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アンデットの正体

彼らの強さは本物だろう。


おそらくは、この10階層のボスでは彼らは倒せない。


しかし、それでも少しくらいはダメージを与えてくれるだろう。


「これは…なかなかに面倒くさい。」


「そうだな。このダンジョンは本気で俺たちの攻略を成功させないつもりらしい。」


このダンジョンの制覇の特典として、バルバロット帝国1年分の予算が出ることになっている。


この金に関しては、アインの私財のほうから出しているので、まったく国家の運営には関係ないのだが、それでもこんな莫大な金を、簡単に上げるわけには行けないので、それなりに鬼畜仕様になっている。


「私は、アンデットの浄化のほうにかかります。

しばらく時間稼ぎをよろしくお願いします。」


「了解!」


そして、魔術師1人以外の3人は時間稼ぎを始めた。


なぜ、魔術師が浄化の魔法を使えるかというと、彼女は昔、教会で少しだけ働いていたことがあったからだ。


その後も、このアンデットは、まだ彼らには力が及んでいないので、彼らの時間稼ぎは成功した。


「打ちます!」


そう言って、アンデットに向かって浄化魔法が放たれた。


それを食らったアンデットは、そのまま消滅をしていった。


しかし、彼には浄化魔法をかけられたときのプログロムがあった。


「わ、われを浄化してくれたか。」


浄化された後、その場にはとある男がいた。


「なるほど、魔術師じゃないのに浄化をできるのか。

ありがとう。

君たちには最大の恩返しをしなくては。」


そういうと、その男はおもむろにその場に落ちていた、アンデットが使っていた剣を持った。


「この剣…浄化するか。」


その男は全く時間を使わずに浄化魔法を使った。


「え!浄化魔法がそんなに簡単に出るなんて…」


今の時代、浄化魔法には時間がかかる。


マスターと呼ばれるような存在であっても、数秒はかかるものなのだ。


「君たちには最大の感謝を込めて、生という苦しみから解放してあげよう。

私も、そろそろ店へと行くだろう。」


彼は、生前、行かれた僧侶だったのだ。


死こそが苦しみからの最大の解放という考えで、今までも苦しんでいる人がいると、その人を苦しみから解放するといって、殺してきていたのだ。


そして、自身がアンデットになってしまった理由としては、自身の寿命の限界を感じたのだが、それでも、人々を救いたいと思ったのだ。


それこそ、自我を失い代わりに、アンデット化した自分がとある考えになるように。


それは…


「私はアンデットの時に何人の苦しむものを殺してきたのか。

それを考えるだけで、私ほどの善行を積んでいる者はいないだろう。

君たちも今から、救ってあげるよ。」


そういいながら、彼は冒険者パーティーのほうに向かって進んでいったのだった。


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