プロローグ
――――夢を見る、一時の夢を。
全てを失う中でそれは、きっと確かに救いであるから。
――――愛を語ろう、音の無い中で。
誰かの耳に届かずとも、口にするそれは意味のあるモノの筈だから。
――――これで終わりだ、分かっているとも。
崩れゆく世界の終わりはいつだって、こういう風景をしていたから。
ごめんなさいなんて聞きたくない。
ごめんなさいなんて言わないでほしい。
ごめんなさいなんて、―――…貴方だけには言って欲しくなかった。
酷く眠い。
意識が融ける。
次に目覚めた時はきっと、自分は何もかもを失っているだろうと理解している。
不安はある、自分の行く先は、これからどうなってしまうのか。
そんな恐怖はどうしようもないくらい胸に巣食っている。
諦めたくないなんて、今更と笑ってしまうような衝動が脳裏を過り。
そんな衝動に蓋をするように、感覚が、捉えていた視覚が、鼻を突いていた匂いや足の裏で踏みしめていた土の感触までも、ただ残らず終わっていくのを感じている事しか出来ない。
包まれるような冷たさの中で削られていくように自意識が無くなり、何時しか何もかもなくなっていった。




