2-6話 下劣なる罠
「期待してなかったのだけど、やるものね。まさかここまで魔物を減らすなんて」
彼女にしては珍しい、心底感心するかのような声色に出雲は驚くが、すぐにそれもそうかと納得する。
冒険者ギルドの長が逃げ出して、ソレに感化された兵や冒険者で逃げ出したものが少なくなかったと聞いたから、防壁や支援物資が碌に整えられていないこの町ではもはや大した抵抗など出来ないと考えていたのが、ついさっき。
それが、まさかここまで戦えるとはと考えて、目の前にいる壮年の男性に視線を落す。
キーファという目の前の兵士の闘いを遠目に見ていた、指揮官としても一兵卒としても恐ろしい活躍をしていた彼が居なければ、まともに魔物の軍とやり合うこと等出来なかっただろうと言う確信がある。
それほどまでの人物がこんな辺境と呼ばれる町に駐在している事は、彼が仕えている国の人材の豊富さを物語っているのだろうと考えて、安心する。
これならば、各地で起こっている魔物の凶暴化に全く対応出来ていないということはないだろう。
突然現れた二人の脅威を理解しているのか、周りにいるゴブリン達は一定の距離を取り警戒して近付こうとしない。
だが、そんな対応は二人に余裕を与えるだけだ。
隣に立っていたエリィがコキリと指を鳴らしながら辺りに目をやって、刺す様な魔力が噴き出し始める。
その魔力は自ずと風になり、暴風へと身を転じて、研ぎ澄まされた刃へと変質していき、――――消えた。
「じゃあ、残りの半分程度、私が貰うわ」
その言葉が合図であったのか、エリィは持ってきていた一つの魔道書を握りつぶした。
光の粒子となったそれは、消えることなく変質してゆく。
最初は青い小さな火花だった、それが徐々に引き伸ばされる様に、長く長く瞬間的にエリィの体を守るように、纏うように火花を散らしてゆき、ついには爆発的に増幅された強力なエネルギーとなって帯電した。
「か、雷魔法か…?」
「似たようなものよ、一時的に魔道書の術式を体内に取り込んだだけ」
‐robust appetite‐blue lightning‐暴食の蒼雷
それは、魔道書によって構築された新たな理論。
通常の雷に一つの欲望を加えることで、破壊力と対象への追尾、さらには主食となる魔力を喰らい我が身をより強大にする事を可能にした危険な魔法。
下手すれば術者諸共、周囲を不毛の大地とするその魔法は、膨大過ぎるエリィの魔力を喰らいながらその身を無限に膨れ上がらせてゆく。
それに終わりは無い、いや、高純度の魔力を与えているエリィが一時的な主であり、理論を構成する文字列も彼女の血液が含まれている事から、知能は無くともその蒼雷はエリィに従順だ、だから彼女が止めるように言えば一時的に肥大化するのを抑えるであろうがそんな無粋なことを彼女はしない。
膨大過ぎる彼女の魔力は、この程度で底を着くことは無いのだから。
「久しぶりに使うわね、この魔法…」
そう言って、エリィは使用感を確かめるために軽く大地を踏み込んだ。
その瞬間、彼女の姿が掻き消えると遠く離れてこちらを警戒していた魔物の群れの中心に現れていた。
反応すら出来なかった魔物達が、突然隣に現れた少女の姿に目を見開いている合間に、エリィはやりにくいわねとぼやいた。
「まあいいわ、―――喰らえ」
その言葉がゴブリンに向けたものだったのか、それとも身に纏う蒼雷に向けたものだったのだろうかは分からない。
だが少なくとも、蒼雷は自身への指示と受け取った。
彼女を中心として、全方向に雷光が迸る。
一つの魔物に当たった雷はその魔物の体内を焼き焦がし、その生命機能が停止したのを確認すると残っていた僅かな魔力を喰らい、次の魔物の魔力目掛けて体内から飛来する。
それを延々と繰り返し、術者より離れすぎてこれ以上の対象は喰らうことが出来ないと判断されれば、まるで家に帰るような気軽さで蒼雷は主人の元へと帰ってゆく。
雷の速度は、およそ人には感知できない領域にある。
それは数値にするならば秒速150キロと言う訳の分からないものとなり、様々なものを経由したとは言えエリィの周囲数百メートル内の中を軽く行き来する程度であれば、それは一秒すら必要ない短いものとなる。
それが数十の雷光によるものであれば、さらに短縮されるだろう。
何が言いたいかというと、それは一瞬で終わった
「―――――…なんだ、これは?」
「さっすがっ…!」
その惨状に、二人が思わずそう呟く。
雷が生物を焼いた匂いを、ここまで色濃く嗅いだのは初めての経験であった。
周囲一帯に居た魔物が真っ黒に焼け焦げ、崩れ落ちる。
綺麗に、エリィを中心として円状に、その範囲に居た魔物は問答無用で焼き払われた。
その上でその範囲内に居た地上部隊員の生き残りは傷一つなく、突然倒れた周囲の魔物に動揺している。
何が起こったのか分からずに周囲を見渡して、この惨状を引き起こしたのが一人の少女だということを理解して、驚愕に動きを止めた。
「さて、次ね」
兵士の無事を一瞥で確認して、エリィはさらに増大した蒼い雷を片手で振るい、他の魔物の集団を今度は鞭のような雷で打ち払い、次々に滅ばしていく。
立ち向かおうとするものも、逃げようとするものも、何の分け隔てなく消し炭になっていくその様は、いっそ虐殺という言葉が最も適している程で。
同時に、その恐怖を目の前にしている筈のゴブリン達が群れから離れようとしないのは、それが魔物という生き物の特徴を物語っているかのようで奇妙であった。
これまでの短時間で、屠られた三ケタにも上る数の魔物から回収した魔力は、下級の魔物ばかりということもあるのだろうが、エリィの総量から考えれば微々たるものだ。
質だって、主人のものに比べればゴミに等しい。
けれども、魔力は魔力、大切な栄養源だ。
そして、塵も積もれば山となる。
もはや災害と呼んでも差し支えない程肥大化した蒼雷は、成長を喜ぶかの様にその身をくねらせ、存在を示すかのように天を貫いた。
轟音が響き渡り、通電した雷によって髪が浮かび上がり始めた事にも気を留めていないエリィの前に蒼雷によって形作られた棒状の何かが差し出される。
それは別に、特殊な武器という訳ではない。
雷をそのまま形にしただけの、ただの棒だ。
だが、それを扱うのが術式を体内に宿した、この雷の主人であれば話は変わる。
「―――ええ、最後よ。焼き払って」
そう言って、エリィは目の前の棒を地面に突き刺した。
―――承諾が出た。
その瞬間、その身に宿っていた蒼雷の欲望が剝き出しになる。
一気に解放されたその膨大な力は、辺り一面の、喰らうことを許されているものに襲いかかる。
それは、まさに天災。
エリィを中心に立ち上がった雷の柱から上空に滞留、上空から攻撃対象を補足して、さながら天からの裁きの様ごとく、数多の落雷が雨の様に降り注いでいく。
抗うことなど、出来る訳がない。
情けなど無く、慈悲など無く、いっそ無抵抗の魔物達目掛けた天の怒りは、大地に死を齎す。
魔物達の悲鳴が数多の落雷の轟音を縫うように響き渡るも、それもわずかな間で断末魔へと変わり、すぐに無音となっていく。
残ったのは、原型を留めない程変形した大地ともはや形も分からなくなった黒く大地にこびり付いた魔物であったものだけだった。
キーファと共に突撃した他の2名も、咄嗟に頭を抱えてしゃがみ込んだのだろう。
落雷が無くなった周囲を恐る恐る見渡して、自身の周囲に居た全ての魔物が、地面にこびり付いた黒い影となっている事に驚愕の面持ちを浮かべた。
詳しい状況は分かっていないのだろうが、魔物が掃討された事実に町の防衛網からは大歓声が上がり、その歓声が喧しい程離れたここまで届いてくる。
そんな大歓声の中で、ものの数秒でこの功績を為したエリィはそれを誇ることはおろか反応することも無く、やけに静かに自分の手の平を見詰めていた。
異様な彼女の様子に、不安を感じた出雲は走り寄って彼女の安否を確認する。
「…うん、大丈夫。私は出来る、一人でも大丈夫…」
「エリィ、怪我とかは無いよね?」
「…ええ、何の問題も無いわ。後はゴブリンキングなんだけど、…なんで見当たらないのかしらね」
「ええと、…ゴブリンキングってあの中に居なかったの?」
「少なくとも私は見つけられなかったわ」
まだ終わりじゃないのね、と呆れたような口調で呟くと周囲に注意を払い始めたエリィに対して、同様に周囲を見渡した出雲はすぐにあることに気が付く。
地面に転がる消し炭の中に紛れる、黒い液体。
あのパズズを一度リカが倒した際にあの化け物を修復した、そしてリカの体中を貫いた、あの正体不明の液体が、滴のような小ささでそこらに散らばっている。
「周りの黒い液体がゴブリンキングの一部だっ!!!」
「――っ!! 鳴る程ねっ!!」
古刀から炎を噴出させて警戒する出雲の言葉に、エリィはそう答えるとその場でしゃがみ足元の地面に指先を触れる。
穴も無いの地面から噴き上がった強風が、周囲に散らばる消し炭を含めて黒い液体を上空に押し上げた。
リカから何かしら話があったのだろうが、自身の声掛けから暇も置かないその適切な対応に舌を巻くような気持ちで、上空で滞空し無力化されたその液体を見上げる。
そして、どうやら彼女はそのあとの対処までしっかりと聞いていたようだ。
「出雲、お願い」
「――うん、任せて」
言葉はそれだけだ。
だが、出雲から噴き上がった巨大な火炎はそれで十分なのだという事を表す様に、その身を激しく主張する。
大地を揺らす大火は、先ほど見たエリィの轟雷にも全く引けを取っておらず、上空に浮遊していたものを纏めて焼き消した。
いとも容易く焼切られた黒い液体は、本来であれば破壊は酷く困難な物なのだろう。
でなければ、直接狙ったものでなくとも、先ほどのエリィの魔法で破壊されていなければおかしいからだ。
「―――出力だけなら大したものだわ、ほんと」
「え? ごめん、何て言ったか聞こえなかった、もう一回お願い!」
「…何も言ってないわよ、いいから本体を探す」
「はい」
なんだよー、と言いながら離れていく出雲の後姿にしばらく視線を向けていたが、何度か頭を横に振って意識を切り替える。
まだ戦闘は終わっていないのだ、リカに見られたら小言を言われてしまう。
そう思って、エリィも付近に注意を払いながら、ゴブリンキングの姿を探し始めた。
そんな二人に、未だに状況を飲み込めていないケープの町の兵達が近付いてくる。
「すまない、何点か聞きたいことがあるのだが構わないだろうか」
「えっと、はい何でしょう」
出雲の目の前に来たのは、先ほど鬼のような奮戦を見せていた老年の男性、キーファであり、彼の闘いを間近で見た出雲はおのずと緊張で固くなった表情のまま彼に向き直る。
なにを聞きたいのだろうとは思わない、加勢したとはいえ、突然現れた自分達のような見知らぬ者には、職業柄色々と聞かなければならないのだろうと思うからだ。
横目にエリィの姿を確認すれば、同じように他の三人の兵士に包囲されるようにして質問を受けているのが確認できるが、はた目から見ても人見知りを発症させているのが手に取るように分かってしまう。
冷たく責め立てているエリィの声に背中を押され、ここは自分が状況を説明して身柄の潔白を証明しなくてはと意気込む出雲に、キーファは困ったような表情を浮かべた。
「いや、申し訳ない。まずは我々への支援を感謝する。あのままではどうあれ全滅は免れなかった、ありがとう」
「そんなっ、人を助けるのは当然で…いえ、たまたま自分達と目的が重なっただけです。そんな感謝されるような事ではありませんよ」
「…はは、どうやら、しっかりと話し合いを済ませているらしいな。だが、感謝の気持ちを変わらない、受け取っておいてくれ」
「う…、す、すいません。ありがとうございます」
厳かな雰囲気を保ったまま笑うキーファに、きっと自分では太刀打ちできない程のやり手だと理解して、出雲はせめて下手な発言をしないように腰を引かせる。
とはいえ、魔物のボスであるゴブリンキングを倒していない事から、あまり長引かせるのはどちらにとっても都合が悪いであろうと思っていると、そんな出雲の考えに気が付いたのかキーファは安心させるように、微笑んだ。
「ああ、大丈夫だ。君が心配しているゴブリンキングだが、あらかじめ正面から向かってくる群れには居ない事も予想はしていた。つまり、町への二面作戦の可能性だな。それを念頭に入れて私達も作戦を立てていたんだ」
「えっと、つまり…どういうことなんです?」
「簡単に言えば、他にも捜索の手を伸ばしているということだ。これだけ一掃して貰って見当たらないということは、ここには居ないということが確定したようなものだろう。となれば、周囲に出した捜索の者達がもうそろそろ報告が来ると思うのだが…」
「な、なるほど…」
自身の単純な問い掛けに対しても、嫌な顔一つせず答えてくれた老年の兵士に、出雲は親しみを覚える。
やけに丁寧に接して来てくれるのは、味方であると理解してくれているのか、それとも警戒しているのを隠すためなのか、十中八九後者だろうなと思いながらもそんな態度は表に出さないように気を付ける。
穏やかながらも決して一線を越えようとしない二人とは打って変わり、もう片方は大分事情が異なる様で、すぐに一人の兵士が困ったような顔をして出雲達の方へ走って来た。
「すいません団長、あちらの方なのですが…、何を聞いても答えてくれないばかりか距離を離すばかりで気を許してもくれなくて…」
「なに? ちゃんと丁寧に話し掛けたんだろうな?」
への字に曲げた眉でそんな弱弱しい事を言う兵士に、キーファは胡散臭いと言わんばかりに鼻を鳴らした。
「ええ、そりゃあもちろんですとも。でも、名前も教えてくれなければ、まともに会話もしようとしないですし、あんなの無理ですよぉ…」
「全くっ…年頃の娘ということを考えろ、だからお前らはモテないんだ。…仕方ない、私がそちらの娘さんと話す、普段から娘に鍛えられている俺の女性への対応を見て学べ」
「…いつも、娘さんが冷たいって愚痴ばっかしてる癖に…」
「何か言ったか?」
「いいえ、何も言っていません。私は団長に忠実な一兵卒ですとも」
「…まあいい、私は器が大きい男だからな」
全く最近の若いもんは、なんてぼやきながら出雲に一礼すると、エリィの方へ歩いていく。
その背中には哀愁が漂い、先ほどまでの手の平で人を転がす様な駆け引きをする男の姿とも、魔物相手に奮戦していた強靭な戦士の姿とも重ならない、くたびれた男の姿しかなかった。
「ああ、すいませんね。ちょっとあっちの人は荷が重くて…」
「いや、まあ、僕も結構やられてるんで…分かります…」
「本当っすか、…大変なんすねぇ…」
「いや、あははは…」
誤魔化す様な笑いに、軽薄そうな笑顔のまま憐れむような視線を向けてくる兵士の人とほぼ同時に、地獄耳が発動したエリィが鋭い視線を投げてきたのを感じ取り、咄嗟に目の前の人から距離を取った。
なんだかこの軽いノリは苦手だ、そんなことを思って軽薄そうな笑顔を浮かべる目の前の兵士に対して、刀を持つ右手に無意識に力が入った。
ちらりとエリィの方を見れば、話し掛けているキーファを完全に無視して、こちらを凝視する少女と目が合う。
誤魔化す様にひらひらと手を振れば、さらに鋭くなる彼女の視線に耐えられなくなり、ゆっくりと目を逸らす。
やっぱり、エリィは怖い。
鳥居様はやけにリカを目の敵にしていたけど、エリィには素直に従っていた様に思う。
もしかしたら、リカが優しくて、エリィが怖いということを何となく感じていたからなのかもしれないと、そんな事を考えてしまった。
「あのだね…、すまん。せめてこっちを見てくれないか?」
「…」
「あの、謝るから。何か失礼なことしたなら謝るから、少しだけで良いから話をしてくれないか」
「…」
「…本当に、ダメなんだって。若い子に無視されるのは、娘に無視されているようで本当にダメなんだって…」
「…チッ」
「…え? 今舌打ちした? オジサンってだけで、そんな不快感を露わにする? そんなゴブリンの死骸を見るような目でオジサンを見る? ちょっ、優しくしてほしいなぁなんて思うんだが…」
もはや威厳の欠片すらなくなったキーファの様子に、エリィの傍にいた他の兵士はお互いを見合わせて肩を竦めている。
意外といつもの光景なのかもしれない、そんなキーファの姿に口元を引き攣らせた出雲が、先程までの警戒していた自分が勝手な思い違いをしていたのではと頭を抱えたくなった。
「ふうん? 君も俺の事警戒するんだね?」
「…はい?」
ぽつりと呟かれた言葉に反応できず、目の前の兵士を見れば、軽薄そうな笑みを浮かべていた男が、今は無表情でこちらを見詰めていた。
今までの表情との落差のせいだろうか、目の前の男に対してやけに感じる不気味さに、思わず一歩後ずさる。
「いやあ、深い考えがあってあんなに冷たく接してきたのかと思って焦ったけど、どうやらそういう訳でもなさそうだし、なんか君達チグハグだよねー」
「ええと、何が言いたいのかっていうか…、何言ってるか分かってるんですか?」
「突然邪魔してくるしさー、しかも強いしさー、嫌になっちゃうよね全く」
「…あの、ソレは貴方が自分で魔物の味方ってことを言っているようなものだと分かってるんですか?」
「ちがうよ」
くすくすと、目の前の男は嗤い出す。
今まで感じていたもやもやとした形の無い感情がはっきりとした嫌悪へと姿を変える。
兜の隙間から覗く瞳がどす黒く渦巻いているのが、分かる。
自分と変わらぬ身長の男が、まるで人の皮を被った異形のように思えて仕方がない。
「さて、最後だ。俺はだーれだ?」
首を傾けて、子供の様にそんなことを無邪気に聞いてくる男に吐き気がする。
遠くから、いつかの受付嬢がキーファに何かを叫んでいるのが聞こえてくる。
「ダメですっ!! 他の場所を索敵させましたが、魔物一匹いません!!! この戦場に居た魔物が全部の筈です!!!」
響いてきたその報告に、喉が干上がった気がした。
確実に発見できていない魔物は、一体居る。
リカが索敵して見たというソレ、ケープの町の人達が必死にもぎ取った情報にあったソレ、ソレが今は何処にもいないという事実がやけに頭の中で反芻された。
目の前に居るこいつは、どう見ても人にしか見えない。
だが、それでも、自分の直感を信じるなら、これは人などではなく―――
「ゴブリンキング…?」
「―――正解だ。まあ、少し遅かったけどな」
ぶちりと、肥大化した目の前の男の腕が出雲を頭から叩き潰した。