88/228
負魔結晶12
早朝、船は大勢の魔法省職員を連れてやって来た。
教職員、生徒はほぼ全員眠らされている。
「あなた方以外は、全員寮ですか?」
代表者は出迎えに来た葉月と樹に問う。
「いえ。ですが、関係者は部室に集めております」
「わかりました」
代表者とは、葉月が対応した。
眠っている教職員と生徒達の名簿を代表者に渡す。
「A班は男子寮、B班は女子寮へ」
その言葉により、2班はそれぞれの寮へ異動する。
「俺はA班に向かいます、今回関わった者の処理はあなた方に委ねます」
残り一枚の紙は、男性に渡された。
葉月の元夫、阿川幸成にである。
「栗原と大山はそれぞれの寮の助っ人をしろ」
「はい!」
そして栗原と大山は去る。
「葉月、お前のせいで駆り出された」
「たまにはいいでしょ、働きなさい」
幸成のさぼりぐせは昔からだった。
だからこそ、部下が苦労させられる。
それでも、いざというときは頼りになるのだ。
「じゃあ、部室に向かいましょう」
葉月を先頭に、彼等は歩き始めた。