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300年引きこもり、作り続けてしまった骨董品《魔導具》が、軒並みチート級の魔導具だった件  作者: 空地 大乃
第一章 フォード領編

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第百三十話 鉱山のサラマンダー

 鉱山にサラマンダーが溢れているようだ。本来精霊は別次元に存在するため、普通に見ることは出来ない。


 だが、ロールスによると完全に形として現れ鉱山内を跋扈しているようだ。


 しかも好戦的と来ている。間違いなく魔力(マイフ)の影響、しかもカオス化が進んでいると見ていいだろうな。


 問題はなぜそんなことが起きたかだ……精霊が得た魔力でカオス化が増すのは何らかのストレスが発生した場合や、後は――ふむ、とにかく鉱山内で何かが起きていることは確かだろう。


 念の為ある程度の人手は用意しておくとしよう。それがここで言うところの準備だ。


 というわけで私は瞬間移動扉でシドの街に戻った。そのうえで魔導ギルドに向かう。


「あ! エドソンくん! 戻ったんだねぇ。メイさんも~良かった。色々聞きたいこともあって」

「それは至急必要なものか?」

「え? いえ、別にそういうわけじゃないけど~」


 ギルドに戻ると泣きそうな顔でアレクトが私とメイに助けを求めてきたが、急ぎでないなら――


「それは後回しだ。お前もこっちを手伝え」

「へ? 手伝い?」

「そうだ。あとはハザンだが、今どこにいるかな?」

「おう兄弟! 俺を呼んだか!」


 なんと、タイミングよくハザンが魔導ギルドに顔を見せてくれた。


「丁度あの鉱山ダンジョンでの狩りも終わったとこなのさ。しかしこうもタイミングよく出会えるとは運命を感じるな」

「気色悪いこと言うな」

 

 思わず目が細まる。とは言え、丁度いいのは確かだ。なので私は早速アレクトとハザンを連れてブジョー男爵領に戻った。


「改めて紹介しよう。ここにいるのがロールスとブタン。二人共、こっちが脳筋のハザンとあとはあんぽんたんだ」

「アレクトです!」


 アレクトがムキになった。そっちの方がわかりやすいと思うのだがな。


「これはこれはいつも旦那様がお世話になっております」

「……お、おいおいどうなってるんだ! 兄弟! 豚が喋ったぞ!」

「お前もかハザン」


 驚いた顔で私に問いかけてきた。そんなに知られていないのかワーマル(半獣)族は。


「は、まさかオークか!」

「違います」

「それは酷いぞハザン」

「最低ですね」

「え、えぇ!」

 

 ブタンは穏やかだから怒らないが、流石にオークと間違うのは酷い。メイも冷ややかな目を向けているぞ。


 確かにオークは豚に似た特徴を持つ魔物だが、ブタンとは顔が全く違う。ブタンはどちらかという愛らしい豚だ。オークはそうじゃない。


「え~と、もしかしてぇ、ワーマル族ですか?」

「……なに?」


 アレクトが恐る恐るとそんなことを言ってきた。思わず聞き返してしまったぞ。


「アレクト、今なんと言ったんだ?」

「え? だからワーマル族かなって。ま、間違ってました!?」

「バカモン! あっているから驚いたんだろうが! どうした? 頭でも打ったか?」

「酷い!?」


 そうは言ってもな。あのちゃらんぽらんなアレクトが、まさか他の人間が知らないワーマルを知っているとは。


「うぅ、今は代理ですがマスターがいる時に読んだ書物に載っていたのですよ~ただ、今ではかなり珍しいとマスターは言ってましたが」


 そうだったのか。そういえばアレクトはあくまで代理という話だったな。ふむ、しかし元のマスターはそれなりの知識を有していたのだろうか?


「そうだったのか。それは何かすまなかったなオークだなんて言ってしまって」

「いえいえ、お気になさらず」


 ハザンが謝罪した。


 あいつは脳筋で単細胞ではあるが、間違いはすぐに認めて謝れるのがいいところではあるな。私のときもそうだったし。


「それで兄弟、このメンツで何をするつもりなんだ?」

「この鉱山でサラマンダーが暴走しているんだ。それを退治して回る。後は暴走の原因を探る」

「さ、サラマンダーだって!」

「ふぇ~~~~~~!」


 ハザンが仰け反るようにして驚き、アレクトなんて派手にころんだ。パンツ見えるぞ。


「とにかく、あまり時間がないから詳しくは中にはいってから説明する」


 そして私達は鉱山に入っていった。


「でも、ロールスちゃんみたいな可愛らしい子が一緒になんて危なくないんですか?」

「そんな心配は不要だ。ロールスはお前よりは頼りになる」

「えぇええぇえ!」


 アレクトが驚いているが事実だ。


「えへへ~可愛らしいだってぇ」

「ふふっ、確かにロールス様は可愛いですからね」

 

 そしてロールスは可愛いと言われたのが嬉しいようだな。


「でもよぉ、精霊なんて倒せるのか?」

「問題ない。そもそも精霊といっても今いるのは魔力の塊みたいなものだ。だからわりと対抗策はある――」


 ハザンは精霊と戦ったことはないようだな。ならとりあえず見せたほうが早いか。


「あ、ほらエドソンくん! いた! サラマンダー!」

「おお! あれがサラマンダーか!」

「ひぃ、な、なんかごついです!」


 ふむ、確かにサラマンダーだ。火蜥蜴と言われているが顔なんかは竜に近くもある。


 それが数匹、同時にやってきた。こっちをギロリと睨んできたかと思えば、口から火球を吐き出してくる。


「ひぇええぇええ! 攻撃がーーーー!」

「任せて!」


 ロールスが前に飛び出し飛んできた火球を手もちの槌で打ち返した。


「へ?」

「だから言っただろう。ロールスは火に強い。あの程度なんてことはないのだ」

「ひ、火に強いとかそういう問題なのかな?」


 アレクトが小首をかしげるが、基本は細工仕事が主なドワーフの女だ。属性持ちの鉱石や輝石の扱いは下手したらドワーフの男より長けている。

 

 故に様々な属性に慣れているロールスにとってはこの程度、造作も無いことなのだ。


「では、私も――」


 今度はブタンが前に出て、鞭を取り出した。すると鞭の表面に水が噴出する。


 あれは私が過去に作成した彩光の鞭(バラエティウィップ)だ。鞭に様々な属性が付与できる術式が施してある。


 そしてブタンは、というより曽祖父であるブーの時代から鞭の扱いを得意としていた。それがブタンにも引き継がれているのだろう。


 ブタンが鞭を数回振るっただけで、サラマンダーは消えてしまった。ロールスの槌でも同じことが起きている。


「見てのとおりだ。倒し方は弱点の属性で叩くか、魔力そのものを散らす攻撃を放つかだ。サラマンダーはそれでいける」

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