魔導同好会1
学園都市の地下、そこには魔力で動く仕掛けが沢山ある。
古い講堂の地下にもそれはあり、そこから学園中心部近くへ続く横移動式のエレベーターがある。
愛里を送り届けた後、樹と理事長の瀬戸葉月はそれに乗り移動した。
そこから学園地下中心部の部屋へ入る。
その部屋の真ん中には台座があり、彼らはその窪みに魔法古書をはめた。
「我は契約を求む、我の力となれ」
葉月は魔力を発動させる。
だが、それは反応しなかった。
「おかしいわね」
葉月は首をひねる。
「どうした?」
「どうも上手くいかないのよ」
見守っていた樹は腕組みを解くと、彼女と本に近づいた。
本に手を当てる。
樹は目を閉じ意識を集中させると、呪文を唱えた。
「もう既に契約者がいる様だ」
暫くの無言の後、樹は目を開けると葉月に言ったのだった。
「対応は?」
「契約者を見つける事」
「古書はどうするの?」
「とりあえず封印しよう」
樹は言うと呪文を唱える。
すると部屋の壁から数本の鎖が現れ、魔法古書に巻き付いた。
それは本を宙で固定する様に巻き付かれている。
「樹、あなた明日から学園の生徒ね」
樹が振り向くと、葉月は突然言う。
「不可能だ」
「可能よ、ちゃんと許可は取ったわ」
葉月はスマホを見せて笑顔で言ったのだった。