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負魔結晶4
「ええ、そう、お願い」
葉月は元旦那、阿川幸成に依頼する。
正式な手続きは時間がかかるし面倒、それを省略するためにも魔法省の人間に頼むのだ。
エレベーターを降りると魔法古書のある部屋に着く。
葉月は息を整えると部屋の中に入った。
部屋は薄暗く、灯りは本しか無い。
そんな中、愛里は部屋の中でうずくまっていた。
「理事長…」
独りぼっちだった愛里は葉月の胸に飛び込む。
「待たせてごめんなさいね。さて、仕事をしましょう」
頭を撫でたあと、葉月は言う。
これは、二人にとっての初仕事だ。
二人は手をつなぐ。
「雪村さん、古書であるエルヴィスさんに連絡を繋いで頂戴」
葉月は言う。
だが、方法を知らないが愛里にしかできない。
契約した時は樹が居たが今は居ない。
それでもそんな中でもやらなければいけない。
「おじいさん…」
愛里は呟く。
愛里の想像に葉月は魔力を乗せる。
「……」
愛里と葉月はそのまま精神を本の中に移した。