表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/21

第19筆 桐生霧子様へ

拝啓


 神様、この手紙はキレコ宛に書きました。もちろん宛名だけで、投函はしません。


 いつものように焚き上げます。


 俺は神様の御使いじゃない。ただの出歯亀、出っ歯の亀吉だ。人の想いを勝手に覗き込んで、人生に土足で踏み込むような真似はしちゃいけない。それは神様だけに許される。


 風子ちゃんを助けられたことだけは本当に良かったと思うけど、もう終わりにします。

 キレコの手紙が神社のポストに届いても、一切、読まずに、封を切らずに、他の無数の手紙と同じように、燃やして、焚き上げてみせます。それが……


 届かぬ手紙を浄化することが、本来のありようだから。この手紙も、この想いも、一緒に空へ帰そう。


 桐生霧子!


 俺は、お前が大好きだ。


 お前が引っ越して。転校して行って。ようやく自分の気持ちが分かった。

 風子ちゃんに見せる優しさも、俺に寄越す冷たい視線も、毒を吐く唇も、怒った顔も、泣いた顔も、はにかんだ笑顔も。全部、俺は大好きだ。


 でも、これで忘れよう。


 さよなら、キレコ。俺は、お前が大好きだった。


敬具

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ