解決法
「た、大変です!」
なんだかんだ、騒ぎが無かった領主邸の中に、初めて悲鳴のような報告が上がった。
「な、何だ?」
「実は、多くの市民がこの領主邸に、協力を要求しに来ているのです。」
「協力だと?内容は何だ!」
「それが、日用品や食料などの供給らしいです。」
「それは商人の仕事だろ!?何で領主邸に協力を要求してくるのだ!」
「それが…」
そして、報告に来ていた人は街の現状を報告した。
この街から多くの商人がいなくなったことによって、残っている商店に市民が殺到した。
商人たちもそれを最初は喜んだが、時間が経つごとに、供給よりも需要が上回ってきてしまい、結局、商店の在庫もなくなってしまった。
そのため、市民は困ってしまった。
そして、何日も商店に張り込みをしていた結果、中の商人が出てきて、領主様に頼ろうといった結果、このような結果になってしまった。
ということを報告した。
「あいつ!優遇してやった恩も忘れたのか!」
「どうやら、商人に関しては、純粋に協力を求めに来たそうなんですが、市民に関しては死活問題なので、結構考えが単調になっているようです。」
「まったく…しかしどうするか。」
「この問題は時間で解決できるでしょうかね?」
「分からないが、十中八九どうにかなるだろう。
元々はいきなり商人が減ってしまったことが問題なんだし、それに結構頭の回る商人だったら、商店不足になっているこの街に来れば、多くの商品が売れることも考えられるだろう。」
そもそも、頭の回る商人だったら、こんな滅亡待ったなしの街になんか来ないのだが、自分の領が滅びる訳がないと思っている彼にとっては、そのことが考慮されていないようだった。
「そうですか…それでは、しばらくの間の解決策はどうしますか?」
「う~む。そうだな…」
彼は結構な守金銭な人なので、簡単には、他の場所から買うという手段を取るつもりは無かった。
「とりあえずは、いくつくらい必要なのだ?」
「分かりません。しかし、市民全員に必要数を届けるとなると、結構な量必要でしょう。」
「そうだな…」
ここで、領主は本人にとっては良い案を思いついた。
「そうだ!他の領主から買えば良い。」
「え!」
長年使えてきて、この人が人のために金を使わないことを知っていた人だったので、この提案には素直に驚いた。
「い、良いんですか?」
「ああ、それにしっかりした作戦もあるから安心しろ。」
そう、彼がいきなり善人になったわけではない。
もちろん、この間が裏には、もうけようとする考えもあったのだった。




