負魔結晶8
「チッ!」
条治は舌打ちをする。
魔法なんて知らない、関係無い。
それでも巻き込まれたからには見てしまったからにはどうにかしなければならない。
条治はスターティングポーズをとる。
総平に刺されたものは、既に外されている。
臣に教えてもらったもの、こんな時こそ失敗無く使うべきだ。
魔力を足に貯め、条治は走った。
総平を回収する。
「甲斐、結城の後ろが!」
総平を翔から離すという点で、樹は出遅れた。
その上、条治は後に回った事で何かを見た。
翔は条治の方を見る。
それにより樹は後ろ姿を見る事になった。
首筋、そこに紫色の大きな結晶がこびりついていた。
それはグラウンドに入る前までは無かった、いや見えなかった。
「何だ、あれは…」
樹は呟く。
魔石事態はある。
だが、宝石が大きくなるなんてあり得ない。
「お前たちを殺す…」
翔は条治に向けて言う。
すると、その結晶が大きくなった。
「あれが原因か」
樹は言うと、条治に飛びかかろうとする翔の頭を掴む。
翔は一瞬後ろへ仰け反ると、樹の手を除けようと必死になった。
「これを砕く」
やり方は水晶と同じ、追い付けない程の魔力を注ぐだけだ。
「やめろ…やめろやめろやめろやめろやめろ!」
パリンという音と共に結晶は砕ける。
そして翔は気絶した。