負魔結晶2
「開けてくれ!」
鍵の掛かった部室のドアを叩く。
いくら一部の生徒が行動不能でも、まだまだ居る生徒は魔力保持者を追いかけ回す。
「誰?」
「バスケ部の高坂貴史だ!」
名前を聞くと、部室の鍵を郁斗は開ける。
実は、高坂が来たら開けるようにと樹に言われていたのだ。
「助かった」
息を切らし、貴史は呟く。
体育館の部員を気絶させた後、貴史は逃げた。
精神の語りかける声も魔導同好会部室に逃げろと告げていたので、その指示に従った。
そして今に至る。
「君、誰?部員?」
「ち、違います!」
郁斗は慌てて否定する。
「郁斗、私が言うから座って大人しくしなさい」
「うん…」
「高坂、あんたも座って」
理子に言われ、二人は座る。
「私は宮野理子、こいつは中村郁斗。私達は同中なの」
「仲良いのか?」
「違っ!腐れ縁!いじめて良いのは私だけよ!」
「君、いじめられているの?」
「えっ⁉うん…」
二人は苛めっ子といじめられっ子らしい。だが、二人からはそんな感じがしない。
「本当?なんか、そんな感じしないけど。付き合ってたり?」
「無い!」
二人は同時に言う。
「まぁ、そういうことにしとこうか」
貴史は二人に言う。
それは、完全に言ってる事を信用していないという事だ。
それは置いといて、貴史は二人に現状を問う。
だが、二人もあまりわかっていなかった。
学校中が操られた事と、ここが無事な事以外は。