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第3筆 我に天罰を与えたまえ

拝啓


 神様、仏様、ごめんなさい。

 あの子の手紙は、好奇心で覗き込んで良いものじゃありませんでした。それでも読んでしまうのです。読まないだけの自制心が俺にはない。あなただってないでしょう?


 あの子が大事に抱えてもってくる手紙は亡くなった母親に宛てたものでした。それを勝手に読むというのはどうなのか。考えるまでもない。駄目です。有り体に言って駄目です。


 でも、読んでしまうのです。神様、俺は神社の跡取り息子です。教会の懺悔室へ行くことはできません。だから、ここで聞いてください。


 あの子の名前は、桐生霧子きりゅう きりこ。手紙に書いてあった住所はアパートで、そう遠くもない。深い理由もなく、見に行ってみたら、ちょうどあの子が妹を連れて部屋を出てくるところでした。


 向こうはこっちのことは知らないし、気にせず、普通にしていれば良かったんだろうけど、悪い汗が出てくるのを感じて、あの子が2階の部屋から階段で降りてくる前に一目散に逃げ出しました。


 神様、お願いです。もう、あの子が手紙を持ってこないようにしてください。だって、また手紙を持ってきたら、俺は絶対に読んでしまうから。


 我に天罰を与えたまえ。


敬具


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