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負魔結晶9
「翔!」
「結城が起きたぞ」
そこは保健室。
翔が目覚めるとそこには総平と条治の二人が居た。
条治の言葉に更に増える。
それは、樹と葉月の二人だ。
「異常は無いか?」
「異常?どんな?」
翔は樹を睨む。
翔の魔力は格段に下がった。
本来より少し上がった程度だ。
だが、態度が変わらない。
「お前、結城翔か?」
「当たり前だ、それ以外何がある?」
確実に樹を敵視していた。
「理事長、ちょっとよろしいですか?」
樹はそう言うと、葉月と共に離れた。
保健室の外、樹は葉月に告げる。
「結城翔の人格が戻っていない」
「みたいね」
つまり魔結晶はあくまで負の感情を煽り魔力を上げるだけのもので、精神侵食は別物だという事だ。
「どうするの?」
「結城翔の心の中に入るしか無いだろうな」
しかし樹は憎悪の対象だ、一人で行ってどうにかなるのだろうか?
「それ、ついて行ったら駄目かな?」
そう言ったのは総平だった。
彼は盗み聞きしていた。