」

「あ、おい待てロールス!」


 しかし、私の制止が聞こえていないのか、飛び出したロールスがイフリートの頭上をとり鉄槌で頭をぶっ叩いた。全く流石ドワーフの娘だけあって勇ましいが。


「グルルウウウウ――」

「あれ? あ!」


 イフリートは頭を擦るもそこまでのダメージに繋がっていない。そして手でロールスを叩き落としマグマの中に沈んでしまった。


「あぁあぁああ! そんなロールスちゃぁああん!」

「そ、そんな、あんな小さな子が犠牲にだと! 畜生、俺は、何も出来ずに!」

「ぷはぁあぁあああ! 失敗失敗」

「て、えぇえええぇええ!?」


 マグマの中から這い出てきたロールスを見るなりアレクトが絶叫した騒がしい女だ。


「ロールス、無茶し過ぎだぞ。私の渡したベストを来ていたから良かったが、熱に強いとは言えそれがなければ火傷ぐらいは負ったかもしれない」

「一応薬などは取り揃えておりますが、無茶は良くないですね」


 私が注意し、ブタンも嘆息混じりにロールスを諭した。


「えへへ、いけると思ったんだけどね」

「いやいや、会話がおかしいですよ! マグマに落ちた女の子との会話じゃないです!」

 

 失敗失敗と頬を掻くロールスにアレクトがツッコミを入れてきた。そうはいってもな。ドワーフは熱に強いわけだし。


「全く驚きの連続だが、今のやりとりを見ていたら俺でもいけそうな気がしてきたぜ」

 

 ハザンが剣を構え始める。


「その意気だ。だいたいイフリートといっても脅威レベルは32程度だ」

「それってどれぐらいなんだ?」

「さっき戦っていたサラマンダーで脅威レベル8だ」

「おお、てことはサラマンダー二匹分程度ってことか」

「いやいや! おかしいですよ!」

「確かにおかしいぞ。その計算は間違っている」

「そうか?」

「数字だけで見れば4倍ですね」

「おお! あんた賢いな!」

「恐れ入ります」


 ブタンは良く相手してるな……私からすれば頭が痛くなる内容だ。


「いやいや、そんな単純なものじゃないですよ! 確か以前エドソンくんは脅威レベルが1つ上がると大体3倍ぐらいの強さになると言っていたのです! それで考えたらイフリートはえっと……」

「つまりサラマンダーの3倍ぐらい強いってことか?」

「ハザン様……」


 おいおい、メイが呆れ顔だぞ。


「ま、精々サラマンダーの43046721倍程度の強さと思えばいい」

「とんでもない数字きたーーーーーー!」


 全く一々うるさい女だ。


「よくわからないが、何とかなりそうだな」

「どうしてそうなるの!」


 ハザンは数字が苦手だからな。桁が大きすぎるると理解できないから逆にいけると思うんだろう。


「とにかくあ~だこ~だ言ってても仕方ない。アレクトはこの反射鏡を持っておけ。攻撃のくるタイミングで翳せば攻撃は跳ね返る」

「え? エドソンくんは?」

「勿論攻撃に参加する。ハザンは氷の魔弾をセットして使うといい。メイは一緒に頼む。ブタンはその位置から援護だ」

「承知いたしました」

「エドソンくん。私は?」

「サラマンダーを叩いてくれ」

「サラマンダー?」


 ロールスが小首をかしげるが私の予想では恐らく。


「グオオオォオォオオオ!」

 

 ほら来た。イフリートが叫ぶとマグマの中からサラマンダーが這い出てきた。


「えぇ! 何で!」

「イフリートはサラマンダーの上位だ。当然サラマンダーはイフリートの命令に従う」


 アレクトに答えつつ、立体飛導操機(オープンスカイボード)に飛び乗った。メイも空中を蹴りながらイフリートの周囲を駆け回る。


 ブタンは水の属性を纏った鞭で攻撃を続けた。合間合間でサラマンダーも片付けている。ロールスもやってくるサラマンダーを叩き潰し、ハザンは氷を纏ったソードリボルバーを振り発生した氷の塊をぶつけていく。


 そして私もマイフルを取り出し、絶対零度の光線を放っていく。メイも氷を纏った拳や蹴りをイフリートに纏めていった。


 メイは基本格闘戦を好むからなぁ。さて、その間もイフリートは炎を吐いたり火球や炎の巨大な槍を放ったりしているが悲鳴を上げながらもアレクトが上手いこと跳ね返している。


 うん、いい感じだな。このままいけば問題なく――


「ウォオオオオオオォオオオオ!」

「え? 何ですかこれ?」

「旦那様!」


 ブタンが叫ぶ。あぁわかってる。地面に術式、範囲系魔法だな。あれだと反射鏡では跳ね返せない。だから私は弾丸を入れ替え、術式に向けて弾丸を放つ。


 するとパリィイインという快音とともに術式が消え去った。当然魔法も発動しない。


「グルァ……」

「魔解弾だ。これで魔法を解除できる。残念だったな。そして、これで終わりだ」


 狙いを定めトリガーを引く。放たれた弾丸はイフリートの頭上で展開され雲に変わり氷の雨がイフリートに降り注いだ。


「ア、ガ、アァアア、ア――」


 そしてイフリートの全身が凍てつき、直後バラバラに砕け散った。ふぅ、これでイフリートも消えたな――

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