第12筆 9月の手紙
拝啓
天国のお母さんへ。
今日は生まれて初めてのデイキャンプの話です。お父さんは虫とか嫌いだし、インドア派だから、これまで行ったことがなかったけど、すごく楽しかった。
OBで大学生の大鳥先輩も来ていて、大人っぽくて素敵でした。彼女とかいるのかな。今度、こそっと聞いてみようかな。
それに比べて浅田の情けないこと。
そう、初対面で人をキレコ呼ばわりした最低な男。いまでも面と向かってキレコ呼ばわり。こっちも先輩とか関係なく言い合ってるけど。
みんなでバーベキューの準備をしていたら、呂律の回らない感じで、顔を真っ赤にさせた顧問の愛ちゃんが声をかけてきた。部活動の引率に来て何やってんの? という突っ込み以前に、普通にダメな感じに酔っ払っていました。
どんな感じかというと。
「教頭のハゲはよ。もっと教師らしくしろとか、早く結婚しろとかうるせぇし。人のことより、テメェの頭を何とかしれっての。朝礼の時とか、後光がさしとるわ。はは、後光だって。仏様かよ。はは、はははは」
などと笑い上戸かと思えば、「私から酒を取ったら何が残りゅってんだ! 馬鹿野郎! にゃにも残らねぇんだよ!」と、おいおい泣き始める始末。
浅田が愛ちゃんを止めようとしてたけど、ちんちくりんの浅田では止められず、完全に酔っ払いに絡まれている状態。
愛ちゃんの波動砲も、充填率120%、発射オーライって感じだった。
それをうまく治めてくれたのがOBの大鳥さんでした。二枚目で、優しくて頼りがいのある人。付き合うならこんな人がいいな。もう一度、大鳥さんに会えますように。神様、私にもチャンスと幸せを。
ちなみに浅田は発射された波動砲まみれになってた。ちょっと可哀想だったかな。
敬具