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第2筆 4月の手紙


拝啓


 天国のお母さんへ。

 今月から三滝市へ引っ越してきました。お父さんの仕事の都合で仕方ないけど、誰も知る人がいない新しい街は寂しいし、不安です。


 風子は新しい幼稚園へ行きたくないって駄々をこねるし、お父さんも忙しくて、私たちが寝ている間に帰ってきて、また寝ている間に出ていってしまいます。

 用意しておいた朝ごはんは残さず食べてくれているので、元気に仕事に行ってるんだなぁって思うくらいです。


 ねぇ、お母さん。

 本当は私も、新しい高校へ行きたくないって駄々をこねたいんだ。だって、誰も知っている子がいないし、風子の送迎や面倒を見るのに部活もできないんだよ。もちろん、遊びにだって行けない。


 あーあ、なんで死んじゃったかな。お母さん、帰ってきてよ。


 ……なんてね。


 お母さん、ごめんね。そりゃあ、死にたくなんてなかったよね。あんなに風子のことを大事にしてたのに。私も構ってよって、ちょっと思ってた。

 でも、お母さんがいなくなって、どれだけ私たちのことを大事にしてくれてたか分かったよ。


 だから、大丈夫。


 風子のことは私に任せて。私もがんばって学校へ行くよ。でも、


 でも、時々は私の話を聞いてください。

 こんな素敵な神社があるなんて、それだけで引越してきた甲斐がありました。


 じゃあ、また焚き上げの日に。


敬具

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