レッドネームになりました!
俺は 来栖 一馬 24歳 独身
家族は居ない と言うより交通事故で両親と姉を
一度に亡くし 今は仕事もせず 保険金を生活費代わり
として毎日 オンラインゲームに明け暮れている
ダメ人間に成り下がっている。
始めは 親戚連中も 同情して 声を掛けてくれたが
現在は 誰とも 連絡は途絶えてしまっている。
「あぁ〜 レベルがもう250なんて 完全に頭打ちだ
よなぁ。 もうやる事無いくらい制覇しまくり
で ゲームも そうだが 人生も飽きちゃったなぁ
人生も ゲームみたいに リセットすりゃいいだょ」
すると そこに ピンポーン 呼び鈴が鳴った。
「宅配便でーす!」
俺は 印鑑を持って 玄関に向かい ドアを開けた。
「ここに ハンコを、お願いします。」
俺は 印鑑を 指定の場所に押した。
「ありがとうございました!」
何やら 箱を受け取ったが 通販等は注文していない。
差出人は 神様となっている?
「何だ バカにしやがって イタズラかよ」
ブツブツ言いながらも 箱を開くと 赤いボタンが
入っていた。「何だ こりゃ?」
ポチっとな!
俺は その赤いボタンを押してみた。
音も出ず 何も起こらない。
「全く ふざけた イタズラだよ 全く!」
と言いながら 箱ごとボタンをゴミ箱に放り投げると
[リセット確認しました。]
どうやら 2回ボタンを押すと 動作するようだった。
すると 部屋の隅に穴が開いて 空洞化して来た!
「何だ! どうした! 」
瞬く間に 部屋の半分の壁は落ちて 何も無い空間に
変わって行った。
俺は 何も出来ずに ただ呆然と立っていたが
見ると立っている筈の 床さえ 消えて無くなり
まるで 宙に浮いている様になっていた。
そして次の瞬間 新たな景色が目の前に 広がり始め
あっと言う間に 見知らぬ場所の中にいた。
「ふむ よう来たのぅ リセット成功じゃ」
「えっ リセット?」
「そうじゃよ お主 仕事もせず グータラな生活を
続けて 家族一同皆んな 怒っておるぞ! 先程
自分で リセットしたいと申したので やっと やる気
が出たのかと お前にリセットボタンを送ったのよ」
「アレ! ホントのリセットボタン!だったの?」
「そうじゃ ワシからのと 書いておいたぞ」
「確かに 神様とあったけど……。ではリセット
すると 俺はどうなるの?」
「お前が のめり込んでいた ゲームあったじゃろ
アレで 最後に魔王を倒して見なさい! 見事に
倒せたなら また元の世界に 戻してやろう。」
「あっ マジで! 分かったやるよ!」
「おぉ ゲームとなると 元気でるのぅ。 レベルは1
からだけどな。少しステータスをいじっておいた
から 当分は死なんじゃろ。 後このバッグも 特別
にプレゼントじゃ あとできっと役に立つぞ!」
その話を聞き終わると 気がスウッと遠くなり
気を失ってしまう。 そして再び気を取り戻すと
何処かの街の 路地裏に倒れていた。
「う〜ん ココは何処だ? 待てよ見た事が有るぞ」
ゲーム内の殆どの場所を 歩き廻っていたから
直感でココが アドニスの街という事が分かった。
「そうだ まず神様から貰った バッグを確認しよう」
しかしバッグは 持ってい無い!
「アレ 何処かに落とした? 何処だバッグ!」
と叫ぶと 俺の視界の左端に バッグの絵が出た。
「うむ 何だコレ?」
視界のバッグに触れると 視界画面に バッグの中身が
ゲーム同様に展開されて 驚いた!
確認すると 武器があった。
[ハーキュリーソード] 装備時STRを500上昇
「コレは 最終兵器に匹敵すると言うヘラクレスの剣
かよ! しかしレベル1で 持てるのか?」
その横には 防具があり
[勇者のバンダナ] 装備時DEFを100上昇
[勇者のジャケット] 装備時DEFを500上昇
[勇者のパンツ] 装備時DEFを400上昇
[勇者のシューズ] 装備時AGIを200上昇
[勇者のグローブ] 装備時STRを200上昇
[勇者のペンダント] 装備時相手のステータス可視化
[勇者のブレスレット] 装備時マルチ言語対応
「うわぁ ゲームで装備していた物より遥かに良い物
だぁ。ステータス上昇率が激しくいい 相手の
ステータス可視化と マルチ言語対応もつくのかぁ
至れり尽くせりだな。」
視界にある ステータス を確認すると
名前:来栖 一馬
年齢:24
LV:1
HP:1600
MP:500
STR:1800
AGI:700
VIT:1500
INT:500
特殊スキル:デプリ(相手のスキルを1つ剥奪)
スキル:パワーボム (絶大な気で相手にダメージ)
「うむ 装備を装着したら格段に数値が上がったな
この数値だと レベル30と言うところか…。当分の
間 全く問題無いなぁ。神様ありがとう!
今日は ギルドで冒険者登録をしておこう。」
この街の一番大きな ギルドに向かう事にした。
「すみませんが 初期登録をお願い致します。」
「いらっしゃいませ 冒険者登録ですね
どうぞこちらで 手をかざして下さい。」
カウンターの上にある スキャナーに手をかざし
ポンっとチャイムが鳴り 登録は簡単に完了した。
「はい 冒険者登録は これで 完了致しましたが
可能クエスト を検索致しますか?」
「はい お願い致します。」
暫く 受付が検索すると…。
「あら? コレは! 暫くお待ち下さいませ!」
受付が 一旦奥に下がり 代わりに男性が出て来た。
「冒険者様 レベル1で この数値はどの様な事と
理解すればよろしいでしょうか?」
「あぁ 私は召喚者ですので 神様の祝福があって
の数値と ご理解下さい。」
「はい その様な事でしたら レベルでは無く 数値
からの検索に切り替えて行いますので もう少々
お待ちください。」
暫くして数個のクエストを提示された。
1.魔の洞窟でミノタウルス10匹討伐
2.町外れの旧教会跡で、グール20匹討伐
3.静かなる森で大猪討伐
「となっております。」
「ありがとうございます。それでは全部登録お願い
します!」
「あっはい 分かりました…。 では登録完了です。」
俺は 神様から貰ったバッグの中に 魔法の地図が
あった事を思い出し 取り出した。
「えーと 地図を広げて 魔の洞窟! 旧教会!
静かなる森!」
と 呼び掛けると 便利物で 呼ばれた場所が 点滅する
仕掛けだった。コレで迷う事はあり得ないのだ。
「遠いクエから やって行くかな まずは静かなる森
からだ。」
俺は 静かなる森の 大猪討伐に向かった。
森に入ると 辺りは本当に静かで 鳥の鳴き声や虫の音
も聞こえて来ない森だった。
すると 10m程先に 大きな物が木の間を抜けた様に
見えたが 次の瞬間 その物体は進路を変え 此方に
向かって来た!
ドドドドドッドドドドドーーーーーー!
それは 紛れもなく大猪だった!
鼻からシュッシュッと荒い息を吐き 大猪は
大きく飛び出た鋭い牙を 俺に向け突っ込んで来た!
「パワーボム!」「パワーボム!」「パワーボム!」
手の平から 放った気は ドドーーーーーーン!
ドドーーーーーーン! ドドーーーーーーン!
音を立て 大猪の顔面に 三発命中した!
食らった大猪は 前足を折り ズズズサーーー!と
顔面から地面に激突し 勢い余って 一回転して
デカイ尻を更に地面に強く打ち付けた!
大猪は 前足を ピクピクさせていたが その内
痙攣し 動かなくなったが
ボワッと大猪の姿は消え 後にメダルが チャリ
ンと音を立てて残った。
俺は メダルを拾い上げ バックに収納した。
どうやら コレが倒した証拠になるらしい。
「さぁ 次は旧教会跡だ!」
パワーボムの威力も 確認出来たし 連続攻撃可能も
分かったので これからは コレを活用して戦おう!
暫く歩くと 町外れの 旧教会跡に着いた。
壁は大きく崩れ 屋根も落ちていて 辛うじてステンド
グラス窓と隣に墓地があるので 教会があった事が
分かるといった場合だった。
ココでグールを20匹討伐との事なのだが 1匹も見当た
ら無い どうした事か?
しかしその理由は直ぐに 知らされる事になる。
「おぉ 今頃来ても グールは居ないぜ! 俺達が全て
倒してしまったからなぁ。はっはっはっ!
そして 俺達は見ても分かる通り レッドネームだ!
死にたく無ければ 装備を置いて立ち去れ!命だけは
助けてやる!」
3人のレッドネーム(PK)が待ち伏せしていた。
「・・・・・・。」
「何を グズグズしてやがる 死にてぇのかぁ!
「レッドネームは 倒してもお咎め無しだから
狩らしてもらう あんたら 悪く思わんでね!」
「パワーボム」「パワーボム」「パワーボム!」
「パワーボム」「パワーボム」「パワーボム!」
左右連続でパワーボムを 繰り出し レッドネーム達
はパワーボム攻撃の威力と素早さに 何も反撃出来ず
に3人とも 虫の息だった。
「うぅ〜 助けてくれ〜 命だけは〜」
「そうか では代わりに スキルを頂くね 」
[ステータス確認]
1人目
名前:ミッシェル
LV:28
年齢:31
HP:1200
MP:800
STR:1200
AGI:500
VIT:800
INT:500
スキル:シーフ(鞄の中身を盗む)
スキル:影縫(相手を5秒間不動)
[影縫を剥奪!]
[ステータス確認]
2人目
名前:ドガ
LV:30
年齢:30
HP:1500
MP:600
STR:1800
AGI:500
VIT:700
INT:400
スキル:バーサク(20秒間 力が倍増.防御半分)
スキル:ダウン(20秒間 相手の防御を半分)
[ダウン剥奪!]
[ステータス確認]
3人目
名前:ナムル
LV:31
年齢:32
HP:1500
MP:1000
STR:1000
AGI:600
VIT:1000
INT:1000
スキル:アップ(20秒間 味方の防御を倍増)
スキル:ヒール(傷を癒す)
[ヒール剥奪!]
俺は 3人から 影縫・ダウン・ヒールのスキルを
剥奪し 命は助けてやった。 例えPKでも
人間を殺すのは なんか 後味悪いと思ったからだ。
それに レベル30程度では 全く俺の敵で無い事も
確認出来たのも 大きかった。
「では 次の魔の洞窟に 行くとしよう。」
その前に 俺のステータスも確認しとくか…。
名前:来栖 一馬
年齢:24
LV:5
HP:2200
MP:850
STR:2300
AGI:1100
VIT:1950
INT:850
特殊スキル:デプリ(相手のスキルを1つ剥奪)
スキル:パワーボム (絶大な気で相手にダメージ)
スキル:影縫(相手を5秒間不動)
スキル:ダウン(20秒間 相手の防御を半分)
スキル:ヒール(傷を癒す)
「おぉー スキルが入ってる! デプリ使えるねぇ。
よし! 更にレベルアップだ!」
俺は 最後のクエストの魔の洞窟に 向かって行った。
そこには あのミノタウルスがいる。
魔の洞窟に着くと 既に先に来ていたパーティが
いたが 随分と苦戦している様子だった。
「おい! 早くヒールをくれ! これじゃ全滅するぞ!
俺はもう 持ち堪えられん!」
パーティ構成は 前衛に斧戦士1名 後衛に弓が1名
魔法使いが1名 回復役のクレリック1名の4人体制
なのだが 一人一人のレベルが低すぎる。
斧戦士はLV:21その他は13〜15位しか無い。
これでは 斧戦士が倒されたら
直ぐに全滅だろう。
ミノタウルスはLV:32以上はある魔物だ。
俺は 斧戦士に先程剥奪したヒールを掛けてやった。
すると 半分くらいだった HPが全回復した。
「おぉー誰が分からんが 助太刀ありがとう!
今ので 随分助かる!」
「あぁ 頑張ってくれ! 危なくなったら俺が
ヒール掛けてやる!」
「忝い! た・す・か…。」
その時 ミノタウルスからの 会心の一撃が 斧戦士に
当てられ HPが残り5%になってしまった!
俺はもう ヒールでは間に合わないと判断し
ミノタウルスに パワーボムを繰り出した!
「パワーボム」「パワーボム」「パワーボム!」
ミノタウルスは 足を折られ 地面に転倒した!
「ダウン!」
俺は ダウンを発動させ ミノタウルスの防御を半分
にして 更に「パワーボム」「パワーボム!」
ズズズバババァーーーーン!
ミノタウルスは 体中が穴だらけになって 絶命した。
振り返ると 斧戦士は クレリックが 回復を行なって
いた。
「悪いな ヒールでは間に合わないと判断して
倒してしまったよ。」
「おいおい 俺達だって クレリックがいるんだ!
回復しながら 倒すから余計な攻撃は遠慮願おう!」
「そうか 悪かった では俺はもう少し奥で 狩る事
にするよ じゃぁな。」
後ろで 何かブツブツ言っていたが 無視して俺は
先に進んでいた。
この魔の洞窟は ミノタウルスが 限り無く湧くようで
先程倒したミノタウルスがまた新手として奴等の前
に現れていたのを 遠目で確認出来た。
1人で 奥に進んだが 中々湧かず 湧くポイントの様
な場所があると判断した俺は 奴等が終わったら
代わって貰おうと 先程の場所に戻ってみた。
すると 確かにミノタウルスは居たが パーティの
姿が見えない。
「アレ もう終わって帰ったのか 丁度良かった。では
まずアイツを倒すか!」
「影縫! ダウン! パワーボム パワーボム パワー
ボム パワーボム パワーボム!」
ミノタウルスを不動にして 防御を半分にしてから
パワーボムを連打したので 呆気無く ミノタウルス
は ボゥっと消え メダルが残った。
俺はメダルを回収して ふと壁際に目をやると そこ
には 先程のパーティの奴等の衣服と残骸が無残に
残っていた。そうだ 奴等は全滅していたのだ。
そして 既にミノタウルスに 喰われていたのだ。
「コレが 冒険という物なのだな……。」
俺は その場所で 続けて10体のミノタウルスを
討伐し終え 街に戻る事にした。
暫くして 街に戻り ギルドに向かった。
「いらっしゃいませ あっカズマ様 少しお待ち下さ
いませ。」
受付が 奥に入り 奥から男が出て来た。
「あっ すみません カズマ様 一つお伺いしたい事が
ありまして…。」
「はい なんでしょうか?」
「先日 旧教会跡のクエストの現場で冒険者に対し
無闇にパワーボムで攻撃し 瀕死の重傷を負わせた
と訴えが出ておりまして……。」
「ほう 訴えがねぇ レッドネームの3人ですよね。」
「いえ 普通の 冒険者さんです。」
おかしいなぁ あの時ステータスを確認したが
レッドネームの3人だった筈……。
「それで 何と言ってるのですか?」
「はい ギルド会員追放と 賠償金1000万リル請求
と言っております。」
あの時殺していないから メダルも拾って無い。
それを逆手に取っての 訴えか……。
「分かりました ギルドは そちらにもご迷惑がかかる
といけないので 辞退しましょう。お金は 渡すから
19時に 旧教会跡に来てくれてと伝えて下さい。」
そして 俺は 預かったカードを返却した。
コレでもう ギルドでのクエストは受けることが不可
能となってしまった。やれやれだぜ……。
19時 旧教会跡に俺はいた。
ガヤガヤと話す声が近づいて来て 目をやると
あの時の3人と 他に10人程の仲間らしき者が一緒に
いた。おそらく助っ人だろう。
「おぉ コイツだよ レベル低い癖して 不意打ちで
俺達を コケにしやがった奴はよ! 今度こそ 装備
と 金を置いて行きな!」
「今日は13人も いるから活きがいいなぁ。勝つつも
りで来たんだろ? 奪って獲りなよ!」
「おい 皆んな もう殺していいから やっちゃって!」
ウォォォォォォーーーーーーーーー!!
13人が一斉に 突っ込んで来た!
「影縫!」
俺は 一番近い奴に影縫を発動し止めて 素早く
左肩から右脇まで 真っ二つに斬り裂き 続いて
左右にいた者達を 一度に左から右に剣を振り
2人の腹をサバキ 腑を出させたと思うと 次の者の
喉を目にも止まらない速さで 一突きしてそのまま
右に振り抜き首を落とした。
それを見た 残りの連中は
「おいおい こんな強いって聞いて無いぞ!レベル
5か6言ってたじゃないかよ!」
「こんな動きする奴が 6な訳無いだろ!
30以上はあるぞ!」
「いや 俺はレベル5だよ。でも30レベルを狩る
レベル5なんだよねぇ。ふっふっふっ。」
「俺は抜けた! 帰るぞ!」
ギューーーーン ドバババーーーーン!
その逃げようとした奴に パワーボムが激突し大破
して 跡形も無くなった。
ウワーーー助けてくれーー!
今度は 皆一目散に逃げ出したが 次々と パワーボム
が飛んで行き ことごとく木っ端微塵となり最後に
残ったのは 訴えを出した男だった。
「もう 訴えは取り下げるから ギルドの件も俺が
悪かったと申し出るから どうか助けてくれ!」
「そうか でもな 俺に二度は無いんだよ」
最後に残った男は 頭から股まで 斬り割かれて
左右に分かれて 倒れていった。
俺のステータスを確認すると
レッドネーム
名前:来栖 一馬
年齢:24
LV:6
HP:2400
MP:900
STR:2400
AGI:1200
VIT:2100
INT:900
特殊スキル:デプリ(相手のスキルを1つ剥奪)
スキル:パワーボム (絶大な気で相手にダメージ)
スキル:影縫(相手を5秒間不動)
スキル:ダウン(20秒間 相手の防御を半分)
スキル:ヒール(傷を癒す)
「ありゃ レッドネームになってるよ まぁ当然か
人殺しだもんな。もうギルドも使えんし 宿も使え
ない。狩場にでも拠点を作る他ないなぁ。」
レッドネームとは 冒険者などを意図的に殺して
装備などを奪う 犯罪者の事で 一般の街には入れ
ないから 宿 ギルドなどは利用出来ない。
それに レッドネームは お尋ね者でもあるので いわゆ
る賞金稼ぎが 常に襲って来る為 リスクが高いのだ。
魔王討伐もあるが その前にレベルを上げないと
冒険者達の餌食になってしまうと言う事だ。
明日からは レベル上げに ダンジョンに籠る!
続く